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13話 剣士ニナとの腕試し
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ミーシャのパーティメンバーの剣士ニナに、俺の実力を見てもらうことになった。支援魔法は合格をもらえた。今度は、戦闘能力のテストがある。
俺は冒険者ギルドの修練場で、ニナと対峙する。剣士である彼女を相手に、1分間持ちこたえる必要がある。勝たなくてもいいのは助かるが、それでも大変な難易度だ。気を引き締めなければならない。
「ふん! まずは私への支援魔法を解いて、代わりに自分への支援魔法を発動させなさい。それぐらいの時間はあげるわ」
「それでは遠慮なく。……我に祝福を。生命力強化、体力強化、肉体強度強化、視力強化、思考加速、反応速度強化ーー」
俺は自身にひと通りの支援魔法をかける。それと同時に、ニナにかけていた支援魔法を解除する。この支援魔法の有無による差があれば、何とか1分間は持ちこたえられるかもしれない。
「ふん! さあ、いつでもかかってきなさい! ……と言いたいところだけど、時間制限があるしね。悪いけど、こちらから行くわよ!」
「ああ、いつでも来い!」
俺は木剣を構える。集中してニナを見る。シュッ。ニナが動いた。
「東神流奥義……ナルカミ!」
ニナがそう言って、斬りつけてくる。奥義と言っているし、大技のようだ。
……ん? スピードはさほど速くないな。手加減してくれているのか。それとも、特殊効果や威力を重視した技なのだろうか。とりあえず、受けずに回避しておくか。
「ほいっと」
「ふん! なかなかやるみたいね! 私の超速の剣を回避するとはね!」
ん? 超速の剣? それほど速くなかったように思えたが。
「次、いくわよ。東神流奥義……十六夜連斬!」
ニナが引き続き、斬りつけてくる。連撃だ。おそらくは合計で16連の斬撃。しかし、やはりさほど速くはない。それに、攻撃に集中しているせいか、彼女にはスキが多い。
これは、もしかすると試されているのだろうか。あえて遅めに攻撃してスキだらけの状態をつくって、ちゃんと俺がそのスキを攻撃できるかどうか。1分間粘ることだけに意識が向いていたら、このスキだらけの状態を見逃してしまうだろう。
たとえ支援魔法士だとしても、受け身ばかりではダメだということか。勉強になる。自分よりも年下の少女に教えられるとはな。若いのにいろいろと考えている。
「せえぃっ!」
俺はそう掛け声を発し、ニナの胴体に向けて木剣を振る。彼女も攻撃を受けることは想定済みのはずだし、ある程度強い攻撃でもだいじょうぶだろう。そこそこの速さで剣を振り抜く。ニナに無事にヒットする。
「ぐっ! げほっ」
ニナが木剣を受け、床に転がる。痛みにうめいている。
「う、嘘よ……。私の奥義が見切られるなんて……」
「す、すまん。力を入れすぎたかもしれない。あえて攻撃を受けてくれたのに、悪かったな」
少し大人げなかったかもしれない。
「あえて? 何を言っているの?」
「え? いや、俺を試すためにあえてスキだらけの体を晒してくれたのだろう? 期待に応えようとして、つい力を入れすぎたみたいだ」
「…………。……。ふん! よくわかったわね。その通りよ! 合格にしてあげるわ!」
ニナがそう言う。やはり、俺は試されていたようだ。思い切って攻撃して正解だ。
「……ニナ? 本当にそうなのです?」
「ミーシャ。何も言わないで。後で相談しましょう」
ニナとミーシャで何やら話しているが、まあいいだろう。これで俺の再就職先のパーティが決まった。よかったよかった。
俺は冒険者ギルドの修練場で、ニナと対峙する。剣士である彼女を相手に、1分間持ちこたえる必要がある。勝たなくてもいいのは助かるが、それでも大変な難易度だ。気を引き締めなければならない。
「ふん! まずは私への支援魔法を解いて、代わりに自分への支援魔法を発動させなさい。それぐらいの時間はあげるわ」
「それでは遠慮なく。……我に祝福を。生命力強化、体力強化、肉体強度強化、視力強化、思考加速、反応速度強化ーー」
俺は自身にひと通りの支援魔法をかける。それと同時に、ニナにかけていた支援魔法を解除する。この支援魔法の有無による差があれば、何とか1分間は持ちこたえられるかもしれない。
「ふん! さあ、いつでもかかってきなさい! ……と言いたいところだけど、時間制限があるしね。悪いけど、こちらから行くわよ!」
「ああ、いつでも来い!」
俺は木剣を構える。集中してニナを見る。シュッ。ニナが動いた。
「東神流奥義……ナルカミ!」
ニナがそう言って、斬りつけてくる。奥義と言っているし、大技のようだ。
……ん? スピードはさほど速くないな。手加減してくれているのか。それとも、特殊効果や威力を重視した技なのだろうか。とりあえず、受けずに回避しておくか。
「ほいっと」
「ふん! なかなかやるみたいね! 私の超速の剣を回避するとはね!」
ん? 超速の剣? それほど速くなかったように思えたが。
「次、いくわよ。東神流奥義……十六夜連斬!」
ニナが引き続き、斬りつけてくる。連撃だ。おそらくは合計で16連の斬撃。しかし、やはりさほど速くはない。それに、攻撃に集中しているせいか、彼女にはスキが多い。
これは、もしかすると試されているのだろうか。あえて遅めに攻撃してスキだらけの状態をつくって、ちゃんと俺がそのスキを攻撃できるかどうか。1分間粘ることだけに意識が向いていたら、このスキだらけの状態を見逃してしまうだろう。
たとえ支援魔法士だとしても、受け身ばかりではダメだということか。勉強になる。自分よりも年下の少女に教えられるとはな。若いのにいろいろと考えている。
「せえぃっ!」
俺はそう掛け声を発し、ニナの胴体に向けて木剣を振る。彼女も攻撃を受けることは想定済みのはずだし、ある程度強い攻撃でもだいじょうぶだろう。そこそこの速さで剣を振り抜く。ニナに無事にヒットする。
「ぐっ! げほっ」
ニナが木剣を受け、床に転がる。痛みにうめいている。
「う、嘘よ……。私の奥義が見切られるなんて……」
「す、すまん。力を入れすぎたかもしれない。あえて攻撃を受けてくれたのに、悪かったな」
少し大人げなかったかもしれない。
「あえて? 何を言っているの?」
「え? いや、俺を試すためにあえてスキだらけの体を晒してくれたのだろう? 期待に応えようとして、つい力を入れすぎたみたいだ」
「…………。……。ふん! よくわかったわね。その通りよ! 合格にしてあげるわ!」
ニナがそう言う。やはり、俺は試されていたようだ。思い切って攻撃して正解だ。
「……ニナ? 本当にそうなのです?」
「ミーシャ。何も言わないで。後で相談しましょう」
ニナとミーシャで何やら話しているが、まあいいだろう。これで俺の再就職先のパーティが決まった。よかったよかった。
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