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番外編①

両親の懺悔

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私達の娘の詩織が18歳で亡くなった。
18歳になり体調を崩す事が増え、詩織がどんどん弱ってきていたのを知っていたのに、私達は直接詩織に会いには行かなかった。正確には毎日病院まで通い、病室の前で中の様子を伺っていたが、病室に入る為のあと一歩が踏み出せなかったのだ。

後悔するのはわかっていた。でも最後に生きている詩織に会ってしまったら、私達の罪が軽くなるような気がして、それは許されないと思ったのだ。

毎日病室の前で祈った。

詩織が逝くときは声を殺して泣き続けた。
詩織は薄汚れたウサギのぬいぐるみを抱きしめながら、逝ったそうだ。そのぬいぐるみは、詩織が唯一欲しがった3歳の誕生日プレゼントで妻が詩織に笑顔で手渡した物だった。

思い出してみれば、3歳の詩織は「ママはウサギさんみたいね。」とよく言っていた。ウサギのぬいぐるみは詩織にとって、母親だったのだろうか。

妻は詩織を愛せなかった。愛しい我が子なのに愛せなかったのだ。いや、詩織をちゃんと愛していた。詩織の存在を無視しつつも、ずっと見つめ続けていたんだ。
私達は直接詩織と会う事はなかったが、医師や看護師を介して色々な物を渡してもらっていた(両親からとは秘密で)。今詩織の病室に入って一つ一つを2人で確認してみると、詩織が愛用していたのは妻が選んだ物ばかりだった。それを見て思うのは、母と子はちゃんと繋がっていたんだという事。

私があの時、詩織を病院生活させる判断をしなければ、その先の未来は変わっていたのだろうか?


唯一、詩織の大好きな人に見守られ逝かせられたのは、少しの救いになるだろうか。○○君には酷な事をさせてしまったが、詩織の好きな人は○○君で合っていただろうか?妻の言葉を信じ、○○君に詩織を看取ってもらったのだが。




私達には、私達のせいであんな風に育ってしまった姫香がいる。もう間違えは許されない。
これが3人がやり直す最後のチャンスだろう。





詩織、今度君に出会えたら絶対に間違えたりしない。君を必ず幸せにしてみせるから、次に出会える時もどうか私達の娘として生まれてきてほしい...
願わくば、来世では詩織と○○君の幸せに微笑み合う姿がみたい。
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