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ヤケ酒
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『今日はごめんね』
ずっとウジウジ悩んでいた僕だが、勇気を出してその日の夕方にメールを送った。既読はついたが返信はなかった。
僕はハァーっとため息をつく。
楽しい日曜になる筈が最悪の日曜日になってしまった。
気分が沈んでいたので気を紛らわせる為に冷蔵庫を開けた。ビールがある。
僕はあまりお酒が強くない。でも酔いたい気分だったので冷蔵庫にあるビール全てを腕に抱えリビングに戻った。
ソファに座り、まずは一本をグビグビと飲んだ。
それが飲み終わると次は二本目をグビグビ飲む。
「っぷはぁ!」
あぁ、目の前がぐるぐる回る。
お酒が身体中に浸透している。僕はビール二本でベロンベロンに酔っ払った。
ソファにゴロリと寝転がり、うつらうつらしていたら、ピコンとスマホが鳴った。
「ん~? メールかなぁ? 誰だぁ?」
ダラダラとスマホを手に持ち、メールを確認する。
メールは尚君からだった。
僕はパッと勢いよく飛び起きて文面を確認する。
メールにはこう書かれていた。
『俺の方こそごめん。今からそっち行っていい?』
い、今から!? どうしよう……!? ベロベロンに酔っ払っているのだが……!!
どうしようか悩んだが、ここで嫌だと言ったら仲直りできないと思い、悩んだ末に『いいよ。おいで』と返信した。
三十分程経ってからインターフォンが鳴った。
僕はフラフラした足取りで玄関に向かう。
ガチャリとドアを開けると、神妙な顔をした尚君が立っていた。
「さっきは怒ってごめん。俺、本当ガキだわ」
「そんな事ないよ。さぁ、入ってくれ」
尚君は、うんと頷くと部屋の中に入ってきた。一緒にリビングに向かう。
「あれ? 藍沢さん、フラフラしてない? 大丈夫?」
「そ、そうかな? 大丈夫だよ」
リビングに入るとテーブルの上に数本のビールが置かれていた。そのうちの二本は開封されている。僕が飲んだ分だ。しまった。片付けとくの忘れてた。尚君にだらしない大人だと思われてしまう。
尚君はジッとテーブルの上のビールを見ていた。
「藍沢さん、酒飲んだの?」
「あ……。う、うん」
「もしかしてさっきフラフラしてたのって酒のせい?」
「そ、そう」
「……ビール二本でそんなになっちゃうんだ。可愛いね」
「なっ……!」
尚君はニヤニヤと笑っている。
僕は酒に酔って赤くなった顔が更に赤くなった。
誤魔化すために急いでビールを片付けた。
「片付けちゃうの? 俺に気にせずもっと飲んでいいよ」
「いや、いいよ。だらしない姿は見せたくない」
「そう? 俺は見たいなぁ。普段シャキッとしてる藍沢さんが酔っ払ってフニャフニャになるところ。だって可愛いもん」
「……。大人を揶揄わないでくれ……」
そんな雑談をしながらソファに座った。尚君も隣に座る。
よし! さっきの事を謝ろう!
そう思ったのだが、頭が上手く働かない。
左右にフラフラと体が揺れてしまう。そんな僕の様子を見て、尚君は心配そうな表情を浮かべている。
「藍沢さん、相当酔ってるね。大丈夫? ベッドで休んだ方がいいんじゃない?」
「大丈夫だ……。君と話がしたいから我慢する」
「我慢しなくていいよ。ベッドでも話できるからさ。行こうよ」
尚君は立ち上がって僕の腕を引っ張った。
僕もフラフラしながら立ち上がる。尚君に引っ張られながら寝室に千鳥足で歩いて行った。
「ホラ、寝な」
尚君がポンポンと敷布を叩いたので僕は言われるがままにベッドに寝転んだ。
あー……。こんな筈じゃなかったのに。
尚君とキチンと話がしたかったのに……。
瞼がどんどん重くなってきた。
カッコ悪いのは自分でも分かっている。だが、どうしても睡魔に勝てず、僕は目を瞑りすぐに眠りについた。
ずっとウジウジ悩んでいた僕だが、勇気を出してその日の夕方にメールを送った。既読はついたが返信はなかった。
僕はハァーっとため息をつく。
楽しい日曜になる筈が最悪の日曜日になってしまった。
気分が沈んでいたので気を紛らわせる為に冷蔵庫を開けた。ビールがある。
僕はあまりお酒が強くない。でも酔いたい気分だったので冷蔵庫にあるビール全てを腕に抱えリビングに戻った。
ソファに座り、まずは一本をグビグビと飲んだ。
それが飲み終わると次は二本目をグビグビ飲む。
「っぷはぁ!」
あぁ、目の前がぐるぐる回る。
お酒が身体中に浸透している。僕はビール二本でベロンベロンに酔っ払った。
ソファにゴロリと寝転がり、うつらうつらしていたら、ピコンとスマホが鳴った。
「ん~? メールかなぁ? 誰だぁ?」
ダラダラとスマホを手に持ち、メールを確認する。
メールは尚君からだった。
僕はパッと勢いよく飛び起きて文面を確認する。
メールにはこう書かれていた。
『俺の方こそごめん。今からそっち行っていい?』
い、今から!? どうしよう……!? ベロベロンに酔っ払っているのだが……!!
どうしようか悩んだが、ここで嫌だと言ったら仲直りできないと思い、悩んだ末に『いいよ。おいで』と返信した。
三十分程経ってからインターフォンが鳴った。
僕はフラフラした足取りで玄関に向かう。
ガチャリとドアを開けると、神妙な顔をした尚君が立っていた。
「さっきは怒ってごめん。俺、本当ガキだわ」
「そんな事ないよ。さぁ、入ってくれ」
尚君は、うんと頷くと部屋の中に入ってきた。一緒にリビングに向かう。
「あれ? 藍沢さん、フラフラしてない? 大丈夫?」
「そ、そうかな? 大丈夫だよ」
リビングに入るとテーブルの上に数本のビールが置かれていた。そのうちの二本は開封されている。僕が飲んだ分だ。しまった。片付けとくの忘れてた。尚君にだらしない大人だと思われてしまう。
尚君はジッとテーブルの上のビールを見ていた。
「藍沢さん、酒飲んだの?」
「あ……。う、うん」
「もしかしてさっきフラフラしてたのって酒のせい?」
「そ、そう」
「……ビール二本でそんなになっちゃうんだ。可愛いね」
「なっ……!」
尚君はニヤニヤと笑っている。
僕は酒に酔って赤くなった顔が更に赤くなった。
誤魔化すために急いでビールを片付けた。
「片付けちゃうの? 俺に気にせずもっと飲んでいいよ」
「いや、いいよ。だらしない姿は見せたくない」
「そう? 俺は見たいなぁ。普段シャキッとしてる藍沢さんが酔っ払ってフニャフニャになるところ。だって可愛いもん」
「……。大人を揶揄わないでくれ……」
そんな雑談をしながらソファに座った。尚君も隣に座る。
よし! さっきの事を謝ろう!
そう思ったのだが、頭が上手く働かない。
左右にフラフラと体が揺れてしまう。そんな僕の様子を見て、尚君は心配そうな表情を浮かべている。
「藍沢さん、相当酔ってるね。大丈夫? ベッドで休んだ方がいいんじゃない?」
「大丈夫だ……。君と話がしたいから我慢する」
「我慢しなくていいよ。ベッドでも話できるからさ。行こうよ」
尚君は立ち上がって僕の腕を引っ張った。
僕もフラフラしながら立ち上がる。尚君に引っ張られながら寝室に千鳥足で歩いて行った。
「ホラ、寝な」
尚君がポンポンと敷布を叩いたので僕は言われるがままにベッドに寝転んだ。
あー……。こんな筈じゃなかったのに。
尚君とキチンと話がしたかったのに……。
瞼がどんどん重くなってきた。
カッコ悪いのは自分でも分かっている。だが、どうしても睡魔に勝てず、僕は目を瞑りすぐに眠りについた。
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