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67話 桃色青春高校 vs 大火熱血高校

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「みんな、今日の相手は大火熱血高校だ。打撃力に優れている他、走塁や守備も高いレベルでまとまっている。強いチームだぞ」

 ベンチに集まった選手たちを前にして、キャプテンの龍之介が語る。
 大火熱血高校は、いわゆる古豪のチームだ。
 ここ数年で台頭してきたスターライト学園などの新勢力に押され気味ではあるが、まだまだ都大会ベスト8以上をキープしている。

「そして、何よりも特徴的なのは……」

「しゃぁっ! おらっ! 今日はよろしくなぁ! 桃色青春高校の諸君っ!!」

 龍之介の言葉を遮るように、鬼軍曹のような風格の女子選手が叫んだ。
 彼女こそが、大火熱血高校のキャプテンである。

「ああ、よろしく。……しかし、うるさいのは相変わらずだな」

「んだとぉ!? お前、人の挨拶をうるせぇだと!?」

「失礼、間違えたよ。……以前よりもうるさくなっているようだな。不知火」

「ん? どうしてアタシの名前を……って、お前は龍之介っ!! まさか、お前が桃色青春高校にいるとはなぁ!!」

 女子選手――不知火が龍之介の顔を見て叫ぶ。
 2人は顔見知りであった。

「最後の中学大会、都大会準々決勝で当たったよな」

「ああ。アタシはピッチャーやってたけど、お前に打たれたんだったなぁ!!」

 龍之介と不知火は、過去に対戦したことがある。
 そして、龍之介がホームランを決めていた。

「あの試合では負けたけどなぁ! 今の実力じゃあアタシの方が上だっ!! 覚悟してろよ!?」

「フッ……。相変わらずだな」

 2人の間に火花が散る。
 中学時代の龍之介の知名度はそれなりに高い。
 高校野球ほどの注目度はないため、一般人で彼を知っている者は少ないが……。
 同年代の野球選手ならば、その実力をよく知っているはずだ。

「っしゃあ! お前ら、気合い入れていくぞぉお!!」

「「押忍ッッ!!」」

 不知火キャプテンの言葉を聞いて、他の選手たちもこちらにやって来た。
 そして、意外にも礼儀正しく整列した。

「まずは事前の挨拶だっ! お前ら、声を出せ!!」

「「押忍ッッ!!」」

「誰よりも声出せ! 誰よりも気合入れていけぇえッ!!」

「「押忍ッッ!!」」

「よしっ! 今日の試合を全力で戦い抜くぞぉおッッ!! よろしくお願いしまぁすッッ!!」

「「押忍ッッ!! よろしくお願いしますぅッッ!!」」

 ……暑苦しい。
 挨拶がやたらと気合いが入っている。
 別に、今やらなくとも試合開始の直前に挨拶をすることになるのだが……。
 龍之介は仕方なく、挨拶を返すことにした。

「ああ、こちらこそよろしく頼む――」

「っしゃぁ! みんな、ウォーミングアップに行くぞぉぉおおおッ!!」

「「おぉぉぉおおおおおおッッ!!」」

 龍之介の言葉を遮って、不知火が叫ぶ。
 そして、そのままグラウンドへと散っていった。

「……本当に相変わらずだな。不知火は」

 龍之介が呟く。
 他の面々も、あまりの熱量と迫力に呆然としていた。

「相変わらず……って、前もあんな感じだったの?」

「ああ。ヤツは中学時代からあんな調子だ。暑苦しさに磨きはかかっているがな。しかしあれでも、実力自体は高い。油断せずに行こう」

 アイリの言葉を受け、龍之介が答える。
 中学大会では、龍之介が勝利した。
 しかし龍之介にブランクのある今、当時の差がそのまま残っているとは考えづらい。

「さて、試合のオーダーを確認しておこうか」

 彼は電光掲示板に表示されたメンバー表を眺めた。
 もう3度目となるが、ここで2099年の電光掲示板についての仕様を再々整理しておく。

 表示されているのは打順、守備ポジション、名前だ。
 2099年の今、登録できる名前はかなり自由化されている。
 名字でもいいし、下の名前でもいいし、フルネームでも構わない。

 さらに、龍之介の脳内には各人の能力値も表示されている。 
 順に、ミート、パワー、走塁力、送球力、守備力である。
 自チームについては野球ロボのスキャン機能もあり、かなりの精度で把握している。
 また、中学大会の覇者である龍之介は、相手の能力もそこそこの精度で予測することができた。


先攻・桃色青春高校

1番中・ノゾミ・DFADC*
2番左・セツナ・CCCDG*
3番投・龍之介・CCDDC*
4番一・ミ オ・CADCE
5番遊・アイリ・FDBCB*
6番捕・ユ イ・FDEAC
7番右・ロボ0・FFGGG
8番三・ロボ9・GGGFF
9番二・ロボ8・GGFGF

*は左打者

投手・龍之介
最高球速135km 制球力C 持久力C 変化球D

チーム全体評価
打撃E 走塁D 守備E 投手C 控え選手G 総合力E


後攻・大火熱血高校

1番中・ 焔 ・CDCDD
2番左・緋 口・CDCDD
3番三・炎 山・CCDDD
4番一・熱 海・CCDDD
5番右・灯 谷・CCDDD
6番投・不知火・CCDBD
7番二・赤 月・DDDDC
8番捕・紅 林・DDDCD
9番遊・火 威・DDDDC

投手・不知火
最高球速140km 制球力D 持久力B 変化球D

チーム全体評価
打撃C 走塁D 守備D 投手C 控え選手D 総合力D


「俺たちも、熱量で負けてはいられない。みんな、気合いを入れていくぞ!」

「「「「「おおぉー!!!」」」」」

 6人は肩を組み、雄叫びを上げる。
 こうして、桃色青春高校の第3回戦が幕を開けようとしていたのだった――。



【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ31【ダークホース桃色青春高校】

015:代走名無し@野球大好きオジサン
桃色青春高校の相手は大火熱血高校ね
龍之介選手の快進撃もここまでか……

016:名無し@野球大好きオジサン
>>015
大火熱血高校って、そんなに強いのか?
スターライト学園あたりに負けてるイメージしかないけど

017:名無し@野球大好きオジサン
立派な強豪校だよ
甲子園にはなかなか出場できていないが、都大会では毎年のようにベスト8に入ってるぜ

018:名無し@野球大好きオジサン
勢い任せの打撃が印象に残るけど、走塁とか守備も意外にしっかりしているんだよな。
穴がない。
確かに、桃色青春高校にとっては厳しい戦いになりそうだ
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