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1話 無能のテイマー、追放される
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「アルフ! お前のような無能は、我が伯爵家から追放する!」
ある日、俺は父上から追放を言い渡されてしまった。
「な、なぜですか、父上! 俺にいったい何の落ち度が!?」
「はぁ? 何が『俺にいったい何の落ち度が』だ。お前にはテイマーとしての才能がない。現に、スライムやホーンラビットの1匹ですらテイムできておらんではないか!」
「うっ……。それは……」
父上が言ってきたことは事実だ。
俺にはテイマーとしての才能がない。
代々強力な魔物をテイムすることで栄えてきたこの伯爵家にとって、俺は認めがたい落ちこぼれだ。
「ふん! 今までは父として甘く見てきてやったが、それも今日までだ! ……入ってこい、エドガー!」
父上がそう叫ぶ。
そして、この書室のトビラを開けて1人の男が入ってきた。
「お呼びでしょうか? 父上」
そう言うのは、俺の弟であるエドガーだ。
年齢は俺の2つ下で、14歳である。
「お前が開花させたテイムを少しだけ見せてやれ!」
父上がエドガーにそう指示を出す。
「……なるほど、この無能に差を見せてやればいいのですか。わかりました」
エドガーが俺を見て、侮蔑の表情を浮かべる。
彼が口に指をやる。
ピュイイィーー!!
彼が大きな口笛を吹いた。
そしてーー。
「ワンワンッ!」
書斎のトビラから現れたのは、立派な犬だ。
体長は2メートルを超える。
そこらの魔物よりも強そうだ。
「よく来たな、俺の相棒よ!」
エドガーが上機嫌にそれを出迎える。
彼が犬と戯れる。
確かに、ちゃんと意思疎通できている。
「見たか! これこそがテイムだ。エドガーはこの歳で、これほどの魔物を従えておる。将来的にはもっと上級の魔物のテイムも可能だろう。それに引き換え、お前はなんだ!」
父上がそう怒鳴る。
彼がそのまま言葉を続ける。
「下級の魔物はおろか、最下級のスライムやホーンラビットですらテイムできんとは! それぐらいなら、平民でもできるやつはゴロゴロいるというのに。我が伯爵家の面汚しめ!」
父上が怒りの形相でこちらをにらむ。
「た、確かに俺にはテイマーとしての才能はありません……。しかし、統治のための勉学や、戦闘に向けた剣術など、いろいろとがんばってきました。なにとぞ、ご再考のほどを……」
「黙れ無能め! 統治など、代官に任せておけばよいのだ。我が伯爵家は、代々強力な魔物を従えることで王家より重宝されてきた。国内に出没した上級の魔物の討伐や、盗賊団の掃討、それに他国との戦争もある。そんなに剣術が自慢なら、我が召喚獣と戦ってみるか?」
「うっ。それは……」
父上が言うことにも一理ある。
この伯爵家においては、テイムの腕前が最重要なのだ。
「ははっ! なんなら、俺の相棒とでもいいぜ! まだ訓練中だが、無能のアルフには負けねえはずだ」
エドガーが自信有り気にそう言う。
彼が従えている魔物は中級ぐらいだ。
父上が従えている魔物とは比べるベくもないが、一般的には中級でも十分な戦力となる。
中級の魔物をソロで倒すことができる者は、限られる。
冒険者ランクでいえば、Cランク以上は必要だろう。
俺は剣術の鍛錬に励んできたが、残念ながらまだまだ初級だ。
「く……。今の俺では、その魔物に勝つことは厳しい……」
俺は思わずそう弱音を吐く。
「それみたことか! 多少剣術をかじった程度では、何の役にも立たん」
父上が呆れた声を出す。
「ははっ! 無能のライルは、度胸すらないんだな。臆病者は、さっさと去りな」
エドガーが侮蔑の表情とともにそう言う。
「うう……。し、しかしーー」
俺は何とか食い下がろうとする。
「くどい! エドガー、この無能を追い出せ!」
「承知しました。 ……いけっ! 俺の相棒よ!」
「ワンワンッ!」
エドガーの合図とともに、犬型の魔物が俺に襲いかかってくる。
歯をむき出しにしており、今にも噛み付いてきそうだ。
