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12話 剣士ニナへの紹介
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ヒポタス草の採取任務を終え、ミーシャとともに冒険者ギルドに戻ってきた。
「今日は、ここでパーティメンバーの1人と待ち合わせしているのです。ええと……」
ミーシャがギルド内を見回す。ある女性を見たところで、顔が止まる。向こうもこちらに気づいたようだ。近づいてくる。
「ふん! 待ったわよ。ミーシャ」
勝ち気そうな女の子だ。年齢は10代中盤くらいだろう。ミーシャと同年代だ。
「わたしは時間通りに来たのです。ニナが早かっただけなのです」
「ふん! それもそうね。で、だれよコイツは?」
時間の件はあっさりと流し、女の子がこっちをジロリと見る。名前はニナというようだ。腰には剣を携えている。おそらくは剣士だろう。
「こちらはロイさん。優秀な支援魔法士なのです。今日のヒポタス草の採取で同行して、パーティを探していたそうなのでお誘いしたのです」
「ロイだ。初めまして」
俺はそうあいさつをする。
「ふん! 優秀な支援魔法士? 口では何とでも言えるわ! 信用できないわね!」
「本当に優秀なのです。多数の支援魔法を重ねがけできますし、本人の戦闘能力も高いのです」
訝しげなニナに対し、ミーシャがそう力説する。
「ふん! ミーシャがそこまで言うなら、チャンスをあげるわ!」
「チャンス? 何をすればいいんだ?」
俺はニナにそう問う。
「私に支援魔法をかけてみなさい! それで支援魔法の腕前を判断してあげるわ!」
「なんだそんなことか。ではさっそく。……彼の者に祝福を。生命力強化、体力強化、肉体強度強化、魔法攻撃力強化、魔力制御強化、魔力精度強化ーー」
俺はどんどんニナに支援魔法をかけていく。
「ち、ちょっと! いったい何を……」
「何って……。言われた通り、支援魔法をかけているだけだが?」
「そんなこと、見ればわかるわよ! そうじゃなくて、そんなに多くの支援魔法を発動するなんて何を考えているのかということよ! 最低でも数分ぐらいは持つようなペース配分じゃないと、きちんと評価できないじゃない!」
「ペース配分か。この程度なら、10時間以上は維持できるが」
街に戻ってきたタイミングで、俺、ミーシャ、ネモに対する支援魔法は解いてあるしな。魔力には余裕がある。
「ふん! そんなわけないでしょう! 嘘もたいがいにしなさい! B級以上の支援魔法士だって、この量の支援魔法を発動し続けられるのはせいぜい10分ぐらいだわ!」
「ニナ。10時間が本当かはわからないのですが、少なくとも1時間は発動できると思うのです。現に、影の森での活動時には、これぐらいの量の支援魔法を数時間維持していたのです」
「……! なるほど。まるっきりの嘘というわけでもないようね。わかったわ」
ニナはそう言う。
「支援魔法の腕前は合格にしてあげる。次は、戦闘能力を披露してもらおうかしら。いくら支援魔法士だからといって、後ろで突っ立っているだけの支援魔法士はお荷物だもの」
「ニナ。ロイさんは、戦闘能力もかなりのものなのです。ホーンラビットを一撃で仕留めていたのです」
ミーシャがそう言う。
「ふん! ホーンラビットごとき、まぐれでいいところに当たったのかもしれないわ。実力だと言うのなら、私相手にその力を見せてみなさい。ギルドの修練場に行くわよ」
「わかった」
俺、ニナ、ミーシャ。3人で修練場に向かう。鍛錬のために開放されている場所だ。今はちょうど人がいないようだ。
「さあ、やるわよ。もちろん木剣でね」
ニナがそう言って、修練場の隅に置いてある木剣を2本手に取る。1本を俺に差し出してきたので、受け取る。
「全力を尽くそう。俺が君に勝つことは難しいかもしれないが……」
「何も、勝つ必要はないわ。そうね。1分間よ。1分間だけでも持ちこたえられたら、実力を認めてあげるわ」
ニナがそう言う。剣士である彼女を相手に、支援魔法士である俺が1分間も粘る必要があるのか。なかなか厳しい戦いになりそうだ。気を引き締めよう。
