上 下
69 / 75

69話 攻撃力試験

しおりを挟む
 第二の攻撃力試験。
 魔導師アーシアは無事に合格した。
 続いて、レオナードやミレアが試験を受けていく。

「俺もいくぜっ! 【豪腕剣】!!」

「【炎熱煉獄脚】ダ!!!」

「なっ……。魔法も使わずに、魔導師のわたくしと同程度の攻撃をするなんて……」

 自信を取り戻しかけていたアーシアであったが、その顔は再び青ざめていく。
 レオナードとミレアの実力を感じて、驚嘆したのだ。
 他の者たちも試験に臨み、合否を言い渡される。
 残すはシンヤのみとなった。

「うーん。どの魔法を使おうかなぁ……」

「ふふふ。それはもちろん、ご自分の得意魔法を使うべきでしょう」

「え? だが、強すぎる魔法で会場が壊れたりしたら……」

「ぷっ……。ご冗談を。シンヤ殿の戦闘センスや身体能力強化魔法の腕はわたくしも認めますが、さすがにこの会場をどうにかするほどの高威力の魔法を放つことはできないでしょう」

「そうか?」

「ええ。遠慮なく全力を出す方がよろしいですわ。この試験の合格ラインは決して低くありませんもの」

「そっか。そうだな。よし、決めた」

 シンヤは両手を広げ、魔法陣を展開する。

「行くぞ――【マジック・バースト】」

 シンヤの手から光が溢れ出す。
 それは、純粋な魔力の奔流であった。

「な、なんだあれは……」

「すげぇ……」

「ま、眩しい……」

「おぉ……」

「綺麗……」

「……美しい」

「…………」

 あまりの美しさに、受験者たちは皆、言葉を失う。
 そして――

 ドゴーン!!!
 轟音と共に、シンヤの放った魔法が標的を木端微塵に粉砕した。
 それだけではない。
 標的付近の地面までもが吹き飛び、大きな穴が空いている。

「「「な、なんじゃこりゃぁあああっ!?」」」

 他の受験者や試験官の声が重なる。
 会場にいる誰もが予想していなかった事態に、驚き戸惑っているようだ。

「…………や、やっちまったか?」

 シンヤの顔に、冷や汗が流れる。
 だが、彼にとって幸運なことに、『やり過ぎたから不合格』などということはなかった。
 彼は無事に攻撃力試験を突破し、次の試験に進めることになったのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました

七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。 世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。 それが、この世界の 絶対のルール だった。 そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。 異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。 ※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

農民レベル99 天候と大地を操り世界最強

九頭七尾
ファンタジー
【農民】という天職を授かり、憧れていた戦士の夢を断念した少年ルイス。 仕方なく故郷の村で農業に従事し、十二年が経ったある日のこと、新しく就任したばかりの代官が訊ねてきて―― 「何だあの巨大な大根は? 一体どうやって収穫するのだ?」 「片手で抜けますけど? こんな感じで」 「200キロはありそうな大根を片手で……?」 「小麦の方も収穫しますね。えい」 「一帯の小麦が一瞬で刈り取られた!? 何をしたのだ!?」 「手刀で真空波を起こしただけですけど?」 その代官の勧めで、ルイスは冒険者になることに。 日々の農作業(?)を通し、最強の戦士に成長していた彼は、最年長ルーキーとして次々と規格外の戦果を挙げていくのだった。 「これは投擲用大根だ」 「「「投擲用大根???」」」

えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜

楠ノ木雫
ファンタジー
 まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。  目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。  そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!  追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

処理中です...