男子高校生の休み時間

こへへい

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作戦名「きもちをだいじに」

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和樹「誕生日のプレゼントで大事なのか気持ちだって言ってる人ほど、ろくなものを気持ちも込めず渡してくるのは何故だろうか」

隆太「そういうなよ、クルトガって結構高いんだぞ? 中学生の時、文房具マウント三種の神器として、カドケシ、ペン型ハサミに続く代物だ。これを持ってたら普通のシャーペンを持っている他者を抜きんでることができるんだぞ?」

和樹「高校生にもなって文房具で自己顕示すること自体がみっともないよ。それにくるくるしなくても、僕ペンを無意識に回して書けるから要らない機能なんだよね。それにこのクルトガ、消しゴムが貧弱だし。本当に気持ち込めたの?」

隆太「込めたに決まってるだろ。そんな俺の思いを和樹が受け止めてこそじゃないか。俺が考えに考え抜いたプレゼントなんだ。俺の分身と思っても過言じゃないね。それをなんだよ、貧弱だと? 批判ならいくらでも言えるね。だがこれは俺の分身だ。その俺そのものを批判したとあっては、流石に傷つくぞ」

和樹「え、そういう感じなの誕生日って。僕祝われてるはずなのに、気を遣わないといけないの?」

隆太「和樹はプレゼントの受け手であって、プレゼントの評価者じゃないんだ。なんだよ、お前はプレゼントを評価して、来年にはその反省を活かしたものが欲しいっていうんじゃないだろうな? 厚かましいにもほどがある。貰っただけでもありがたいと思え!」

和樹「まぁ素直にうれしいけどね、僕の筆箱ペン一本しかないし。けど、評価くらいはしたいよ。生ごみを寄こされて気持ちが込められているとか言われても受け取らないといけないレトリックが成立しちゃうじゃないか」

隆太「う、でも和樹のことを思って作ったクルトガなんだから、もっと嬉しそうにしてくれてもいいじゃないか」

和樹「作った!? クルトガって作れんの!?」

隆太「ああ、シャープペンシル記念館ってのがあってだな」

和樹「カップラーメンかよ! そんなのがあったとは。……確かに柄に色んな珍獣の絵が描かれているような」

隆太「その柄をクルトガの周りにラベリングできるんだよ。その間にシャープペンシルの歴史を見ることができた」

和樹「ねぇ、この黒いのって何?」

隆太「それは俺の自信作のカブトムシだな」

和樹「ゴキブリかと思った」

隆太「やはり返せ、俺の込めた気持ちを!」
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