61 / 75
61話 トラブル
しおりを挟む
シンヤは再び、床に這いつくばった。
彼が視線を向けるのは――
「ちょっ、どこを見ようとしているのですか?」
「ん? もちろん、スカートの奥だが」
アーシアが身に付けているのは、ワンピース型魔導着だ。
膝丈ぐらいなので、通常であれば大切なところが見えてしまうことはない。
だが、シンヤのように露骨に覗き込もうとすれば話は別だ。
顔を真っ赤にしながら慌てるアーシアに構わず、シンヤは彼女に這いずりよっていく。
その姿、まるで変態のごとし。
「ひ、ひいぃっ! ス、スタッ……スタ……」
彼女は必死に雷魔法『スタン』を唱えようとするが、動揺により詠唱がまとまらない。
魔法とは、このように精神面に大きな影響を受ける技術なのだ。
うまく使えれば肉弾戦闘員よりも遥かに強くなれるが、逆に使いこなせなければただの雑魚に過ぎない。
そして、アーシアは今まさに後者であった。
だが、そんな彼女もかろうじて詠唱を完成させる。
「ス、【スタン】!」
バリィッ!
彼女から雷がほとばしる。
それは確実にシンヤの体を捉えた。
「おっ?」
彼が体をビクつかせる。
しかし、シンヤの動きを完全に止めることはできない。
彼は再び動き出し、アーシアの下半身へと向かっていく。
「くうぅ……。な、なぜ止まってくれないです!?」
「さっきよりも威力がかなり低くなっているぞ。精神的な動揺が大きいようだが……。それ以外にも要因があるんじゃないか?」
「要因……はっ!?」
心当たりがあるのか、アーシアはハッとした表情を浮かべる。
それは、彼女のパンツであった。
繰り返しの説明となるが、彼女が黒のTバックを穿いているのは趣味ではない。
魔法的な能力を向上させる効果があるからだ。
しかし、つい先ほどそれはシンヤによってズリ下げられてしまった。
その装備効果は一時的に失われているのだ。
「くうっ! なんてこと……」
アーシアは今さらながらにパンツへ手を伸ばし、股間部へ戻そうとする。
だが、それを黙って見ているシンヤではない。
「させねぇよ」
シンヤは這いつくばった状態のまま右手を伸ばし、アーシアのパンツを掴んだ。
股間部へ戻そうとするアーシアの手と、それを阻止するシンヤの手が、黒のTバックを引っ張り合う形になる。
「きゃあっ!? は、離してくださ――あううっ!?」
アーシアは悲鳴を上げ、必死に抵抗する。
シンヤの方が身体能力は上なのだが、這いつくばった状態からでは力が入らなかったのだろうか。
いい感じにその力は拮抗し、両者一歩も引かない展開となる。
だが、それも長くは続かなかった。
「きゃあっ!?」
「ぬおっ!?」
お互いがバランスを崩したせいで、2人の体勢が崩れた。
元々寝そべっていた状態のシンヤの上に、アーシアが倒れ込む。
「むうぅっ!?」
「はぁんっ!?」
シンヤがくぐもった声を漏らす。
アーシアの股間が彼の顔に押し付けられたためだ。
そして、敏感なところを刺激されたアーシアも悩ましげな声を漏らす。
「……何をやっているんダ。シンヤ……」
「とんでもねぇ人だぜ。シンヤ兄貴はよぉ……」
シンヤやアーシアのドタバタなトラブルを、ミレアとレオナードは冷めた目で見ていたのだった。
彼が視線を向けるのは――
「ちょっ、どこを見ようとしているのですか?」
「ん? もちろん、スカートの奥だが」
アーシアが身に付けているのは、ワンピース型魔導着だ。
膝丈ぐらいなので、通常であれば大切なところが見えてしまうことはない。
だが、シンヤのように露骨に覗き込もうとすれば話は別だ。
顔を真っ赤にしながら慌てるアーシアに構わず、シンヤは彼女に這いずりよっていく。
その姿、まるで変態のごとし。
「ひ、ひいぃっ! ス、スタッ……スタ……」
彼女は必死に雷魔法『スタン』を唱えようとするが、動揺により詠唱がまとまらない。
魔法とは、このように精神面に大きな影響を受ける技術なのだ。
うまく使えれば肉弾戦闘員よりも遥かに強くなれるが、逆に使いこなせなければただの雑魚に過ぎない。
そして、アーシアは今まさに後者であった。
だが、そんな彼女もかろうじて詠唱を完成させる。
「ス、【スタン】!」
バリィッ!
