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39話 今まで誰にも見せたことがないんだ
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「……はっ! ここは……」
レオナードが目覚める。
どうやら無事に意識を取り戻したようだ。
「おお、レオナード様! よかった、お目覚めになられたのですね!」
「えっ……お前は……。……っ!! そうだ、オレは……!」
レオナードは自分の身に何が起こったのかを思い出したらしい。
そして、焦り顔になった。
「シンヤ兄貴! シンヤ兄貴は無事なのか!?」
「ああ。俺なら大丈夫だ。そんなに焦ってどうした?」
「どうしたも何もねえよ。シンヤ兄貴が死んじまったら、オレ……ぐすっ……」
レオナードは涙ぐみながら安堵の息をつく。
そして、顔を伏せて泣き始めた。
「泣くなって。ほれ、見てみろよ」
そう言ってシンヤが指差したのは、クリムゾンボアの魔石だ。
討伐後、湖底に沈んでしまっていたものである。
シンヤのとある魔法により、無事に回収したのだ。
「クリムゾンボアは無事に討伐した。レオナードが事前にしっかりと戦ってくれていたおかげだよ。ありがとうな」
「そっか……。よかった……。本当によかった……」
レオナードは涙を流し続ける。
シンヤが頭を撫でても、しばらく泣き止まなかった。
「落ち着いたか?」
「うん……。ごめんなさい……。急に取り乱して……」
「いいんだ。お前だって女の子なんだからな。怖かっただろう」
「えっ……」
シンヤの言葉に、レオナードは表情を凍らせた。
「な、なんでオレの性別を……。シンヤ兄貴は、ずっと勘違いしていたはず……」
これはシンヤの失言だ。
レオナード視点では、シンヤが彼女の性別に気づくシーンはなかった。
まさか気を失っている間に穴という穴をみんなで貫きまくったなんて想像できるわけもない。
「んんっ! えーっとな……」
シンヤは咳き込みをするフリをして時間を稼ぎつつ、ミレアにアイコンタクトを送る。
(ミレア、フォローを頼む)
(了解ダヨ)
ミレアは心の中でそう返事をし、口を開く。
「レオナードは全裸で水浴びをしていたダロ? そこにクリムゾンボアが襲ってきて、ピンチになったわけダ」
「ああ。その通りだが?」
「そんなお前を助けたシンヤは、当然お前の裸も見ている。だから、お前の性別を見抜いたのサ」
「あっ……」
レオナードは、ミレアの言いたいことを理解した。
「そうか……。見られちゃったのか……。恥ずかしいところを見せちまったな……」
「気にすることはないさ。見えたと言っても、チラッとだけだからな」
シンヤは気を遣って嘘をつく。
これは優しい嘘だ。
シンヤはレオナードの大切なところの深くまでを指で貫いてしまったのだが、この残酷な真実を伝える必要はない。
「本当にチラッとだけなのか?」
「ああ、神に誓って」
まあ、シンヤにとっての神はただの友達なのだが。
この世界に転移してくる直前に会話したきりだ。
その内、夢か何かで再会するかもしれない。
「それは安心したぜ。いくらシンヤ兄貴とはいえ、オレの大切なところを見せるわけにはいかないからな。ここを見ていいのは、オレの将来の旦那様になる人だけだし。今まで誰にも見せたことがないんだ」
「そうだな。そこは将来まで大切に守るんだぞ」
「おう!」
レオナードが元気よく返事をする。
大切にするも何も、既にシンヤの他、パーティメンバーの男達にまでバッチリ見られてしまっている。
しかも、女としての大切なところはシンヤの指を飲み込んだし、お尻の穴はミレアの指を飲み込んだ。
さらには、みんなの前で脱糞までしてしまっている。
シンヤは少し不憫に思いつつも、もちろん言葉には出さない。
それは伝えずに墓場まで持っていく約束だ。
「さあ、レオナードも無事に目覚めたことだし、グラシアの街に帰るか」
「ああ。もうこの森に用はないからナ」
「帰りましょう」
「お腹が減ったぜ……」
シンヤの言葉に、ミレア達が答える。
