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55話 誇り高きCランク魔導師アーシア
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「「「ぷははははっ!」」」
「…………」
シンヤは嘲笑の的にされつつも、動じない。
地球にいた頃の彼は、魔法をひたすらに探究していた。
こちらの世界よりも魔素が少ない地球において、魔法という存在はほぼファンタジーだ。
それを追い求める彼の姿は、しばしば周囲から奇異の目で見られることがあった。
そのため、このような事態に慣れていたのである。
(とはいえ、ここまで馬鹿にされるとムカつくな……。ミレアやレオナードにも申し訳ないし)
ミレアやレオナードがシンヤに付き従っている理由は、シンヤに男性としての魅力を感じているからという理由が大きい。
そして、その中でも大きな比率を占めるのは、シンヤが単純に強いという点である。
ここまで舐められて何も言い返さなければ、彼女らは失望してしまうだろう。
シンヤは仕方なく、口を開くことにした。
「なぁ、あんたら――」
「そこまでよっ! あなたたち、何をしているのっ!?」
シンヤの言葉を遮るように、女性の声が響き渡る。
その声の主へと、全員が視線を向けた。
そこには、腰に手を当てた少女の姿があった。
「なんだ、テメェは?」
「このクソアマ、何様のつもりだよ?」
「ひひひっ。お前が代わりに相手してくれるってか?」
「俺はそれでもいいぜぇ?」
チンピラたちが、少女を睨み付ける。
この様子では、少なくともオルドレンを拠点に活動している冒険者などではないようだ。
「私は誇り高きCランク魔導師、アーシアよ。無法な行いは見逃せないわ」
少女が名乗る。
「は? お前ごときがCランクだとぉ? そんなわけあるかよ」
「嘘をつくならもっとマシなもんを付けやがれ」
「そうそう。そんなナリで俺たちとやり合えると思ってんのか」
「そうだそうだ」
冒険者たちが囃し立てる。
どうやらこのオルドレンの冒険者は、実力が全てらしい。
弱そうな少女がCランクを名乗ったところで、信じようとしないのだ。
「ふんっ、これだから魔導師って連中は……」
「けっ、大方、どこかの貴族のボンボンだろ」
「親の七光りでギルドに登録できたんだろうさ」
「その歳でCランクとか、絶対に不正したんだぜ」
「間違いねぇ。俺らの目は誤魔化せねぇぞ」
冒険者たちが口々に言う。
アーシアと名乗った少女が、彼らの言葉に眉を吊り上げた。
「私が不正した、ですって……?」
彼女が怒気を含んだ声で呟く。
どうやら、何かしらの地雷を踏んでしまったようだ。
しかし、チンピラたちはまだそのことに気付いていないのだった。
「…………」
シンヤは嘲笑の的にされつつも、動じない。
地球にいた頃の彼は、魔法をひたすらに探究していた。
こちらの世界よりも魔素が少ない地球において、魔法という存在はほぼファンタジーだ。
それを追い求める彼の姿は、しばしば周囲から奇異の目で見られることがあった。
そのため、このような事態に慣れていたのである。
(とはいえ、ここまで馬鹿にされるとムカつくな……。ミレアやレオナードにも申し訳ないし)
ミレアやレオナードがシンヤに付き従っている理由は、シンヤに男性としての魅力を感じているからという理由が大きい。
そして、その中でも大きな比率を占めるのは、シンヤが単純に強いという点である。
ここまで舐められて何も言い返さなければ、彼女らは失望してしまうだろう。
シンヤは仕方なく、口を開くことにした。
「なぁ、あんたら――」
「そこまでよっ! あなたたち、何をしているのっ!?」
シンヤの言葉を遮るように、女性の声が響き渡る。
その声の主へと、全員が視線を向けた。
そこには、腰に手を当てた少女の姿があった。
「なんだ、テメェは?」
「このクソアマ、何様のつもりだよ?」
「ひひひっ。お前が代わりに相手してくれるってか?」
「俺はそれでもいいぜぇ?」
チンピラたちが、少女を睨み付ける。
この様子では、少なくともオルドレンを拠点に活動している冒険者などではないようだ。
「私は誇り高きCランク魔導師、アーシアよ。無法な行いは見逃せないわ」
少女が名乗る。
「は? お前ごときがCランクだとぉ? そんなわけあるかよ」
「嘘をつくならもっとマシなもんを付けやがれ」
「そうそう。そんなナリで俺たちとやり合えると思ってんのか」
「そうだそうだ」
冒険者たちが囃し立てる。
どうやらこのオルドレンの冒険者は、実力が全てらしい。
弱そうな少女がCランクを名乗ったところで、信じようとしないのだ。
「ふんっ、これだから魔導師って連中は……」
「けっ、大方、どこかの貴族のボンボンだろ」
「親の七光りでギルドに登録できたんだろうさ」
「その歳でCランクとか、絶対に不正したんだぜ」
「間違いねぇ。俺らの目は誤魔化せねぇぞ」
冒険者たちが口々に言う。
アーシアと名乗った少女が、彼らの言葉に眉を吊り上げた。
「私が不正した、ですって……?」
彼女が怒気を含んだ声で呟く。
どうやら、何かしらの地雷を踏んでしまったようだ。
しかし、チンピラたちはまだそのことに気付いていないのだった。
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