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62話 Bランク昇格試験の内容

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 シンヤたちがオルドレンに到着し、誇り高きCランク魔導師のアーシアとひと悶着を起こしてから数日後――

「ふふん。ついに私の実力を見せつけるときがきましたわね」

 自信満々といった様子の少女が、Bランク昇格試験の会場を訪れていた。
 少女の名はアーシア。
 シンヤやミレアとはまた違った地域で名を上げている新進気鋭の魔導師である。
 彼女は今回、このオルドレンで行われる昇級試験に合格することで、晴れて一流魔導師の仲間入りを果たすことを狙っていた。

「くっくっく。ようやく私にも運が向いてきましたわ」

 アーシアは邪悪な笑みを浮かべた。
 思えば、苦労してきたものだ。
 それは魔物討伐に関するものではない。
 女としての苦難であった。

「男に言い寄られるなど、まっぴらごめんですもの。だから私は、ずっとソロで活動してきたのです。なのに、あの忌々しいシンヤとかいう奴のせいで……」

 アーシアは数日前のことを思い出し、歯ぎしりをした。
 下賤な者たちが騒いでいたので、彼女は喧嘩両成敗とばかりにその場を収めようとした。
 有象無象のチンピラ紛いの冒険者たちは彼女の雷魔法『スタン』により気絶させられたのだが、1人だけ平気な顔をしている者がいたのだ。
 それがシンヤであった。

 彼はあろうことか、アーシアに反撃してきた。
 魔力を増強させる効果のある特殊な下着――黒のTバックを彼によってズリ下ろされたことで、彼女は実質的に無力化されてしまった。
 さらにはその後の攻防で2人共がバランスを崩し、ノーパンの状態で彼の顔の上に騎乗してしまったのだ。

「本当に腹立たしいですわ。あんな変態野郎のことなど忘れてしまいましょう」

 アーシアは首を左右に振った。
 そして、意識を切り替える。
 今は目の前の試験に集中しなくてはならない。

 今回の試験内容は、大きく5つに分けられる。
 1つ目は持久力試験。
 2つ目が筆記試験。
 3つ目が攻撃力試験。
 4つ目が耐久力試験。
 そして最後の5つ目が、総合力試験の模擬試合だ。
 以上の内容で合否が決まる。

 まずは最初の持久力試験に向けて、アーシアは集中力を高めていくのであった。
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