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さんかく公園
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小学生の時、よく遊びに行く大きめの公園とは別に、住宅街の隅に寂れた公園があった。
そこは昼間でもなんだか薄暗くて不気味な感じがして、皆あんまり近寄らない所。三角の形をしていたから、皆「さんかく公園」って呼んでた。
小3だったか、その辺の夏休みのある日。
いつもの公園で遊ぼうと友達と集まったんだが、そこは既に上級生がいっぱいいて、中学年の俺らは割って入れる感じじゃない。
ってことで、仕方なくその「さんかく公園」に行き先を変更することにした。
さんかく公園では、俺らはいつも通りカードゲームや高鬼をするつもりだった。
けど、座れる場所を探していた時、ベンチの横の辺りに色褪せた赤いプラバットとスポンジボールが置かれてるのを見つけた。
誰かの忘れ物なんだろうけど、俺らはそれを使って遊ぶことにした。
ルールはよく覚えてないけど、ワンバンでキャッチしてもアウトみたいなルールだった気がする。そういうゆるい野球みたいなのを始めた。
プラバットとスポンジボールだからそう飛ぶ訳でもなく、小さい公園でも十分に遊べたもんだ。
2人目か3人目で俺の打席が回ってきて、バットを受け取る。
よく見ると名前シールが貼られてたけど、ずっと雨に晒されてたのか掠れて名前は読めなかった。
丁度グリップの辺りが黒っぽく手の形がついてるのがちょっと気味悪いなって思ったのを覚えてる。
テキトーに枝で描いたバッターボックスに立って、素振りをする。別に俺は少年野球とかはしてなかったから、見様見真似で。
そしたらその時、バットを握ってる手に変な感触があった。
誰かが俺の手を上から握ってる、みたいな。
えっ、って思って俺の手を見たら、見た目は何も無いんだ。けど、誰かが絶対俺の手を触ってる。指の感触まである。
俺は気持ち悪くなって、バットを放り投げて手をぶんぶん振った。
手のひらには、赤黒い何かのカスみたいなのがこびり付いてて、ズボンで何回も拭った。
公園に植えられたでっかい木がザワザワ、ザワザワって鳴って、俺は怖くなって「もう帰ろう」って言って、皆が不思議そうにしてる中一人で帰った。
それからさんかく公園にはもう行ってない。
時折不審者の情報とかもあったみたいだけど、最近実家に帰った時もまだあったよ、さんかく公園。
バットがまだあったら流石に出来すぎだけどな。
そこは昼間でもなんだか薄暗くて不気味な感じがして、皆あんまり近寄らない所。三角の形をしていたから、皆「さんかく公園」って呼んでた。
小3だったか、その辺の夏休みのある日。
いつもの公園で遊ぼうと友達と集まったんだが、そこは既に上級生がいっぱいいて、中学年の俺らは割って入れる感じじゃない。
ってことで、仕方なくその「さんかく公園」に行き先を変更することにした。
さんかく公園では、俺らはいつも通りカードゲームや高鬼をするつもりだった。
けど、座れる場所を探していた時、ベンチの横の辺りに色褪せた赤いプラバットとスポンジボールが置かれてるのを見つけた。
誰かの忘れ物なんだろうけど、俺らはそれを使って遊ぶことにした。
ルールはよく覚えてないけど、ワンバンでキャッチしてもアウトみたいなルールだった気がする。そういうゆるい野球みたいなのを始めた。
プラバットとスポンジボールだからそう飛ぶ訳でもなく、小さい公園でも十分に遊べたもんだ。
2人目か3人目で俺の打席が回ってきて、バットを受け取る。
よく見ると名前シールが貼られてたけど、ずっと雨に晒されてたのか掠れて名前は読めなかった。
丁度グリップの辺りが黒っぽく手の形がついてるのがちょっと気味悪いなって思ったのを覚えてる。
テキトーに枝で描いたバッターボックスに立って、素振りをする。別に俺は少年野球とかはしてなかったから、見様見真似で。
そしたらその時、バットを握ってる手に変な感触があった。
誰かが俺の手を上から握ってる、みたいな。
えっ、って思って俺の手を見たら、見た目は何も無いんだ。けど、誰かが絶対俺の手を触ってる。指の感触まである。
俺は気持ち悪くなって、バットを放り投げて手をぶんぶん振った。
手のひらには、赤黒い何かのカスみたいなのがこびり付いてて、ズボンで何回も拭った。
公園に植えられたでっかい木がザワザワ、ザワザワって鳴って、俺は怖くなって「もう帰ろう」って言って、皆が不思議そうにしてる中一人で帰った。
それからさんかく公園にはもう行ってない。
時折不審者の情報とかもあったみたいだけど、最近実家に帰った時もまだあったよ、さんかく公園。
バットがまだあったら流石に出来すぎだけどな。
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