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53話 冒険者ギルドへ
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「ほぉ……。ここがオルドレンの冒険者ギルドか」
シンヤは目の前の建物を見上げていた。
城塞都市オルドレンの中心部にその建物はあった。
その規模はグラシアの街のそれよりも一回り以上大きいように見えた。
また、そこに出入りする人々の格好や雰囲気も明らかに異なっていた。
「なんか、みんな強そうだナ」
「さすがはオルドレンだ。冒険者のレベルが高いらしい」
ミレアとレオナードが周囲の様子を窺いながら感想を口に出す。
Bランクへの昇格試験が開かれる街は限られている。
Cランクくらいまでであれば、まだ一般人にも認識できる強さだ。
また、実力的にはDランク上位クラスであっても、十分な依頼達成実績や住民からの信頼があれば、Cランクに上げることもある。
一方で、Bランクともなれば話は別だ。
実績や信頼だけでなく、絶対的な強さが求められる。
だが、その強さを判断することができる人材は少ない。
地方の村や小規模な街はもちろん、中規模な街の冒険者ギルドですら、Bランク冒険者を認定する権限が与えられていないのはそのためだ。
Bランクへの昇格試験が開催されるという時点で、この街の冒険者ギルドのレベルが高いことが伺われるというものだ。
「とりあえず、中に入ってみるか」
シンヤを先頭にして、3人は建物の中に入る。
「へぇ~。結構綺麗じゃないか」
内部の様子を見たシンヤが呟く。
冒険者ギルドの内部は、外観からは想像できないほど清潔感のある空間となっていた。
「受付はどこにあるんだ?」
「えっと、奥の方だナ」
「よし、行ってみよう」
3人は奥へと進む。
だが、その途中で足を止めた。
「へへへっ。小僧、いい女を連れているじゃねぇか」
「俺たちに寄越せよ」
チンピラが絡んできたからである。
(またか……。この街の治安はどうなっているんだ?)
シンヤは心の中でため息をつく。
先ほどの男たちといい、この男たちといい、どうしてこうも絡まれるのか。
街の一般住民の安全を心配してしまうが、実際のところのその心配は無用なものだ。
彼らは冒険者。
同業のライバルに対してマウントを取ろうとしているだけであり、一般住民に対して危害を加える冒険者は少ない。
(まぁ、ミレアとレオナードを連れているしなぁ。こればかりはしょうがないか)
ミレアは赤猫族の美少女だ。
やや幼く華奢に見える身体付きではあるが、勝ち気そうな大きな瞳にスッと通った鼻筋。
将来性を感じさせる美しさがある。
一方、レオナードはボーイッシュな美少女だ。
以前のシンヤは、彼女のことを少年だと勘違いしていた。
彼が鈍感だという面もあったし、当時の彼女は外見に無頓着だったという事情もある。
だが、今の彼女は違う。
圧倒的強者であるシンヤを身近に感じることにより、嫌でも自分の性別や外見に対する意識が変わったのだ。
そのため、今の彼女はボーイッシュを残しつつも、同時に可愛らしさも感じられる容姿となっていた。
そんな2人を連れ歩いているシンヤに絡んでくる連中が現れるのは、ある意味当然の流れと言えるだろう。
「おい、何とか言ったらどうなんだ?」
足を止めて無言なままのシンヤに、チンピラが凄むのであった。
シンヤは目の前の建物を見上げていた。
城塞都市オルドレンの中心部にその建物はあった。
その規模はグラシアの街のそれよりも一回り以上大きいように見えた。
また、そこに出入りする人々の格好や雰囲気も明らかに異なっていた。
「なんか、みんな強そうだナ」
「さすがはオルドレンだ。冒険者のレベルが高いらしい」
ミレアとレオナードが周囲の様子を窺いながら感想を口に出す。
Bランクへの昇格試験が開かれる街は限られている。
Cランクくらいまでであれば、まだ一般人にも認識できる強さだ。
また、実力的にはDランク上位クラスであっても、十分な依頼達成実績や住民からの信頼があれば、Cランクに上げることもある。
一方で、Bランクともなれば話は別だ。
実績や信頼だけでなく、絶対的な強さが求められる。
だが、その強さを判断することができる人材は少ない。
地方の村や小規模な街はもちろん、中規模な街の冒険者ギルドですら、Bランク冒険者を認定する権限が与えられていないのはそのためだ。
Bランクへの昇格試験が開催されるという時点で、この街の冒険者ギルドのレベルが高いことが伺われるというものだ。
「とりあえず、中に入ってみるか」
シンヤを先頭にして、3人は建物の中に入る。
「へぇ~。結構綺麗じゃないか」
内部の様子を見たシンヤが呟く。
冒険者ギルドの内部は、外観からは想像できないほど清潔感のある空間となっていた。
「受付はどこにあるんだ?」
「えっと、奥の方だナ」
「よし、行ってみよう」
3人は奥へと進む。
だが、その途中で足を止めた。
「へへへっ。小僧、いい女を連れているじゃねぇか」
「俺たちに寄越せよ」
チンピラが絡んできたからである。
(またか……。この街の治安はどうなっているんだ?)
シンヤは心の中でため息をつく。
先ほどの男たちといい、この男たちといい、どうしてこうも絡まれるのか。
街の一般住民の安全を心配してしまうが、実際のところのその心配は無用なものだ。
彼らは冒険者。
同業のライバルに対してマウントを取ろうとしているだけであり、一般住民に対して危害を加える冒険者は少ない。
(まぁ、ミレアとレオナードを連れているしなぁ。こればかりはしょうがないか)
ミレアは赤猫族の美少女だ。
やや幼く華奢に見える身体付きではあるが、勝ち気そうな大きな瞳にスッと通った鼻筋。
将来性を感じさせる美しさがある。
一方、レオナードはボーイッシュな美少女だ。
以前のシンヤは、彼女のことを少年だと勘違いしていた。
彼が鈍感だという面もあったし、当時の彼女は外見に無頓着だったという事情もある。
だが、今の彼女は違う。
圧倒的強者であるシンヤを身近に感じることにより、嫌でも自分の性別や外見に対する意識が変わったのだ。
そのため、今の彼女はボーイッシュを残しつつも、同時に可愛らしさも感じられる容姿となっていた。
そんな2人を連れ歩いているシンヤに絡んでくる連中が現れるのは、ある意味当然の流れと言えるだろう。
「おい、何とか言ったらどうなんだ?」
足を止めて無言なままのシンヤに、チンピラが凄むのであった。
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