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諦めなきゃいけないこと
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和樹「人生って、諦めなきゃいけない事がたくさんあると思うんだよね」
隆太「人生と来たか、えらく大きいな。17年くらいの人間風情が何をぬかすかと思えば」
和樹「隆太も人間風情だけどね。まだまだぺーぺーだけどね。でもそんなペーペーでも、こうやって人生ってのを見つめ直したくなる時があるのさ」
隆太「抽象的だな、何かあったんなら聞くぞ?」
和樹「この前初めてカラオケ行ったじゃん? それで僕結構上手いとか、声が良いって言われたじゃん?」
隆太「まぁ、言われてたな。普段から聞きなれていると分からんが、聞きなれない人間からしたらそういう評価になるのか、と驚いたもんだ」
和樹「声優になりたくて、養成所に行きたいんだよね」
隆太「諦めたら?」
和樹「えちょ、早くない? もっと親身になって考えても良くない?」
隆太「カラオケで歌が上手く歌えて、身内評価で声が良いって言われた程度で目指していいほど甘くないだろ。学校に入ったとて成功する声優なんて1パーセントが良い方だ。それに高校出てから声優についての学習でリソースが大きく割かれることになる。そしてその学びっていうのは他の職業のつぶしが効かない。1点突破しなければ当たって砕ける修羅の道なんだよ。だからやめとけ」
和樹「めっちゃ知ってるじゃん、詳しすぎでしょ。目指してた?」
隆太「声優のラジオで聞いた」
和樹「結構あけっぴろげに言うラジオだなぁ、でも信憑性あるか。ほらね、こうして人生っていうのは色んなことを諦めなければならないってことだよ」
隆太「ほらねって……声優になるのは諦めるにしても、声優になりたいモチベーションを、声優以外で埋めるって選択肢はあるぞ?」
和樹「ほんとに!? 何それ知りたい!」
隆太「まず、何で声優になりたいんだ? それを深堀するところから始まる」
和樹「アニメっていう好きなコンテンツに、この良い声を有効活用して成功すれば、好きなことを得意分野で仕事にしているってなるじゃん? これって一番健全な青写真だと思うわけよ」
隆太「青写真って、絵に描いた餅とか、机上の空論の間違いだろ。好きなことを仕事にして生きて来れている人なんて、それこそ1パーセントも無いだろうぜ。仕事なんて我慢してやるもんだろ。うちの担任の山本を思い出してみろよ。ぐでーってして毎日だるそうじゃないか」
和樹「アレと一緒にしちゃいけないよ」
隆太「流石にアレって言うな、俺が言うのもなんだが軽率が過ぎる」
和樹「おほん、山本も、先生の仕事が全部嫌いってわけないと思うんだよ。この前進路相談してた時に『先生って職業のやりがいは?』って聞いたら『やっぱ若い女子に囲まれることかな』て即答してたし。何なら食い気味だった」
隆太「アレを参考にした俺がバカだったよ。でもあれか、考え方次第で苦しい仕事でもやりがいを見出すことができるってことじゃないのか?」
和樹「あの見出し方は絶対見習っちゃだめなやつだけどね。諦めなきゃいけないことって言うか、諦めなくてもイケない事だからね」
隆太「だが声を活用してっていうなら、まだ道はあるぞ?」
和樹「何々? 聞かせて?」
隆太「VTberやyoutuberだな。ゲームしてリアクションしてるだけでお金がもらえるぞ」
和樹「でも、そういうのって大手に入らないと成功しないよね? いけるかなぁ」
隆太「最初は小さくからだよ、今は無料でVTuberになれるアプリもあるし。そういうので試してみるところから、手ごたえを覚えてもいいんじゃないか?」
山本「聞かせてもらったぜ。なるほどぉ、小さな(胸の)手ごたえから、か。参考になったよモミモミ」
隆太「マジでやめてくださいね。諦めて。試合終了どころか人生終了ですから」
隆太「人生と来たか、えらく大きいな。17年くらいの人間風情が何をぬかすかと思えば」
和樹「隆太も人間風情だけどね。まだまだぺーぺーだけどね。でもそんなペーペーでも、こうやって人生ってのを見つめ直したくなる時があるのさ」
隆太「抽象的だな、何かあったんなら聞くぞ?」
和樹「この前初めてカラオケ行ったじゃん? それで僕結構上手いとか、声が良いって言われたじゃん?」
隆太「まぁ、言われてたな。普段から聞きなれていると分からんが、聞きなれない人間からしたらそういう評価になるのか、と驚いたもんだ」
和樹「声優になりたくて、養成所に行きたいんだよね」
隆太「諦めたら?」
和樹「えちょ、早くない? もっと親身になって考えても良くない?」
隆太「カラオケで歌が上手く歌えて、身内評価で声が良いって言われた程度で目指していいほど甘くないだろ。学校に入ったとて成功する声優なんて1パーセントが良い方だ。それに高校出てから声優についての学習でリソースが大きく割かれることになる。そしてその学びっていうのは他の職業のつぶしが効かない。1点突破しなければ当たって砕ける修羅の道なんだよ。だからやめとけ」
和樹「めっちゃ知ってるじゃん、詳しすぎでしょ。目指してた?」
隆太「声優のラジオで聞いた」
和樹「結構あけっぴろげに言うラジオだなぁ、でも信憑性あるか。ほらね、こうして人生っていうのは色んなことを諦めなければならないってことだよ」
隆太「ほらねって……声優になるのは諦めるにしても、声優になりたいモチベーションを、声優以外で埋めるって選択肢はあるぞ?」
和樹「ほんとに!? 何それ知りたい!」
隆太「まず、何で声優になりたいんだ? それを深堀するところから始まる」
和樹「アニメっていう好きなコンテンツに、この良い声を有効活用して成功すれば、好きなことを得意分野で仕事にしているってなるじゃん? これって一番健全な青写真だと思うわけよ」
隆太「青写真って、絵に描いた餅とか、机上の空論の間違いだろ。好きなことを仕事にして生きて来れている人なんて、それこそ1パーセントも無いだろうぜ。仕事なんて我慢してやるもんだろ。うちの担任の山本を思い出してみろよ。ぐでーってして毎日だるそうじゃないか」
和樹「アレと一緒にしちゃいけないよ」
隆太「流石にアレって言うな、俺が言うのもなんだが軽率が過ぎる」
和樹「おほん、山本も、先生の仕事が全部嫌いってわけないと思うんだよ。この前進路相談してた時に『先生って職業のやりがいは?』って聞いたら『やっぱ若い女子に囲まれることかな』て即答してたし。何なら食い気味だった」
隆太「アレを参考にした俺がバカだったよ。でもあれか、考え方次第で苦しい仕事でもやりがいを見出すことができるってことじゃないのか?」
和樹「あの見出し方は絶対見習っちゃだめなやつだけどね。諦めなきゃいけないことって言うか、諦めなくてもイケない事だからね」
隆太「だが声を活用してっていうなら、まだ道はあるぞ?」
和樹「何々? 聞かせて?」
隆太「VTberやyoutuberだな。ゲームしてリアクションしてるだけでお金がもらえるぞ」
和樹「でも、そういうのって大手に入らないと成功しないよね? いけるかなぁ」
隆太「最初は小さくからだよ、今は無料でVTuberになれるアプリもあるし。そういうので試してみるところから、手ごたえを覚えてもいいんじゃないか?」
山本「聞かせてもらったぜ。なるほどぉ、小さな(胸の)手ごたえから、か。参考になったよモミモミ」
隆太「マジでやめてくださいね。諦めて。試合終了どころか人生終了ですから」
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