「ひ、ひいいいっ!」
俺は恐怖とともに、ほうほうの体で逃げ出した。
ある日、俺は父上から追放を言い渡されてしまった。
「な、なぜですか、父上! 俺にいったい何の落ち度が!?」
「はぁ? 何が『俺にいったい何の落ち度が』だ。お前にはテイマーとしての才能がない。現に、スライムやホーンラビットの1匹ですらテイムできておらんではないか!」
「うっ……。それは……」
父上が言ってきたことは事実だ。
俺にはテイマーとしての才能がない。
代々強力な魔物をテイムすることで栄えてきたこの伯爵家にとって、俺は認めがたい落ちこぼれだ。
「ふん! 今までは父として甘く見てきてやったが、それも今日までだ! ……入ってこい、エドガー!」
父上がそう叫ぶ。
そして、この書室のトビラを開けて1人の男が入ってきた。
「お呼びでしょうか? 父上」
そう言うのは、俺の弟であるエドガーだ。
年齢は俺の2つ下で、14歳である。
「お前が開花させたテイムを少しだけ見せてやれ!」
父上がエドガーにそう指示を出す。
「……なるほど、この無能に差を見せてやればいいのですか。わかりました」
エドガーが俺を見て、侮蔑の表情を浮かべる。
彼が口に指をやる。
ピュイイィーー!!
彼が大きな口笛を吹いた。
そしてーー。
「ワンワンッ!」
書斎のトビラから現れたのは、立派な犬だ。
体長は2メートルを超える。
そこらの魔物よりも強そうだ。
「よく来たな、俺の相棒よ!」
エドガーが上機嫌にそれを出迎える。
彼が犬と戯れる。
確かに、ちゃんと意思疎通できている。
「見たか! これこそがテイムだ。エドガーはこの歳で、これほどの魔物を従えておる。将来的にはもっと上級の魔物のテイムも可能だろう。それに引き換え、お前はなんだ!」
父上がそう怒鳴る。
彼がそのまま言葉を続ける。
「下級の魔物はおろか、最下級のスライムやホーンラビットですらテイムできんとは! それぐらいなら、平民でもできるやつはゴロゴロいるというのに。我が伯爵家の面汚しめ!」
父上が怒りの形相でこちらをにらむ。
「た、確かに俺にはテイマーとしての才能はありません……。しかし、統治のための勉学や、戦闘に向けた剣術など、いろいろとがんばってきました。なにとぞ、ご再考のほどを……」
「黙れ無能め! 統治など、代官に任せておけばよいのだ。我が伯爵家は、代々強力な魔物を従えることで王家より重宝されてきた。国内に出没した上級の魔物の討伐や、盗賊団の掃討、それに他国との戦争もある。そんなに剣術が自慢なら、我が召喚獣と戦ってみるか?」
「うっ。それは……」
父上が言うことにも一理ある。
この伯爵家においては、テイムの腕前が最重要なのだ。
「ははっ! なんなら、俺の相棒とでもいいぜ! まだ訓練中だが、無能のアルフには負けねえはずだ」
エドガーが自信有り気にそう言う。
彼が従えている魔物は中級ぐらいだ。
父上が従えている魔物とは比べるベくもないが、一般的には中級でも十分な戦力となる。
中級の魔物をソロで倒すことができる者は、限られる。
冒険者ランクでいえば、Cランク以上は必要だろう。
俺は剣術の鍛錬に励んできたが、残念ながらまだまだ初級だ。
「く……。今の俺では、その魔物に勝つことは厳しい……」
俺は思わずそう弱音を吐く。
「それみたことか! 多少剣術をかじった程度では、何の役にも立たん」
父上が呆れた声を出す。
「ははっ! 無能のライルは、度胸すらないんだな。臆病者は、さっさと去りな」
エドガーが侮蔑の表情とともにそう言う。
「うう……。し、しかしーー」
俺は何とか食い下がろうとする。
「くどい! エドガー、この無能を追い出せ!」
「承知しました。 ……いけっ! 俺の相棒よ!」
「ワンワンッ!」
エドガーの合図とともに、犬型の魔物が俺に襲いかかってくる。
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「ひ、ひいいいっ!」
俺は恐怖とともに、ほうほうの体で逃げ出した。
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