「今日は、ここでパーティメンバーの1人と待ち合わせしているのです。ええと……」
ミーシャがギルド内を見回す。ある女性を見たところで、顔が止まる。向こうもこちらに気づいたようだ。近づいてくる。
「ふん! 待ったわよ。ミーシャ」
勝ち気そうな女の子だ。年齢は10代中盤くらいだろう。ミーシャと同年代だ。
「わたしは時間通りに来たのです。ニナが早かっただけなのです」
「ふん! それもそうね。で、だれよコイツは?」
時間の件はあっさりと流し、女の子がこっちをジロリと見る。名前はニナというようだ。腰には剣を携えている。おそらくは剣士だろう。
「こちらはロイさん。優秀な支援魔法士なのです。今日のヒポタス草の採取で同行して、パーティを探していたそうなのでお誘いしたのです」
「ロイだ。初めまして」
俺はそうあいさつをする。
「ふん! 優秀な支援魔法士? 口では何とでも言えるわ! 信用できないわね!」
「本当に優秀なのです。多数の支援魔法を重ねがけできますし、本人の戦闘能力も高いのです」
訝しげなニナに対し、ミーシャがそう力説する。
「ふん! ミーシャがそこまで言うなら、チャンスをあげるわ!」
「チャンス? 何をすればいいんだ?」
俺はニナにそう問う。
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「なんだそんなことか。ではさっそく。……彼の者に祝福を。生命力強化、体力強化、肉体強度強化、魔法攻撃力強化、魔力制御強化、魔力精度強化ーー」
俺はどんどんニナに支援魔法をかけていく。
「ち、ちょっと! いったい何を……」
「何って……。言われた通り、支援魔法をかけているだけだが?」
「そんなこと、見ればわかるわよ! そうじゃなくて、そんなに多くの支援魔法を発動するなんて何を考えているのかということよ! 最低でも数分ぐらいは持つようなペース配分じゃないと、きちんと評価できないじゃない!」
「ペース配分か。この程度なら、10時間以上は維持できるが」
街に戻ってきたタイミングで、俺、ミーシャ、ネモに対する支援魔法は解いてあるしな。魔力には余裕がある。
「ふん! そんなわけないでしょう! 嘘もたいがいにしなさい! B級以上の支援魔法士だって、この量の支援魔法を発動し続けられるのはせいぜい10分ぐらいだわ!」
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「……! なるほど。まるっきりの嘘というわけでもないようね。わかったわ」
ニナはそう言う。
「支援魔法の腕前は合格にしてあげる。次は、戦闘能力を披露してもらおうかしら。いくら支援魔法士だからといって、後ろで突っ立っているだけの支援魔法士はお荷物だもの」
「ニナ。ロイさんは、戦闘能力もかなりのものなのです。ホーンラビットを一撃で仕留めていたのです」
ミーシャがそう言う。
「ふん! ホーンラビットごとき、まぐれでいいところに当たったのかもしれないわ。実力だと言うのなら、私相手にその力を見せてみなさい。ギルドの修練場に行くわよ」
「わかった」
俺、ニナ、ミーシャ。3人で修練場に向かう。鍛錬のために開放されている場所だ。今はちょうど人がいないようだ。
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ニナがそう言って、修練場の隅に置いてある木剣を2本手に取る。1本を俺に差し出してきたので、受け取る。
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「何も、勝つ必要はないわ。そうね。1分間よ。1分間だけでも持ちこたえられたら、実力を認めてあげるわ」
ニナがそう言う。剣士である彼女を相手に、支援魔法士である俺が1分間も粘る必要があるのか。なかなか厳しい戦いになりそうだ。気を引き締めよう。
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