彼女から雷がほとばしる。
それは確実にシンヤの体を捉えた。
「おっ?」
彼が体をビクつかせる。
しかし、シンヤの動きを完全に止めることはできない。
彼は再び動き出し、アーシアの下半身へと向かっていく。
「くうぅ……。な、なぜ止まってくれないです!?」
「さっきよりも威力がかなり低くなっているぞ。精神的な動揺が大きいようだが……。それ以外にも要因があるんじゃないか?」
「要因……はっ!?」
心当たりがあるのか、アーシアはハッとした表情を浮かべる。
それは、彼女のパンツであった。
繰り返しの説明となるが、彼女が黒のTバックを穿いているのは趣味ではない。
魔法的な能力を向上させる効果があるからだ。
しかし、つい先ほどそれはシンヤによってズリ下げられてしまった。
その装備効果は一時的に失われているのだ。
「くうっ! なんてこと……」
アーシアは今さらながらにパンツへ手を伸ばし、股間部へ戻そうとする。
だが、それを黙って見ているシンヤではない。
「させねぇよ」
シンヤは這いつくばった状態のまま右手を伸ばし、アーシアのパンツを掴んだ。
股間部へ戻そうとするアーシアの手と、それを阻止するシンヤの手が、黒のTバックを引っ張り合う形になる。
「きゃあっ!? は、離してくださ――あううっ!?」
アーシアは悲鳴を上げ、必死に抵抗する。
シンヤの方が身体能力は上なのだが、這いつくばった状態からでは力が入らなかったのだろうか。
いい感じにその力は拮抗し、両者一歩も引かない展開となる。
だが、それも長くは続かなかった。
「きゃあっ!?」
「ぬおっ!?」
お互いがバランスを崩したせいで、2人の体勢が崩れた。
元々寝そべっていた状態のシンヤの上に、アーシアが倒れ込む。
「むうぅっ!?」
「はぁんっ!?」
シンヤがくぐもった声を漏らす。
アーシアの股間が彼の顔に押し付けられたためだ。
そして、敏感なところを刺激されたアーシアも悩ましげな声を漏らす。
「……何をやっているんダ。シンヤ……」
「とんでもねぇ人だぜ。シンヤ兄貴はよぉ……」
シンヤやアーシアのドタバタなトラブルを、ミレアとレオナードは冷めた目で見ていたのだった。
0
お気に入りに追加
582
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺だけ2つスキルを持っていたので異端認定されました
七鳳
ファンタジー
いいね&お気に入り登録&感想頂けると励みになります。
世界には生まれた瞬間に 「1人1つのオリジナルスキル」 が与えられる。
それが、この世界の 絶対のルール だった。
そんな中で主人公だけがスキルを2つ持ってしまっていた。
異端認定された主人公は様々な苦難を乗り越えながら、世界に復讐を決意する。
※1話毎の文字数少なめで、不定期で更新の予定です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
農民レベル99 天候と大地を操り世界最強
九頭七尾
ファンタジー
【農民】という天職を授かり、憧れていた戦士の夢を断念した少年ルイス。
仕方なく故郷の村で農業に従事し、十二年が経ったある日のこと、新しく就任したばかりの代官が訊ねてきて――
「何だあの巨大な大根は? 一体どうやって収穫するのだ?」
「片手で抜けますけど? こんな感じで」
「200キロはありそうな大根を片手で……?」
「小麦の方も収穫しますね。えい」
「一帯の小麦が一瞬で刈り取られた!? 何をしたのだ!?」
「手刀で真空波を起こしただけですけど?」
その代官の勧めで、ルイスは冒険者になることに。
日々の農作業(?)を通し、最強の戦士に成長していた彼は、最年長ルーキーとして次々と規格外の戦果を挙げていくのだった。
「これは投擲用大根だ」
「「「投擲用大根???」」」
えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜
楠ノ木雫
ファンタジー
まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。
目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。
そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!
追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる