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58話 黒のTバック
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スタンという雷魔法を発動したアーシア。
それは、彼女を中心に周囲の人間全員を倒すはずだった。
しかし、シンヤは倒れ込みつつも、それほど痺れた様子はない。
「くっ! 私の魔法が通じない下賤な者がいるなんて……」
彼女は魔法の発動準備を始める。
だが、今度はすぐには魔法を撃とうとはしなかった。
シンヤの態度に違和感を覚えたからだ。
「……」
シンヤは無言でアーシアを見上げている。
その表情には、嘲るような色は見えない。
ただひたすらに、アーシアを観察しているようであった。
「面白い。実に面白いぞ」
「…………」
男や冒険者と言えば、下賤な者であると考えていたアーシア。
だが、自分の真下にいるこの男は少し違うようだ。
「ふふんっ。私の魔法に感嘆するなんて、最低限の見どころはあるようですわね」
「ん? まぁ、それもあるけどな。今見ているのは、それとはまた別のものだぞ」
シンヤがそんなことを言う。
「はぁ? 魔法でないのなら、いったい何を――」
「君のパンツだよ。素晴らしいセンスをしていると思ってさ」
「……え?」
シンヤの言葉に、アーシアは一瞬思考を停止させてしまった。
そして、ゆっくりと視線を下へと向ける。
彼女が着ているのは、ワンピース型の魔導着だ。
身体を覆うような形のそれは、丈が膝あたりまでしかなく、スカートのようになっている。
つまり、彼女の履いている下着はシンヤから丸見えの状態なのだ。
「きゃああああっ!」
顔を真っ赤にして悲鳴を上げるアーシア。
慌ててシンヤの真上から移動し、両手で裾を押さえた。
「おいおい。隠すことはないじゃないか。似合っていたぞ。しかし、黒のTバックとはいささか――」
「うるさいっ!」
アーシアが羞恥と怒りに震えながら叫ぶ。
彼女の下着は、黒のTバックであった。
これが彼女の趣味というわけでもないし、生まれや宗教など何かしらの理由があるわけでもない。
彼女がこれを付けている理由は1つ。
装備品として、魔法能力を増強させる効果があるのだ。
いわゆる”エッチな下着”というやつである。
「見直しかけた私が馬鹿でしたわっ! やはり男など下賤な存在! もう一度、スタンをお見舞いしてあげます!!」
彼女はそう言って、再び呪文を唱え始める。
(ふぅむ。もう一度受けてみてもいいが……。結構な被害が出そうだな)
シンヤは周囲の状況を確認し、そんなことを思う。
スタンは、痺れさせるだけの魔法だ。
だが、すでに痺れて倒れ込んでいる者に対して重ねがけすればどうなるか?
もちろんイメージや込める魔力量にもよるのだが、初撃のように純粋に痺れるだけには留まらない可能性がある。
被害を防ぐため、シンヤは対応策を考え始めるのだった。
それは、彼女を中心に周囲の人間全員を倒すはずだった。
しかし、シンヤは倒れ込みつつも、それほど痺れた様子はない。
「くっ! 私の魔法が通じない下賤な者がいるなんて……」
彼女は魔法の発動準備を始める。
だが、今度はすぐには魔法を撃とうとはしなかった。
シンヤの態度に違和感を覚えたからだ。
「……」
シンヤは無言でアーシアを見上げている。
その表情には、嘲るような色は見えない。
ただひたすらに、アーシアを観察しているようであった。
「面白い。実に面白いぞ」
「…………」
男や冒険者と言えば、下賤な者であると考えていたアーシア。
だが、自分の真下にいるこの男は少し違うようだ。
「ふふんっ。私の魔法に感嘆するなんて、最低限の見どころはあるようですわね」
「ん? まぁ、それもあるけどな。今見ているのは、それとはまた別のものだぞ」
シンヤがそんなことを言う。
「はぁ? 魔法でないのなら、いったい何を――」
「君のパンツだよ。素晴らしいセンスをしていると思ってさ」
「……え?」
シンヤの言葉に、アーシアは一瞬思考を停止させてしまった。
そして、ゆっくりと視線を下へと向ける。
彼女が着ているのは、ワンピース型の魔導着だ。
身体を覆うような形のそれは、丈が膝あたりまでしかなく、スカートのようになっている。
つまり、彼女の履いている下着はシンヤから丸見えの状態なのだ。
「きゃああああっ!」
顔を真っ赤にして悲鳴を上げるアーシア。
慌ててシンヤの真上から移動し、両手で裾を押さえた。
「おいおい。隠すことはないじゃないか。似合っていたぞ。しかし、黒のTバックとはいささか――」
「うるさいっ!」
アーシアが羞恥と怒りに震えながら叫ぶ。
彼女の下着は、黒のTバックであった。
これが彼女の趣味というわけでもないし、生まれや宗教など何かしらの理由があるわけでもない。
彼女がこれを付けている理由は1つ。
装備品として、魔法能力を増強させる効果があるのだ。
いわゆる”エッチな下着”というやつである。
「見直しかけた私が馬鹿でしたわっ! やはり男など下賤な存在! もう一度、スタンをお見舞いしてあげます!!」
彼女はそう言って、再び呪文を唱え始める。
(ふぅむ。もう一度受けてみてもいいが……。結構な被害が出そうだな)
シンヤは周囲の状況を確認し、そんなことを思う。
スタンは、痺れさせるだけの魔法だ。
だが、すでに痺れて倒れ込んでいる者に対して重ねがけすればどうなるか?
もちろんイメージや込める魔力量にもよるのだが、初撃のように純粋に痺れるだけには留まらない可能性がある。
被害を防ぐため、シンヤは対応策を考え始めるのだった。
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