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第十話 ぐうたら、ついに言う②
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「ライナード。怒っちゃダメだよー」
僕はライナードのお膝にのせて貰い、なだめるフリをしながら甘えていた。ライナードはもの凄く面倒くさそうな目で僕を見ていたが、それでも僕を下ろしたりはしなかった。
調子に乗った僕はいつものようにライナードの胸にグリグリと頭を擦り付けていた。だが、あることを思い出してハッとした。
あ……そうだ。ライナードが好き過ぎて忘れていたけど、そう言えば僕、今日でライナードを解放してあげようと思っていたんだ。
解放とはつまり、今日で僕のお世話がかりを終わらせてあげようと思っていたのだ。
うわぁ……。嫌だなぁ。死ぬまでライナードに甘えていたいのに、今日で最後なんて……。
でも! それがライナードのためなら、僕我慢するよ!
思い立ったらすぐに行動に移さなければ。
僕は断腸の思いでライナードの膝から下りた。
それから不思議そうな表情をしているライナードをジッと見つめた。
「ライナード。突然だけど、もう僕のお世話がかりしなくていいよ」
僕の言葉に、ライナードは目を丸くした。
「は? 本当に突然だな。なんで?」
「実はね……僕、ライナードが載ってる雑誌読んだんだ。『月刊 冒険者!!』ってやつ」
途端にライナードの身体がビクッと硬直した。それから恐る恐ると言った様子で僕の表情をうかがう。
「お、お前……あんなくだらねー雑誌読んだのか?」
「くだらなくなんかないよ! ライナードのカッコ良さがこれでもかと詰まった素晴らしい雑誌だったよ!」
ライナードの顔が、カァーッと赤くなってゆく。ついでに『勘弁してくれ……』と言って手をヒラヒラさせた。
「クソ……。まさかあんなデカデカと特集組まれるなんて思わなかったんだよ。恥ずかしすぎるぜ。――それで、あの雑誌と世話がかりになんの関係があるんだ?」
僕はこくんとうなずくと、考えていたことを語った。
「あのね、ライナードは凄い冒険者なんだ。雑誌に特集を組まれるくらい凄い男なんだ。そんなライナードを僕のお世話がかりにするなんて申し訳ないよ。僕のお世話がかりを辞めたら泊まりの依頼だって受けられるんでしょう? 僕はライナードのお荷物なんだってやっと気付いたんだ。だからもうライナードを僕から解放してあげようと思って」
ライナードは僕が一生懸命話すのをただ黙って聞いていた。だが、それが終わるとなんてことないように『ふーん』とつぶやいた。
「まぁ、心配してくれるのはありがたいけど、俺そこまでギルドの仕事に入れ込んでないし、泊まりの仕事もしたくねーから気にしなくていいぞ?」
「え!?」
ギルドの仕事に入れ込んでないのに、Sランクなの?
やだ……この子天才なんじゃない……? などと畏怖の念を抱いていたら、ライナードはカラカラ笑った。
「俺、ぶっちゃけギルドの仕事よりお前の世話がかりの方が楽しい。だから世話がかりを断るなんて言わないでくれよ」
「ライナード……!」
ライナードがそんなことを言ってくれるなんて……。
てっきり、『マジで? 良かったぁ。お前の世話がかり面倒くさくてしょうがなかったんだよ』とか言われると思っていたのに……!
僕は嬉しさのあまり、椅子を倒す勢いでライナードに飛び付いたのだった。
僕はライナードのお膝にのせて貰い、なだめるフリをしながら甘えていた。ライナードはもの凄く面倒くさそうな目で僕を見ていたが、それでも僕を下ろしたりはしなかった。
調子に乗った僕はいつものようにライナードの胸にグリグリと頭を擦り付けていた。だが、あることを思い出してハッとした。
あ……そうだ。ライナードが好き過ぎて忘れていたけど、そう言えば僕、今日でライナードを解放してあげようと思っていたんだ。
解放とはつまり、今日で僕のお世話がかりを終わらせてあげようと思っていたのだ。
うわぁ……。嫌だなぁ。死ぬまでライナードに甘えていたいのに、今日で最後なんて……。
でも! それがライナードのためなら、僕我慢するよ!
思い立ったらすぐに行動に移さなければ。
僕は断腸の思いでライナードの膝から下りた。
それから不思議そうな表情をしているライナードをジッと見つめた。
「ライナード。突然だけど、もう僕のお世話がかりしなくていいよ」
僕の言葉に、ライナードは目を丸くした。
「は? 本当に突然だな。なんで?」
「実はね……僕、ライナードが載ってる雑誌読んだんだ。『月刊 冒険者!!』ってやつ」
途端にライナードの身体がビクッと硬直した。それから恐る恐ると言った様子で僕の表情をうかがう。
「お、お前……あんなくだらねー雑誌読んだのか?」
「くだらなくなんかないよ! ライナードのカッコ良さがこれでもかと詰まった素晴らしい雑誌だったよ!」
ライナードの顔が、カァーッと赤くなってゆく。ついでに『勘弁してくれ……』と言って手をヒラヒラさせた。
「クソ……。まさかあんなデカデカと特集組まれるなんて思わなかったんだよ。恥ずかしすぎるぜ。――それで、あの雑誌と世話がかりになんの関係があるんだ?」
僕はこくんとうなずくと、考えていたことを語った。
「あのね、ライナードは凄い冒険者なんだ。雑誌に特集を組まれるくらい凄い男なんだ。そんなライナードを僕のお世話がかりにするなんて申し訳ないよ。僕のお世話がかりを辞めたら泊まりの依頼だって受けられるんでしょう? 僕はライナードのお荷物なんだってやっと気付いたんだ。だからもうライナードを僕から解放してあげようと思って」
ライナードは僕が一生懸命話すのをただ黙って聞いていた。だが、それが終わるとなんてことないように『ふーん』とつぶやいた。
「まぁ、心配してくれるのはありがたいけど、俺そこまでギルドの仕事に入れ込んでないし、泊まりの仕事もしたくねーから気にしなくていいぞ?」
「え!?」
ギルドの仕事に入れ込んでないのに、Sランクなの?
やだ……この子天才なんじゃない……? などと畏怖の念を抱いていたら、ライナードはカラカラ笑った。
「俺、ぶっちゃけギルドの仕事よりお前の世話がかりの方が楽しい。だから世話がかりを断るなんて言わないでくれよ」
「ライナード……!」
ライナードがそんなことを言ってくれるなんて……。
てっきり、『マジで? 良かったぁ。お前の世話がかり面倒くさくてしょうがなかったんだよ』とか言われると思っていたのに……!
僕は嬉しさのあまり、椅子を倒す勢いでライナードに飛び付いたのだった。
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