2 / 75
2話 ステータスオープン
しおりを挟む
「……む。ここは?」
真也が目を覚ました場所は、森の中だった。
「異世界……なのか? 一見する限りでは区別がつかんな。……いや」
真也は深呼吸をしてみる。
何となくだが、空気が違うような気がした。
「神様がいくつかスキルをくれたんだったな。さっそく見てみるか。ステータスオープン」
シンヤ=レギンレイヴ
レベル:1
職業:全属性魔導師
魔力ランク:S
スキル:言語理解、健康体、運勢上昇
「おお! なんか凄いな!」
自分のステータスを見て、真也は興奮を抑えきれないようだった。
「だが、名前の表記が妙だな……。シンヤの表記がカタカナになっているのは、まだ分かる。しかし、俺の名字はレギンレイヴではないのだが……」
やたらとカッコいい名字だ。
意味はなんだったか……?
神話か何かで登場する天使だか悪魔だかの名前だった気がする。
だが、はっきりとは思い出せない。
彼は漫画やアニメをよく見ていたので聞き覚えだけはあるのだが、その意味全てを理解し暗記するほどのオタクではなかった。
「まあいいか。魔力ランクはS。神様も、俺の魔力量は多いって言っていたな……」
生まれ持っての素養の影響も大きいが、その後の鍛錬次第でも伸びるものらしい。
真也の場合、魔力が薄い地球でがむしゃらに鍛錬していたのが功を奏した。
高山で体力トレーニングをしていたようなイメージである。
「言語理解、健康体、運勢上昇。これは文字通りの効果と言っていたな。この世界で生きていくためにはありがたいものばかりだ」
一方で、魔法や魔力関係のスキルはもらっていない。
神様からの提案はあったのだが、シンヤが断ったのだ。
「せっかくなら、自分で新しい力を身につけてみたいからな!」
シンヤはそう言って、新たな生活を始めるべく行動を開始したのであった。
「さて、まずはこの森から出て街に向かわないと。魔物とかもいるらしいし……」
彼は道なき道を歩き出す。
木々がそれなりに密集しており、枝葉が視界を遮っているため、方向感覚が失われそうになる。
「……あれ? おかしいな」
しばらく歩いたところで、シンヤはある違和感を覚えた。
「全然疲れないぞ? ……それに、体が軽い。多少は鍛えていたとはいえ、ここまで疲労を感じないはずがないんだが……」
魔力により肉体的な能力が強化されている影響だろう。
神様の話では、そういうことも可能とのことだった。
普通であればこっちの世界に来てすぐに扱えるような技術ではなかったが、魔力量の少ない地球で鍛錬をしてきたシンヤにとっては造作もないことであった。
「これなら、考えていたいろいろなことも試せそうだ」
そう言うと、シンヤは目を閉じて集中した。
自分の意識を空高くまで飛ばすようなイメージをする。
「【イーグルアイ】」
すると、目蓋の裏に景色が広がる。
「これが……この世界か」
この世界で主に力を持っているのは、人族だ。
また、人族以外の種族も存在している。
獣人族、エルフ族、ドワーフ族、竜人族、魔族などだ。
彼らは時に人族と交わり、時に対立しながら暮らしている。
地域によっては強い差別意識があるが、致命的な敵対をしているというわけではない。
それよりも脅威なのは、魔物の存在だ。
魔力を帯びた動植物が変質して生まれるそれらは、人の住む地域に出現すれば甚大な被害をもたらす。
その被害を防ぐには、強力な武力による討伐が必要になる。
冒険者と呼ばれる存在もいて、魔物を狩ることで生計を立てる者もいる。
この森は人里から離れているため、魔物も野放し気味になっている。
「むっ!?」
シンヤは【イーグルアイ】の視界の片隅に動く大きな影を捉え、そちらに注意を向けた。
「なんだ?」
それは、大きな猪のような姿をしている。
しかし、通常のそれとは違い、牙や毛皮は赤黒い色に染まっており、その巨体は5メートルほどもある。
そして、何よりの特徴は、頭部にある2本の角だ。
禍々しく光る赤い瞳からは狂気が感じられる。
「あれが魔物か。それも、おそらくは上位種だ」
シンヤはさらに観察を続ける。
この世界に来て最初の戦闘が上位種というのは少し荷が重い。
できればこの魔物の力を把握しておきたかった。
だが、そうも言っていられない事情が発生した。
間が悪いことに、魔物の行く手に馬車が1台走っているのだ。
このままでは、いずれ鉢合わせになる。
「行くしかないか」
シンヤは魔力を体に流す。
「【フィジカルブースト】!」
彼は魔力によって身体能力を強化し、一気に駆け出したのだった。
真也が目を覚ました場所は、森の中だった。
「異世界……なのか? 一見する限りでは区別がつかんな。……いや」
真也は深呼吸をしてみる。
何となくだが、空気が違うような気がした。
「神様がいくつかスキルをくれたんだったな。さっそく見てみるか。ステータスオープン」
シンヤ=レギンレイヴ
レベル:1
職業:全属性魔導師
魔力ランク:S
スキル:言語理解、健康体、運勢上昇
「おお! なんか凄いな!」
自分のステータスを見て、真也は興奮を抑えきれないようだった。
「だが、名前の表記が妙だな……。シンヤの表記がカタカナになっているのは、まだ分かる。しかし、俺の名字はレギンレイヴではないのだが……」
やたらとカッコいい名字だ。
意味はなんだったか……?
