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44話 ミレアの想い

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「ううぅ……。シンヤ、凄すぎるゾ……」

 ミレアが息を切らせながら呟いた。

「まだまだ序の口だぜ?」

「これ以上されたラ……。あたし、おかしくなっちゃウ……」

「ふふ。なら、続きはまた今度というわけか」

「そ、そうだナ……。奴隷なのに、シンヤを満足させられなくて不甲斐ナイ……」

「気にすることはないさ。十分楽しんだから」

 シンヤはそう言って笑う。

「……」

「ん? どうかしたのか?」

 すると、ミレアは無言のまま彼に近づき、口づけをした。

「……っ!?」

 予想外の行動にシンヤの思考が止まる。
 だが、すぐに順応して舌を絡ませた。

「ぷはぁ……」

「いきなり何をするんだ?」

 シンヤがそう問う。

「……なあ、シンヤ」

「何だ?」

「あたしは、お前のことが好きダ。愛していル」

「えっ? お、おう。ありがとう。俺もミレアのことを愛しているぞ」

 唐突な愛の告白に、シンヤは戸惑いながら返事をする。
 今までにも何度か愛を囁きあっているし、今更驚くことでもないのだが、不意打ちだとどうしてもドキッとしてしまうのだ。

「……でも、シンヤはレオナードのことも好きなんだよナ?」

「ん? まあ、好きか嫌いかで言えば、好きだが……。もしかして、気にしているのか?」

 ミレアが好いているシンヤが、第二の女であるレオナードに手を出そうとしている。
 普通に考えれば、嫉妬心を抱くことは不思議ではない。

「赤猫族の女、強い雄に惹かれる。たくさんの雌を侍らせるのは、強い雄の証。そうやって族長から聞かされて育っタ。それが赤猫族の常識ダ。シンヤが誰を抱こうと、奴隷のあたしが文句を言う筋合いはナイ」

 ミレアがそう断言する。

「……」

「でも、シンヤに会ってから少しおかしいんダ。シンヤが女と喋っていると、モヤモヤして……。レオナードと一緒にいる時のシンヤは、なんだか幸せそうな顔をしていて……。そんなシンヤを見る度に胸が痛くて……。レオナードのことを考えると、無性にイライラしてくるんだヨ」

「……そうだったか」

 シンヤはこの世界に来て、規格外の魔力で無双してきた。
 だが、女性の気持ちに対しての気配りはやや足りなかったようだ。

「分かったよ。俺の一番は、ミレアだ。ミレアが嫌だと言うのなら、レオナードに手を出すつもりはない」

「……それもダメだ」

「えっ?」

「強い雄がたくさんの雌を侍らせるのは当然のこと。女の独占欲に配慮した男が無理をしても、長続きしナイ。赤猫族には、そんな失敗例が語り継がれてイル。実際、シンヤが満足するまであたしは付いていくことができていナイ」

「……なるほど。確かに一理あるかもな……」

「だから、シンヤはレオナードに手を出してもいいんだ。でも、一番はあたしにしてほしい。いつか、赤ちゃんを生ませてほしいんダ」

 ミレアはそう言うと、再び唇を重ねてきた。

「ああ、きっと俺の子どもを生ませてやるからな」

 シンヤはそう言いながら、ミレアの愛に応えたのだった。
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