「よし、じゃあ帰ろう!」
こうして、シンヤ達はグラシアの街へ歩き始めたのだった。
レオナードが目覚める。
どうやら無事に意識を取り戻したようだ。
「おお、レオナード様! よかった、お目覚めになられたのですね!」
「えっ……お前は……。……っ!! そうだ、オレは……!」
レオナードは自分の身に何が起こったのかを思い出したらしい。
そして、焦り顔になった。
「シンヤ兄貴! シンヤ兄貴は無事なのか!?」
「ああ。俺なら大丈夫だ。そんなに焦ってどうした?」
「どうしたも何もねえよ。シンヤ兄貴が死んじまったら、オレ……ぐすっ……」
レオナードは涙ぐみながら安堵の息をつく。
そして、顔を伏せて泣き始めた。
「泣くなって。ほれ、見てみろよ」
そう言ってシンヤが指差したのは、クリムゾンボアの魔石だ。
討伐後、湖底に沈んでしまっていたものである。
シンヤのとある魔法により、無事に回収したのだ。
「クリムゾンボアは無事に討伐した。レオナードが事前にしっかりと戦ってくれていたおかげだよ。ありがとうな」
「そっか……。よかった……。本当によかった……」
レオナードは涙を流し続ける。
シンヤが頭を撫でても、しばらく泣き止まなかった。
「落ち着いたか?」
「うん……。ごめんなさい……。急に取り乱して……」
「いいんだ。お前だって女の子なんだからな。怖かっただろう」
「えっ……」
シンヤの言葉に、レオナードは表情を凍らせた。
「な、なんでオレの性別を……。シンヤ兄貴は、ずっと勘違いしていたはず……」
これはシンヤの失言だ。
レオナード視点では、シンヤが彼女の性別に気づくシーンはなかった。
まさか気を失っている間に穴という穴をみんなで貫きまくったなんて想像できるわけもない。
「んんっ! えーっとな……」
シンヤは咳き込みをするフリをして時間を稼ぎつつ、ミレアにアイコンタクトを送る。
(ミレア、フォローを頼む)
(了解ダヨ)
ミレアは心の中でそう返事をし、口を開く。
「レオナードは全裸で水浴びをしていたダロ? そこにクリムゾンボアが襲ってきて、ピンチになったわけダ」
「ああ。その通りだが?」
「そんなお前を助けたシンヤは、当然お前の裸も見ている。だから、お前の性別を見抜いたのサ」
「あっ……」
レオナードは、ミレアの言いたいことを理解した。
「そうか……。見られちゃったのか……。恥ずかしいところを見せちまったな……」
「気にすることはないさ。見えたと言っても、チラッとだけだからな」
シンヤは気を遣って嘘をつく。
これは優しい嘘だ。
シンヤはレオナードの大切なところの深くまでを指で貫いてしまったのだが、この残酷な真実を伝える必要はない。
「本当にチラッとだけなのか?」
「ああ、神に誓って」
まあ、シンヤにとっての神はただの友達なのだが。
この世界に転移してくる直前に会話したきりだ。
その内、夢か何かで再会するかもしれない。
「それは安心したぜ。いくらシンヤ兄貴とはいえ、オレの大切なところを見せるわけにはいかないからな。ここを見ていいのは、オレの将来の旦那様になる人だけだし。今まで誰にも見せたことがないんだ」
「そうだな。そこは将来まで大切に守るんだぞ」
「おう!」
レオナードが元気よく返事をする。
大切にするも何も、既にシンヤの他、パーティメンバーの男達にまでバッチリ見られてしまっている。
しかも、女としての大切なところはシンヤの指を飲み込んだし、お尻の穴はミレアの指を飲み込んだ。
さらには、みんなの前で脱糞までしてしまっている。
シンヤは少し不憫に思いつつも、もちろん言葉には出さない。
それは伝えずに墓場まで持っていく約束だ。
「さあ、レオナードも無事に目覚めたことだし、グラシアの街に帰るか」
「ああ。もうこの森に用はないからナ」
「帰りましょう」
「お腹が減ったぜ……」
シンヤの言葉に、ミレア達が答える。
「よし、じゃあ帰ろう!」
こうして、シンヤ達はグラシアの街へ歩き始めたのだった。
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