13 / 16
第十三話 告白
しおりを挟む
メガネたちが店の中で話をしている間、俺はイリヤと一緒に外で待っていた。
十分位経った頃だろうか? 突然入り口のドアが開き、中から青髪が出てきた。俺は青髪の顔を見てギョッとした。青髪は泣いていたのだ。俺と目が合うと恥じるようにうつむき、そのまま外に走っていってしまった。
「アーリヤ!」
イリヤが慌ててあとを追いかける。
二人が見えなくなってから、俺は店内を確認する。
店内には、苦い表情をしたメガネが椅子にもたれかかっていた。
俺は店内に入っていき、メガネに声をかけた。
「話はついたのか?」
メガネはこちらを向くと、疲れたような声で『いいえ……』とつぶやいた。
「やり直したいと言われました。俺のことが好きだから諦めたくない……と」
それだけ言うと、メガネは苦笑いを浮かべた。
「すみません。フォルンさんは事情を知らないのに、こんなことを言われても困りますよね」
「いいや、イリヤから聞いたぞ。お前ら恋人同士だったんだろ? だけど青髪の浮気が原因で別れた。メガネは失恋のショックから仕事を辞めて実家に帰って来たんだな?」
メガネは知られたくなかったのが、イリヤたちが走って行った方角を睨み、『イリヤめ……。余計なことを……』とつぶやいた。
「イリヤは悪くないぞ。俺がしつこく聞いたんだ」
「そう……ですか」
メガネはそれだけ言うと、恥じるように頰をかいた。
「はは……。いい歳したおっさんが情け無いですよね。あんな若い子に夢中になって……。しかも、浮気されたくらいで別れて、仕事まで辞めてしまうなんて」
「……」
俺はメガネのところまで歩いて行き、ポンポンと頭を撫でてやった。
「恋に年齢は関係ないぞ。仕事を辞めるほどショックだったなんて、よっほど青髪のことが好きだったんだな」
「……」
「でも、立ち直ったんだろ? だってメガネ、今は俺に夢中だもんな?」
そう言ってバチンとウィンクをすると、メガネはぽかーんと口を開けた。だが、徐々に表情が緩んでゆきクスクスと笑い始めた。
「そうです。今はフォルンさんに夢中なんです。だってフォルンさんって、とても魅力的な人だから」
「へへ。そうだろう? メガネ、俺のどこが好きなのか言ってみろよ」
メガネは恥じることもなく、スラスラと言葉を口にした。
「そうですねぇ。まずは、美しいところですね。銀色に輝く髪も、宝石のような金色の瞳も、見る者がハッとするような整った顔立ちも、豹のようにしなやかな身体も、全てが美しく、俺の心を魅了します」
「なんだよメガネ。俺の見た目だけが好きなのか?」
「いいえ。まだまだありますよ。自由奔放なところ。パンケーキを作るのがとても上手なところ。明るい性格なところ。口が悪いところ。いやらしいことが大好きなところ。お喋りが好きなところ。なんでも適当なところ。……ふふ。俺はフォルンさんの全てが好きなのです。フォルンさんといると、フワフワした気持ちになります。まるで若い時にした初恋のようです」
メガネの言葉に気を良くした俺は、へへっと笑ってメガネの膝の上に乗っかった。
「メガネ本当、俺のこと大好きだな」
「はい。大好きです」
ふふ……。メガネは本当可愛いぜ。若くてもおっさんでも可愛い。こんなに愛情深い恋人がいるのに浮気するなんて、青髪はバカだなぁー。
俺ならメガネを大事にするのに。
浮気なんてしない。ずっとずっとメガネだけを見ててやるのに。
そんなことを考えて、俺は苦笑いを浮かべた。
あーあ。気付いちまったぜ、自分の気持ちに。
俺は、メガネに惚れていているのだ。
最初は面白いから揶揄っているだけだった。だけど、メガネの優しいところとか誠実なところを知るたびに、どんどん好きになっていった。もちろんセックスが上手いところも高評価だ。
メガネの性格も好き。顔も好き。セックスも好きとなれば、もう満点だろ。こんないい男、恋人にしない手はない。
俺は顔を上げ、穏やかに微笑むメガネの頰に、チュッとキスをした。
「俺の負けだ。どうやら俺は、お前のことが好きになっちまったらしい」
俺の突然の告白に、メガネは大いに驚いた。目を大きく見開き、『え? え?』とつぶやいている。
その翡翠色の瞳を見ながら、俺はニッと笑った。
「お前の恋人になってやるよ。セフレじゃない。本物の恋人同士だ。いいだろう? ネルトニア」
「な、名前っ……!」
ネルトニアの顔が真っ赤になった。
恐らく俺がメガネではなく、初めて名前で呼んだからだろう。
「そうかそうか。そんなに名前を呼んでやったのが嬉しいのか。可愛いなぁ、ネルトニアは」
俺はそう言って、わしわしとネルトニアの頭を撫でてやったのだった。
十分位経った頃だろうか? 突然入り口のドアが開き、中から青髪が出てきた。俺は青髪の顔を見てギョッとした。青髪は泣いていたのだ。俺と目が合うと恥じるようにうつむき、そのまま外に走っていってしまった。
「アーリヤ!」
イリヤが慌ててあとを追いかける。
二人が見えなくなってから、俺は店内を確認する。
店内には、苦い表情をしたメガネが椅子にもたれかかっていた。
俺は店内に入っていき、メガネに声をかけた。
「話はついたのか?」
メガネはこちらを向くと、疲れたような声で『いいえ……』とつぶやいた。
「やり直したいと言われました。俺のことが好きだから諦めたくない……と」
それだけ言うと、メガネは苦笑いを浮かべた。
「すみません。フォルンさんは事情を知らないのに、こんなことを言われても困りますよね」
「いいや、イリヤから聞いたぞ。お前ら恋人同士だったんだろ? だけど青髪の浮気が原因で別れた。メガネは失恋のショックから仕事を辞めて実家に帰って来たんだな?」
メガネは知られたくなかったのが、イリヤたちが走って行った方角を睨み、『イリヤめ……。余計なことを……』とつぶやいた。
「イリヤは悪くないぞ。俺がしつこく聞いたんだ」
「そう……ですか」
メガネはそれだけ言うと、恥じるように頰をかいた。
「はは……。いい歳したおっさんが情け無いですよね。あんな若い子に夢中になって……。しかも、浮気されたくらいで別れて、仕事まで辞めてしまうなんて」
「……」
俺はメガネのところまで歩いて行き、ポンポンと頭を撫でてやった。
「恋に年齢は関係ないぞ。仕事を辞めるほどショックだったなんて、よっほど青髪のことが好きだったんだな」
「……」
「でも、立ち直ったんだろ? だってメガネ、今は俺に夢中だもんな?」
そう言ってバチンとウィンクをすると、メガネはぽかーんと口を開けた。だが、徐々に表情が緩んでゆきクスクスと笑い始めた。
「そうです。今はフォルンさんに夢中なんです。だってフォルンさんって、とても魅力的な人だから」
「へへ。そうだろう? メガネ、俺のどこが好きなのか言ってみろよ」
メガネは恥じることもなく、スラスラと言葉を口にした。
「そうですねぇ。まずは、美しいところですね。銀色に輝く髪も、宝石のような金色の瞳も、見る者がハッとするような整った顔立ちも、豹のようにしなやかな身体も、全てが美しく、俺の心を魅了します」
「なんだよメガネ。俺の見た目だけが好きなのか?」
「いいえ。まだまだありますよ。自由奔放なところ。パンケーキを作るのがとても上手なところ。明るい性格なところ。口が悪いところ。いやらしいことが大好きなところ。お喋りが好きなところ。なんでも適当なところ。……ふふ。俺はフォルンさんの全てが好きなのです。フォルンさんといると、フワフワした気持ちになります。まるで若い時にした初恋のようです」
メガネの言葉に気を良くした俺は、へへっと笑ってメガネの膝の上に乗っかった。
「メガネ本当、俺のこと大好きだな」
「はい。大好きです」
ふふ……。メガネは本当可愛いぜ。若くてもおっさんでも可愛い。こんなに愛情深い恋人がいるのに浮気するなんて、青髪はバカだなぁー。
俺ならメガネを大事にするのに。
浮気なんてしない。ずっとずっとメガネだけを見ててやるのに。
そんなことを考えて、俺は苦笑いを浮かべた。
あーあ。気付いちまったぜ、自分の気持ちに。
俺は、メガネに惚れていているのだ。
最初は面白いから揶揄っているだけだった。だけど、メガネの優しいところとか誠実なところを知るたびに、どんどん好きになっていった。もちろんセックスが上手いところも高評価だ。
メガネの性格も好き。顔も好き。セックスも好きとなれば、もう満点だろ。こんないい男、恋人にしない手はない。
俺は顔を上げ、穏やかに微笑むメガネの頰に、チュッとキスをした。
「俺の負けだ。どうやら俺は、お前のことが好きになっちまったらしい」
俺の突然の告白に、メガネは大いに驚いた。目を大きく見開き、『え? え?』とつぶやいている。
その翡翠色の瞳を見ながら、俺はニッと笑った。
「お前の恋人になってやるよ。セフレじゃない。本物の恋人同士だ。いいだろう? ネルトニア」
「な、名前っ……!」
ネルトニアの顔が真っ赤になった。
恐らく俺がメガネではなく、初めて名前で呼んだからだろう。
「そうかそうか。そんなに名前を呼んでやったのが嬉しいのか。可愛いなぁ、ネルトニアは」
俺はそう言って、わしわしとネルトニアの頭を撫でてやったのだった。
3
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる