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1話 Dランク支援魔法士、追放される
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「役立たずのお前は追放する!」
パーティリーダーのユリウスがそう言う。俺はしばらく、頭が真っ白になる。
「そ、そんな……。がんばってきたのに! 考え直してください! ユリウスさん!」
「がんばる? そんなことは当たり前だ! 俺たちは、結果を出さなければならない! お前みたいな無能のDランク支援魔法士をパーティに入れている余裕はないのだ!」
必死にすがりつく俺に対し、ユリウスはそう冷たい言葉を口にする。
バカな……。どうしてこうなった? 俺はパーティに貢献できるよう、今まで精一杯努力してきた。今日の魔物討伐も無事に終えて、意気揚々と冒険者ギルドに戻ってきたところだったのに。
ユリウスは考えを変えるつもりはないようだ。こうなれば、彼以外の人を味方につけるしかない。
「みなさん……。みなさんからも、どうかユリウスさんを説得してください!」
俺は他のメンバーに向かって、そう叫ぶ。
「リーダーを説得? そんなことをする必要はありませんわ。だって、私たちの意見は同じなのですもの」
「その通りですね。無能のロイを追い出すという意見は、パーティメンバー全員の共通意見です。Dランクの足手まといは去ってください」
「吾輩たちは、B級冒険者。支援魔法などなくとも魔物など取るに足らない。誤差レベルの支援魔法など、吾輩たちのパーティには不要なのだよ」
ユリウス以外のメンバーからも、口々に冷たい言葉が出てくる。
「そ、そんな……。俺、がんばって支援魔法を鍛えてきたのに。みなさんが少しでも楽できるようにと、長時間いろんなステータスを強化する支援魔法を維持して……」
俺は未練がましくそうつぶやく。しかし。
「何をゴチャゴチャ言ってやがる! 往生際が悪いんだよ!」
ユリウスがそう言って、俺を突き飛ばす。俺は尻もちをつく。
「ふふん。言い訳は見苦しいですわ」
「その通りですね。それに、少し押されただけでバランスを崩して無様に尻もちをつくとは。貧弱にもほどがあります」
「そ、それは……。みなさんをめいいっぱい強化するために、自分自身への支援魔法を控えめにしているからで……」
俺はそう事情を説明する。俺は彼らに、狩りの間は常に10を超える支援魔法をかけ続けている。また、強い魔物との戦闘時にはさらにポイントを絞って強力な支援魔法をかけることもある。その分、自分自身への支援魔法は最低限に抑えているのだ。
この事情を理解してもらえれば、彼らの俺に対する評価も変わるはず。俺はそう思って、説明を続けようとする。しかし。
「言い訳ばかりするな! お主の軟弱さを見ていると、吾輩たちまで弱くなりそうである! 即刻立ち去れい!」
「痛い目に合わないとわからねえのか!? 力づくで追い出してやってもいいんだぞ!」
ユリウスがとうとう剣を抜く。
マジか。そこまでするか。そこまでして追い出したいほど、俺は無能だと思われていたのか。
「くたばりやがれ!」
「ひっ。ひいいいっ!」
ユリウスが剣を持って迫ってくる。俺は、地べたを這いずりながら必死に冒険者ギルドから逃げ出した。
パーティリーダーのユリウスがそう言う。俺はしばらく、頭が真っ白になる。
「そ、そんな……。がんばってきたのに! 考え直してください! ユリウスさん!」
「がんばる? そんなことは当たり前だ! 俺たちは、結果を出さなければならない! お前みたいな無能のDランク支援魔法士をパーティに入れている余裕はないのだ!」
必死にすがりつく俺に対し、ユリウスはそう冷たい言葉を口にする。
バカな……。どうしてこうなった? 俺はパーティに貢献できるよう、今まで精一杯努力してきた。今日の魔物討伐も無事に終えて、意気揚々と冒険者ギルドに戻ってきたところだったのに。
ユリウスは考えを変えるつもりはないようだ。こうなれば、彼以外の人を味方につけるしかない。
「みなさん……。みなさんからも、どうかユリウスさんを説得してください!」
俺は他のメンバーに向かって、そう叫ぶ。
「リーダーを説得? そんなことをする必要はありませんわ。だって、私たちの意見は同じなのですもの」
「その通りですね。無能のロイを追い出すという意見は、パーティメンバー全員の共通意見です。Dランクの足手まといは去ってください」
「吾輩たちは、B級冒険者。支援魔法などなくとも魔物など取るに足らない。誤差レベルの支援魔法など、吾輩たちのパーティには不要なのだよ」
ユリウス以外のメンバーからも、口々に冷たい言葉が出てくる。
「そ、そんな……。俺、がんばって支援魔法を鍛えてきたのに。みなさんが少しでも楽できるようにと、長時間いろんなステータスを強化する支援魔法を維持して……」
俺は未練がましくそうつぶやく。しかし。
「何をゴチャゴチャ言ってやがる! 往生際が悪いんだよ!」
ユリウスがそう言って、俺を突き飛ばす。俺は尻もちをつく。
「ふふん。言い訳は見苦しいですわ」
「その通りですね。それに、少し押されただけでバランスを崩して無様に尻もちをつくとは。貧弱にもほどがあります」
「そ、それは……。みなさんをめいいっぱい強化するために、自分自身への支援魔法を控えめにしているからで……」
俺はそう事情を説明する。俺は彼らに、狩りの間は常に10を超える支援魔法をかけ続けている。また、強い魔物との戦闘時にはさらにポイントを絞って強力な支援魔法をかけることもある。その分、自分自身への支援魔法は最低限に抑えているのだ。
この事情を理解してもらえれば、彼らの俺に対する評価も変わるはず。俺はそう思って、説明を続けようとする。しかし。
「言い訳ばかりするな! お主の軟弱さを見ていると、吾輩たちまで弱くなりそうである! 即刻立ち去れい!」
「痛い目に合わないとわからねえのか!? 力づくで追い出してやってもいいんだぞ!」
ユリウスがとうとう剣を抜く。
マジか。そこまでするか。そこまでして追い出したいほど、俺は無能だと思われていたのか。
「くたばりやがれ!」
「ひっ。ひいいいっ!」
ユリウスが剣を持って迫ってくる。俺は、地べたを這いずりながら必死に冒険者ギルドから逃げ出した。
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