神話か何かで登場する天使だか悪魔だかの名前だった気がする。
だが、はっきりとは思い出せない。
彼は漫画やアニメをよく見ていたので聞き覚えだけはあるのだが、その意味全てを理解し暗記するほどのオタクではなかった。
「まあいいか。魔力ランクはS。神様も、俺の魔力量は多いって言っていたな……」
生まれ持っての素養の影響も大きいが、その後の鍛錬次第でも伸びるものらしい。
真也の場合、魔力が薄い地球でがむしゃらに鍛錬していたのが功を奏した。
高山で体力トレーニングをしていたようなイメージである。
「言語理解、健康体、運勢上昇。これは文字通りの効果と言っていたな。この世界で生きていくためにはありがたいものばかりだ」
一方で、魔法や魔力関係のスキルはもらっていない。
神様からの提案はあったのだが、シンヤが断ったのだ。
「せっかくなら、自分で新しい力を身につけてみたいからな!」
シンヤはそう言って、新たな生活を始めるべく行動を開始したのであった。
「さて、まずはこの森から出て街に向かわないと。魔物とかもいるらしいし……」
彼は道なき道を歩き出す。
木々がそれなりに密集しており、枝葉が視界を遮っているため、方向感覚が失われそうになる。
「……あれ? おかしいな」
しばらく歩いたところで、シンヤはある違和感を覚えた。
「全然疲れないぞ? ……それに、体が軽い。多少は鍛えていたとはいえ、ここまで疲労を感じないはずがないんだが……」
魔力により肉体的な能力が強化されている影響だろう。
神様の話では、そういうことも可能とのことだった。
普通であればこっちの世界に来てすぐに扱えるような技術ではなかったが、魔力量の少ない地球で鍛錬をしてきたシンヤにとっては造作もないことであった。
「これなら、考えていたいろいろなことも試せそうだ」
そう言うと、シンヤは目を閉じて集中した。
自分の意識を空高くまで飛ばすようなイメージをする。
「【イーグルアイ】」
すると、目蓋の裏に景色が広がる。
「これが……この世界か」
この世界で主に力を持っているのは、人族だ。
また、人族以外の種族も存在している。
獣人族、エルフ族、ドワーフ族、竜人族、魔族などだ。
彼らは時に人族と交わり、時に対立しながら暮らしている。
地域によっては強い差別意識があるが、致命的な敵対をしているというわけではない。
それよりも脅威なのは、魔物の存在だ。
魔力を帯びた動植物が変質して生まれるそれらは、人の住む地域に出現すれば甚大な被害をもたらす。
その被害を防ぐには、強力な武力による討伐が必要になる。
冒険者と呼ばれる存在もいて、魔物を狩ることで生計を立てる者もいる。
この森は人里から離れているため、魔物も野放し気味になっている。
「むっ!?」
シンヤは【イーグルアイ】の視界の片隅に動く大きな影を捉え、そちらに注意を向けた。
「なんだ?」
それは、大きな猪のような姿をしている。
しかし、通常のそれとは違い、牙や毛皮は赤黒い色に染まっており、その巨体は5メートルほどもある。
そして、何よりの特徴は、頭部にある2本の角だ。
禍々しく光る赤い瞳からは狂気が感じられる。
「あれが魔物か。それも、おそらくは上位種だ」
シンヤはさらに観察を続ける。
この世界に来て最初の戦闘が上位種というのは少し荷が重い。
できればこの魔物の力を把握しておきたかった。
だが、そうも言っていられない事情が発生した。
間が悪いことに、魔物の行く手に馬車が1台走っているのだ。
このままでは、いずれ鉢合わせになる。
「行くしかないか」
シンヤは魔力を体に流す。
「【フィジカルブースト】!」
彼は魔力によって身体能力を強化し、一気に駆け出したのだった。
0
お気に入りに追加
582
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる