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冴子は占い師に言われたとおり、ボイストレーニングのスクールに通うことにした。
確かに、おなかから声を出すから、腹筋がきたえられるし、仕事で生徒に向かって話すとき、以前よりも聞き取りやすい大きな声を出せるようになった。
また仕事から少し離れることで、気分転換にもなるので、それもよかったのか、冴子の体調は次第に整ってきた。
そのころ、ボイストレーニングのスクールでいっしょに学んでいる年下の男性、真人に声をかけられた。
「僕、『第九を歌う会』に入っているんです。冴子さんもいかがですか。年末に舞台に立って第九を観客の前で歌えるんです。そのために、みんなが定期的に集まって、歌を練習するんですけど、スクールでのトレーニングが生かされるし、年末みんなの前で歌うと感動しますよ」
第九はコンサートで観客として聴いたときに感激して涙を流した経験がある。
今度は歌う側になれるのかと思うと、ときめきを覚え、冴子は真人と『第九を歌う会』に参加することにした。
真人は冴子より10歳も年下だが、常に冴子をリードし、冴子は年末に向けて楽しんで第九を練習することができた。
確かに、おなかから声を出すから、腹筋がきたえられるし、仕事で生徒に向かって話すとき、以前よりも聞き取りやすい大きな声を出せるようになった。
また仕事から少し離れることで、気分転換にもなるので、それもよかったのか、冴子の体調は次第に整ってきた。
そのころ、ボイストレーニングのスクールでいっしょに学んでいる年下の男性、真人に声をかけられた。
「僕、『第九を歌う会』に入っているんです。冴子さんもいかがですか。年末に舞台に立って第九を観客の前で歌えるんです。そのために、みんなが定期的に集まって、歌を練習するんですけど、スクールでのトレーニングが生かされるし、年末みんなの前で歌うと感動しますよ」
第九はコンサートで観客として聴いたときに感激して涙を流した経験がある。
今度は歌う側になれるのかと思うと、ときめきを覚え、冴子は真人と『第九を歌う会』に参加することにした。
真人は冴子より10歳も年下だが、常に冴子をリードし、冴子は年末に向けて楽しんで第九を練習することができた。
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