今があるから

ミユー

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喫茶店で会って、わたしはカレシを問い詰めた。
カレシはわたしに別れてほしいと言った。
わたしが見かけた、カレシと一緒に電車に乗っていた女性が好きなんだそうだ。
わたしは二股をかけられていたのだ。

「納得いかないよ」

わたしが言うと、

「そうだよな。納得いかないよな」

カレシはこたえた。
わたし達はそのあと黙り込んだ。
わたし達の放つ重苦しい雰囲気で、喫茶店のなかも暗闇になってしまったようだ。
しばらくするとカレシが口を開いた。

「でも、あの彼女が好きなんだ。俺のこと一番わかってくれる人だから」

そう言われてわたしは負けたと思った、その女性に。
わたしといるより、その女性といるほうがこの人はしあわせなのだ。

「別れてあげる」

わたしは言って、その場を去った。




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