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28話 今さら戻ってこいと言われても、もう遅い
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俺、ミーシャ、ニナ。3人で、街の酒場に繰り出した。
「かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
酒をどんどん飲んでいく。今日の任務も無事に終えたし、酒がうまい! 3人でどんどん飲み食いしながら、雑談をする。
「いやー。2人の実力にはほれぼれしたよ。支援魔法を控えめにしても、グレイウルフを楽に倒せるなんてな」
「それを言うなら、ロイさんの支援魔法もさすがなのです。確かにいつもよりはずいぶん控えめでしたが、あれでも平均的なCランク支援魔法士の全力ぐらいの強化量はあったのです」
「ふん。ミーシャの言う通りね。ロイの実力は私たちが保証するわ。ずっとこのパーティで活躍してもらうわよ!」
「ああ。俺もそのつもりだ」
お互いがお互いの実力を認める。いいパーティだと思う。これで実力が伴っていなければ内輪で馴れ合うだけのパーティとなるが、彼女たちはCランク冒険者で実力は確かだ。そして、そんな彼女たちに認めてもらえた俺も少しは胸を張っていいだろう。
俺たちが機嫌よく飲み食いを進めていた、その時。招かれざる客がやってきた。
「ロイ!」
「ん?」
俺を呼ぶ声が聞こえた。誰だろう? 俺は声がした方を振り向く。
「これはこれは。ルフレさんじゃないですか。お久しぶりです」
”黒き炎”のルフレだ。なかなかの力量を持つ槍士である。俺は彼らによって追放されたので、正直あまりいい感情は持っていないが。
「喜べ! ロイ! 無能のお前が”黒き炎”に戻ってくることを認めてやろう。ユリウスさんの許可が出た」
「は、はあ……」
突然そんなことを言われてもな。
「何を間の抜けた顔をしている! ユリウスさんに感謝して、もっと喜んだらどうなんだ!」
「いえ。もう新たなパーティが見つかりましたので。俺のことは気にしないでください」
「強がりはよせ。無能のお前を入れるパーティなど、あるはずがないだろう!」
ルフレがそう畳み掛けてくる。
「……ロイさんを入れるパーティなら、ここにあるのです」
ミーシャがそう言う。
「ん? なんだこの弱そうな小娘は?」
「ちょっと! うちのミーシャをバカにしたら許さないわよ!」
ルフレのミーシャへの侮辱に、ニナが激怒する。しかし、ルフレはそれを意に介さない。
「ロイ! もしかして、この2人の小娘が新たなパーティメンバーなのか?」
「そうですが」
「こんな弱そうなやつらと組んだところで、先は見えているだろう。おとなしく”黒き炎”に戻れ」
「さっきから、ずいぶんと言ってくれるじゃない! 私たちを”白き雷光”と知っての物言いかしら?」
暴言を吐き続けるルフレに対して、ニナはブチ切れる寸前だ。そもそも、ミーシャとニナはCランク冒険者である。Bランクパーティの”黒き炎”には一歩及ばないかもしれないが、一般的に見て確かな実力はあると言える。
「白き雷光……? どこかで聞いた名前だが……。いや、そんなことはどうでもいい。ロイ。いつまでも意地を張っていないで、さっさと行くぞ」
「お断りします。今さら言われても、もう遅いです」
ミーシャとニナといっしょなら、上を目指せる。わざわざ”黒き炎”に戻る必要はない。気がかりがあるとすれば、唯一俺を慕ってくれていた後輩のシオンの存在だが……。彼女も子どもではないのだ。なんとかやっていくだろう。
「ぐっ。お前のために言ってやってるんだぞ!」
「俺に構わないでください。もう戻る気はないので」
「ちっ。せいぜい後悔することだな。もう2度と誘ってやらないからな。今さら戻ってきたいと言ってももう遅いぞ!」
ルフレはそう言って、店を出ていった。
--------------------------------------------------
2日後。ルフレは暗い顔をして、ユリウスたちが待つ街まで帰ってきた。さっそく、ユリウスがルフレに話しかける。
「どうだった? ロイの姿がないようだが」
「それが……。ロイは、新たなパーティを見つけたようです。確か、白き雷光と言っていました」
ルフレはそう報告する。
「な!? 白き雷光と言えば、新進気鋭のCランクパーティじゃないか。冗談はよせ!」
「そ、それが。冗談ではありません」
「バカな……」
あの無能のロイが、有望なCランクパーティに拾われただと。なぜだ。
「くっ。もしかすると、ロイは俺が思っていたよりも優秀だったのか? いや、そんなはずは……。俺はいったい、どうすればよいのだ……」
ユリウスは、答えの出ない自問自答を繰り返す。これからの”黒き炎”の行く末を考え、頭を抱えた。
「かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
酒をどんどん飲んでいく。今日の任務も無事に終えたし、酒がうまい! 3人でどんどん飲み食いしながら、雑談をする。
「いやー。2人の実力にはほれぼれしたよ。支援魔法を控えめにしても、グレイウルフを楽に倒せるなんてな」
「それを言うなら、ロイさんの支援魔法もさすがなのです。確かにいつもよりはずいぶん控えめでしたが、あれでも平均的なCランク支援魔法士の全力ぐらいの強化量はあったのです」
「ふん。ミーシャの言う通りね。ロイの実力は私たちが保証するわ。ずっとこのパーティで活躍してもらうわよ!」
「ああ。俺もそのつもりだ」
お互いがお互いの実力を認める。いいパーティだと思う。これで実力が伴っていなければ内輪で馴れ合うだけのパーティとなるが、彼女たちはCランク冒険者で実力は確かだ。そして、そんな彼女たちに認めてもらえた俺も少しは胸を張っていいだろう。
俺たちが機嫌よく飲み食いを進めていた、その時。招かれざる客がやってきた。
「ロイ!」
「ん?」
俺を呼ぶ声が聞こえた。誰だろう? 俺は声がした方を振り向く。
「これはこれは。ルフレさんじゃないですか。お久しぶりです」
”黒き炎”のルフレだ。なかなかの力量を持つ槍士である。俺は彼らによって追放されたので、正直あまりいい感情は持っていないが。
「喜べ! ロイ! 無能のお前が”黒き炎”に戻ってくることを認めてやろう。ユリウスさんの許可が出た」
「は、はあ……」
突然そんなことを言われてもな。
「何を間の抜けた顔をしている! ユリウスさんに感謝して、もっと喜んだらどうなんだ!」
「いえ。もう新たなパーティが見つかりましたので。俺のことは気にしないでください」
「強がりはよせ。無能のお前を入れるパーティなど、あるはずがないだろう!」
ルフレがそう畳み掛けてくる。
「……ロイさんを入れるパーティなら、ここにあるのです」
ミーシャがそう言う。
「ん? なんだこの弱そうな小娘は?」
「ちょっと! うちのミーシャをバカにしたら許さないわよ!」
ルフレのミーシャへの侮辱に、ニナが激怒する。しかし、ルフレはそれを意に介さない。
「ロイ! もしかして、この2人の小娘が新たなパーティメンバーなのか?」
「そうですが」
「こんな弱そうなやつらと組んだところで、先は見えているだろう。おとなしく”黒き炎”に戻れ」
「さっきから、ずいぶんと言ってくれるじゃない! 私たちを”白き雷光”と知っての物言いかしら?」
暴言を吐き続けるルフレに対して、ニナはブチ切れる寸前だ。そもそも、ミーシャとニナはCランク冒険者である。Bランクパーティの”黒き炎”には一歩及ばないかもしれないが、一般的に見て確かな実力はあると言える。
「白き雷光……? どこかで聞いた名前だが……。いや、そんなことはどうでもいい。ロイ。いつまでも意地を張っていないで、さっさと行くぞ」
「お断りします。今さら言われても、もう遅いです」
ミーシャとニナといっしょなら、上を目指せる。わざわざ”黒き炎”に戻る必要はない。気がかりがあるとすれば、唯一俺を慕ってくれていた後輩のシオンの存在だが……。彼女も子どもではないのだ。なんとかやっていくだろう。
「ぐっ。お前のために言ってやってるんだぞ!」
「俺に構わないでください。もう戻る気はないので」
「ちっ。せいぜい後悔することだな。もう2度と誘ってやらないからな。今さら戻ってきたいと言ってももう遅いぞ!」
ルフレはそう言って、店を出ていった。
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2日後。ルフレは暗い顔をして、ユリウスたちが待つ街まで帰ってきた。さっそく、ユリウスがルフレに話しかける。
「どうだった? ロイの姿がないようだが」
「それが……。ロイは、新たなパーティを見つけたようです。確か、白き雷光と言っていました」
ルフレはそう報告する。
「な!? 白き雷光と言えば、新進気鋭のCランクパーティじゃないか。冗談はよせ!」
「そ、それが。冗談ではありません」
「バカな……」
あの無能のロイが、有望なCランクパーティに拾われただと。なぜだ。
「くっ。もしかすると、ロイは俺が思っていたよりも優秀だったのか? いや、そんなはずは……。俺はいったい、どうすればよいのだ……」
ユリウスは、答えの出ない自問自答を繰り返す。これからの”黒き炎”の行く末を考え、頭を抱えた。
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