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8話 主従契約

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 冒険者ギルドで用事を済ませたシンヤ、ミレア、ケビンたちは、屋敷へと移動した。

「ここがケビンの屋敷か? ……大きいな」

 シンヤが思わず呟く。
 彼は当初、ケビンのことをただの行商人だと思っていた。
 話していく内に、”思ったよりも大規模に商いを行っているのかな?”と感じ始めてはいたが、これほどとは思わなかった。

「はい。私は、この国でも屈指の商会であるアーレンダール商会の会長を務めておりましてな。これでもそこそこの資産を持っているのです」

「そうなのか。道理で余裕のある態度をしていると思ったよ」

 クリムゾンボアの魔石報酬をあっさりとシンヤに譲ったことからも、その余裕は伺える。

「ふふふ。お恥ずかしながら、それなりに稼がせていただいておりますな。ささ、どうぞ中にお入りください」

 ケビンが玄関扉を開ける。
 中に入ると、使用人が出迎えてくれた。
 ケビンは堂々としているが、シンヤは少し緊張している。

「おかえりなさいませ、旦那様」

「うむ。客人を連れ帰った。早速だが最上の客室に案内する。お茶の準備をしておいてくれ」

「かしこまりました」

 使用人は一礼すると、奥へ消えていった。
 そして、シンヤはケビンに案内されてとある一室に到着した。

「さて、シンヤ殿。まずはごゆるりと休まれてください。今晩は歓迎会を開きたいと思いますので、それまではこの部屋でおくつろぎを」

「わかった。ありがとう」

「いえいえ。では、最後にこれだけは済ませておきましょう。……ミレア」

 ケビンが声を掛けると、ミレアが前に出た。

「ワカッテいる」

 彼女はそう言って、服をたくし上げた。
 細いながらも力強いお腹が露わになる。

「!?」

 シンヤは驚きつつも、彼女の美しい身体から目が離せない。
 鍛えられているとはいえ女性特有の柔らかさが残っており、とても艶めかしい。

「シンヤ様。こちらに手を添えてください」

「え? あ、ああ……」

 ケビンに言われるがまま、シンヤはミレアの紋様の上に手を置いた。
 そして、彼が何やらブツブツと呟き始める。

「……んっ!」

 ミレアが声を上げると同時に、腹部に刻まれたタトゥーが光り輝く。
 光が収まると、そこには紋様が浮かび上がっていた。

「ええと、何が起きたんだ?」

「コレデ終わりだ。シンヤは私の主になった」

「え?」

「先ほどシンヤ様からミレアに注いでいただきました魔力により、主従契約を行いました。これで、ミレアは正式にシンヤ様の奴隷となったのです」

「ええっ!?」

 シンヤは驚くしかない。

「これであたしはシンヤの所有者だ。全ての命令に服従スル」

「そ、そうなのか……。じゃあ、俺の言うことは何でも聞いてくれるってことか?」

「もちろん。ナンでも聞いてやる」

「…………」

 シンヤは無言のまま考え込む。
 彼は魔力の鍛錬に明け暮れ、その実力は達人の領域にある。
 しかし中身は年頃の少年だ。
 自分の思い通りになる美少女を目の前にして、邪な感情を抱いてしまうのも無理はない。

(いかんいかん! 落ち着け!)

「あのー、シンヤ様? 大丈夫ですか?」

 ケビンに話しかけられ、シンヤは我に返る。

「すまない。ちょっと混乱していた」

「いえいえ。先程もお伝えしましたが、この部屋はシンヤ様のお好きに使っていただいて結構ですので。じきにメイドがお茶を持ってくるでしょう。では、私はこれにて失礼致します」

 ケビンは最後に一礼して退室していった。
 こうして、シンヤは美少女奴隷と過ごせる豪華な一室を手に入れたのだった。
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