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54話 嘲笑
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シンヤは冒険者ギルドで2人組のチンピラに絡まれている。
「悪いがどいてくれるか? 俺たちは受付に用事があるんだ」
「へへへっ。だからよぉ。そっちの嬢ちゃんたちを置いていけって言ってんだよ」
「そうすりゃ、受付でも何でも、好きなところに行かせてやるさ」
2人の男はニヤついた笑みを浮かべながらシンヤたちを脅す。
その言葉を聞き、周囲の者たちが嘲笑を浮かべていた。
オルドレンの街では、冒険者が冒険者に絡むことは珍しいことではない。
お互いにマウントを取り合い、仕事を奪い合うのが日常茶飯事だからだ。
この2人組以外にも、オルドレンにはチンピラ紛いの冒険者が山ほど存在している。
これぐらいのイチャモンを跳ね除けられないのであれば、どの道ここではやっていけない。
(ふぅむ。どうしたものか……)
門で絡まれた際には、適当に返り討ちにした。
街の外だったし、多少の揉め事は大丈夫だと考えたからだ。
だが、ここは冒険者ギルドの中である。
同業の冒険者が多数居合わせているし、騒ぎを起こせばギルド職員がやって来るだろう。
敢えて騒いで職員を呼び、正当性を訴えるという手段もある。
だがそれは、自力では問題を解決できないと言っているようなものだ。
精強さが求められる冒険者という職業において、そのような考えは唾棄すべきものである。
しかしだからと言って、過剰にボコボコにするのもマズいだろう。
騒ぎを起こす問題児として、今後依頼を受けることができなくなってしまうかもしれない。
(面倒だな……。もっとこう、ストイックに迷宮に挑戦している奴らかと思ったが……。この様子じゃ、魔法の使い手も大した奴がいなさそうだ)
シンヤは思わずそんなことを思ってしまう。
そして、棒立ちになっている彼を見て、チンピラたちが調子に乗り始めた。
「ほれ、さっさと決めろや!」
「痛めつけられたくなかったら、素直に置いていきな!」
「なぁに、俺らは優しいからよぉ。明日には帰してやるさ」
「「「ギャハハハハ!!!」」」
「…………」
シンヤは黙ったまま動かない。
あまりの品性下劣さに呆れたためだ。
「ちっ! ビビッてんのか?」
「おいっ、早くしろよ」
「おいおい。あんまり苛めてやんなって」
「そうだぜ。こいつはあれだ。恥ずかしくて何も言えないタイプだ」
「違いねぇ」
周囲で見ていた冒険者が口を挟む。
それに同調するかのように他の者たちも笑い声を上げる。
「くくくっ」
「あはははっ」
「ぎゃはははっ!」
冒険者ギルドが嘲笑に包まれたのだった。
「悪いがどいてくれるか? 俺たちは受付に用事があるんだ」
「へへへっ。だからよぉ。そっちの嬢ちゃんたちを置いていけって言ってんだよ」
「そうすりゃ、受付でも何でも、好きなところに行かせてやるさ」
2人の男はニヤついた笑みを浮かべながらシンヤたちを脅す。
その言葉を聞き、周囲の者たちが嘲笑を浮かべていた。
オルドレンの街では、冒険者が冒険者に絡むことは珍しいことではない。
お互いにマウントを取り合い、仕事を奪い合うのが日常茶飯事だからだ。
この2人組以外にも、オルドレンにはチンピラ紛いの冒険者が山ほど存在している。
これぐらいのイチャモンを跳ね除けられないのであれば、どの道ここではやっていけない。
(ふぅむ。どうしたものか……)
門で絡まれた際には、適当に返り討ちにした。
街の外だったし、多少の揉め事は大丈夫だと考えたからだ。
だが、ここは冒険者ギルドの中である。
同業の冒険者が多数居合わせているし、騒ぎを起こせばギルド職員がやって来るだろう。
敢えて騒いで職員を呼び、正当性を訴えるという手段もある。
だがそれは、自力では問題を解決できないと言っているようなものだ。
精強さが求められる冒険者という職業において、そのような考えは唾棄すべきものである。
しかしだからと言って、過剰にボコボコにするのもマズいだろう。
騒ぎを起こす問題児として、今後依頼を受けることができなくなってしまうかもしれない。
(面倒だな……。もっとこう、ストイックに迷宮に挑戦している奴らかと思ったが……。この様子じゃ、魔法の使い手も大した奴がいなさそうだ)
シンヤは思わずそんなことを思ってしまう。
そして、棒立ちになっている彼を見て、チンピラたちが調子に乗り始めた。
「ほれ、さっさと決めろや!」
「痛めつけられたくなかったら、素直に置いていきな!」
「なぁに、俺らは優しいからよぉ。明日には帰してやるさ」
「「「ギャハハハハ!!!」」」
「…………」
シンヤは黙ったまま動かない。
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「ちっ! ビビッてんのか?」
「おいっ、早くしろよ」
「おいおい。あんまり苛めてやんなって」
「そうだぜ。こいつはあれだ。恥ずかしくて何も言えないタイプだ」
「違いねぇ」
周囲で見ていた冒険者が口を挟む。
それに同調するかのように他の者たちも笑い声を上げる。
「くくくっ」
「あはははっ」
「ぎゃはははっ!」
冒険者ギルドが嘲笑に包まれたのだった。
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