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60話 素晴らしい

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 シンヤがアーシアの雷魔法を止めた。
 パンツをズリ下げるという斜め上の手段によって。

「それにしても、君の履いているその下着は素晴らしいな。実用性よりもデザインを重視したものだ。実に素晴らしい。実に素晴らしいよ!」

「……褒められている気がしないのですけれど?」

「いやいや、素晴らしいものは素晴らしいんだよ。うん、素晴らしい。素晴らしいぞ!」

 シンヤはアーシアの下着を絶賛する。

「……」

 アーシアはそんな彼をジト目で見ていた。
 しかし、そんな視線に構わず、シンヤは続ける。

「黒のTバックとは、なかなか攻めているな。黒という色は、白に比べて性的な印象が強いからな。それをあえて選ぶとは、君は見た目に反して意外と大胆だな」

「なっ!?」

 シンヤの言葉を聞き、アーシアの顔がさらに紅潮していく。
 彼女はミレアやレオナードと同年代の少女である。
 小柄で華奢、しかし勝ち気な目をしているミレア。
 ボーイッシュな美少女レオナード。

 それに対し、アーシアは魔導着を着た美少女だ。
 年相応に女性らしい柔らかい雰囲気を纏っている。
 最大の特徴は、胸の膨らみだろうか。
 極端な巨乳というほどではないが、華奢なミレアやボーイッシュなレオナードに比べると、それは明らかにボリュームがあった。
 だが、決して下品さは感じさせない雰囲気がある。
 ゆったりとしたワンピース型の魔導着からは、どちらかと言えば清楚な印象を受ける。

「あぁ、ちなみに。俺は白の方が好きだな。清楚な感じがして良いと思うんだ。燃えるようにプレイしたいときには、赤もいいと思うし――」

「もういい加減にしてくださいっ!!」

 アーシアは耐え切れなくなり、大声で叫んだ。
 そんな彼女をシンヤはニヤニヤと見つめる。

「ふむふむ。さっきまでの強気な態度はどこに行ったのかな? 今は顔を真っ赤にしているけど……。純情な娘さんには、下着を見らただけで恥ずかしかったかい? それとも、今の態度が素なのかな?」

「ち、違いますわっ! 私はこんなことで取り乱したりなど――」

「おぉっと。そう言っている割に、顔が赤いままだけど?」

「~ッ!!」

 アーシアは羞恥で頭がいっぱいになり、言葉が出てこないようだ。
 そんな彼女を見て、シンヤは満足げに笑う。

「はは。本当に可愛い子だよ、君は。だからさ、もっと色々なところを見せてくれないか?」

「へっ? ちょ、何を……」

 戸惑いの声を上げるアーシアを無視して、シンヤが床に這いつくばる。
 何も、アーシアに忠誠を誓おうというような話ではない。
 彼の視線の先にあるのは――
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