花音と俊太

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食事は連日続く冬の寒さで体の芯まで冷え切った体をほっこりと温めてくれる鍋にした。
食事中、俊太は言葉少なな花音を笑わそうとしたり、話題を自ら作ったりして会話を弾ませた。
俊太は花音が失恋したことをうすうすわかっているのか、恋愛の話しはいっさいしなかった。
食事を終えると、花音は言った。
「よかったー。一緒に食事ができて。元気が出てきた。楽しかったわ。持つべきものは後輩ね」
体が温まって、ピンク色になった花音のすっきりした顔を見て、俊太は安心して言った。
「宮野さんにはずっと、いろいろ教えてもらって、世話になってますから。こういうときこそ、いつものお礼です」
「ありがとう。鍋、おいしかったね。また食事に誘うね」
「はい。いつでも。僕でよければ」

俊太との食事中は楽しくて、笑うこともできたが、花音は家でひとりになると雅和のことを思い出してしまい、涙が出てきた。
雅和が奥さんと赤ちゃんと三人でしあわせそうにしているところを想像してしまうのだ。


雅和のことが忘れられない日々が続き、花音はある日仕事で大きなミスをしてしまった。
このままじゃいけない。
花音は雅和のことを忘れるため、今まで以上に仕事に励んだ。
花音のがんばっている姿を見て、俊太も応援してくれた。
花音と俊太はたまに食事に誘ったり、誘われたりして、楽しいひとときも味わった。