上 下
15 / 21

第十五話 ぐうたらは、気持ちが通じ合って嬉しい

しおりを挟む
 僕が真っ赤になってうつむいていたら、ライナードが下からずいっと僕の顔を覗き込んだ。

「……で?」
「へ?」
「へ? じゃねーだろ。それでお前は俺のことどう思ってるんだよ」
「どうって……」

 僕はモジモジ身体を揺らした。
 もちろん、ライナードのことは大好きだよ? でも、それは友達として大好きなのだ。いきなり恋人として好きかと問われると戸惑ってしまう。

「ぼ、僕よく分かんないよ……」
「分かんねーのか? じゃあ俺が他の奴と付き合っても平気なのか?」
「それはやだ! ライナードは僕のライナードなの!」
「じゃあ、風呂についてはどう思ってるんだ? 俺がお前の身体に触れるのは気持ち悪いか?」
「気持ち悪いわけないじゃん」
「俺が他人と付き合うのは嫌。それに身体に触れても嫌じゃない。そういう気持ちをなんて言うか、お前は知っているのか?」
「……」

 知っている……。
 そういう気持ちを『好き』って言うんだ。
 友達としての好きじゃない。恋愛感情がある好きっていうんだ。
 よく考えたら、友達同士で性器をしごいてもらうのはおかしいよね。そんなことやめてよ! って怒るのが普通だよね。恥ずかしいとか言いつつされるがままだった僕は、心の中ではライナードを受け入れていたんだ。

 自分の気持ちを自覚すると、妙に恥ずかしくなってきた。ライナードの顔がまともに見れず、必死にうつむいてしまう。
 そんな僕を、ライナードはそっと抱き締めた。

「あーやっと言えたわ。お前も性器扱いてる時点でおかしいって気づけよ。普通に受け入れてるからビビったわ」
「ご、ごめん……」
「で、お前の気持ちはどうなんだよ。焦らしてねーで聞かせてくれよ」
「僕……僕……」

 僕は気持ちが洪水のように溢れてきて、ヒシッとライナードにしがみ付いた。

「ライナードのこと大好き。心の友じゃない。恋人として大好きだよ!」
「よぉーし。よく言えた」

 ライナードがわしゃわしゃ頭を撫でてくれたので、嬉しくなってきた僕は、更にギュッとライナードにしがみ付いたのだった。

※※※※

 しばらくギュウギュウ抱き合っていたら、ライナードがポツリとつぶやいた。

「じゃあ、風呂入るか……」
「お風呂……? 僕、お腹空いたんだけど……」
「空腹ぐらい我慢しろ! 今はそれよりやることがあるだろ!」

 やること……? 晩ご飯より大事なことってなんだろう? 言いたいことが分からず首をかしげていたら、ライナードがニッと男臭く笑った。

「セックスだよ。セックス。本当はすぐにでもセックスになだれ込みてーけど、俺の身体が汗くせーからな。一緒に風呂入ってからしようぜ」
「えぇ!?」

 両想いになった余韻よいんをもっと味わっていたいのに、もう次のステップに進んじゃうの? さすがライナードだなぁ。ノロノロな僕と違い、行動力が半端ない。
 で、でも、いきなりエッチなんて恥ずかしいよぉ。
 キスだけでもいっぱいいっぱいなのに、エッチなんてしたら緊張のあまり失神しそう……。
 どうしよう、断ろうかな? などと考えていたら、行動力のかたまりであるライナードに横抱きにされた。

「!?」
「ほら、風呂行くぞ。お前、俺と裸の付き合いがしたかったんだろ? 今日はたっぷり俺の裸を見せてやるよ」
「まっ、まってライナー……」

 ライナードと言おうと思ったのだけど、キスで黙らされてそれ以上言えなかった。
 ライナードは僕を横抱きにしながらノシノシとお風呂場に向かって歩き始めた。
 キスもそのままなので、僕はライナードの舌から逃げ回るのに必死だった。

 お風呂場に着くと、もの凄い速さで服を脱がされた。僕はあっという間に裸になり、恥ずかしいので股間を隠した。
 ライナードは僕を脱がし終えるとゆったりした動作で自分の服を脱いでいる。
 ライナードの鍛え抜かれた胸筋を見て、僕は思わず感嘆の息を漏らした。

「ライナードの裸、カッコいい……」
「そうか? 下半身はグロテスクだからビビるなよ?」

 そう言ってズルッとスラックスと下着を脱いだ。

「……!!」

 ライナードの股間を見て、僕は息を止める。
 な、なんだこれ……!? こんな大きな性器がこの世に存在するの!?
 僕の性器がミニウインナーだとしたら、ライナードはフランクフルトじゃないか!
 えー!? こんなのが僕の中に入るの? 嘘ぉ?

 そこで僕はハッとした。
 そう言えば今更だけど、僕は抱かれる側でいいんだよね? まさかライナード、僕に抱かれたいのかなぁ? 一応確認しよう。

「ライナードってもしかして僕に抱かれたいの? こんなミニソーセージでも許してくれる?」

 ライナードは僕の言葉に、あはは! と笑った。

「残念だけど、俺がお前を抱くんだよ! 俺、結構デカいから丁寧にほぐすけど、痛かったらごめんな!」

 い、痛いの!?
 痛いのやだ! 僕は真っ青になり、その場から逃げようとした。だが、ライナードに簡単に拘束されてしまい、そのままお風呂に直行したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

騎士団で一目惚れをした話

菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公 憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...