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29話 1回の裏 ミオちゃん・バズーカ
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「ふぇーん……。私は弱々のバッターですよぅ……。こわいよー……」
ミオが泣きそうな顔で呟く。
桃色青春高校の攻撃中で、ノーアウト二塁だ。
大草原高校は敬遠策を選び、スリーボール・ノーストライクとなっている。
「龍様ぁ……。ごめんなさい。私は打てませぇん……」
ミオが泣き言を言う。
どう考えても、敬遠されている最中の4番バッターには見えない。
(ふーむ……。龍之介殿が言っていたことは事実のようでござるなwww確かに、拙者としたことが警戒しすぎだったようでござるwwww)
草刃エルは、龍之介から言われたことを信じた。
それほどまでに、打席に立つミオは弱々しかったのだ。
(しかし……カウントは既にスリーボール・ノーストライクでござる。いくら弱そうなバッターでも、ここから勝負するべきでござろうか……?)
エルが考え込む。
このボールカウントからだと、1球でも外れたらフォアボールとなる。
それを避けるためには、はっきりとストライクゾーンに入れていく必要があるだろう。
今はノーストライクなので、基本的にはそれを3球繰り返すことが前提となる。
いくら非力なバッターが相手でも、はっきりとしたストライクが3球あれば打ち返されるかもしれない。
「おらー! みっともない敬遠をしてるんじゃねぇぞ!!」
「高校球児らしく、正々堂々と勝負しろ!!」
「弱そうな女の子を敬遠なんて、恥ずかしいと思わないのか!」
スタンドからそんな声が響く。
1回戦の弱小高校同士の対戦で、しかも1回裏の攻撃。
そんな中の敬遠策に、観客の心象もあまり良くないようだ。
「ふひひwww外野がうるさいでござるなwwwwまぁ、お望み通りにしてやるでござるよwwwww」
エルが笑う。
彼女の脳内では、ミオを打ち取る方向に戦法が練り直されていた。
(ここまで弱そうなバッターなら、野球ロボよりも下かもしれんでござるwww下手にランナーをためるより、普通に打ち取っていくでござるよwwwww)
エルがそう考える。
もしも、龍之介が挑発しなければ……。
ミオが弱そうな演技をしなければ……。
観客がヤジを飛ばさなければ……。
ここで敬遠策を続けていれば、結果は違ったものになっていただろう。
しかし現実は、そうならなかった。
エルのリードに従い、原田投手が4球目を投げる。
それはド真ん中へのストレートだった。
(この打者でアウト1つ追加でござるよwwwww)
エルはほくそ笑む。
だが――
「はあああぁっ!! 【ミオちゃん・バズーカ】!!!」
ミオがバットをフルスイングする。
エルが聞いたのは、聞いたこともない必殺技の名前だった。
しかし、その破壊力は絶大。
「なっ……!? ば、バカなでござる!!!」
ミオのバットが火を噴き、ボールが大空に舞い上がる。
エルは驚愕した。
いかにも弱そうなバッターが、大飛球を放ったのだから。
そしてその行方は――
『ボールはレフトスタンドへ! ホームランです! 桃色青春高校の4番ミオ選手、4球目を見事スタンドに叩き込みました!!』
レフトスタンド。
文句なしのホームランであった。
「やったー!! 打ちましたよぉ!!!」
ホームランを打ったミオは、笑顔でダイヤモンドを一周する。
そして、ホームベースで龍之介がハイタッチで迎えてくれた。
「ナイスホームラン! 良いスイングだったな!!」
「えへへー」
褒められて嬉しそうなミオ。
その近くでは、エルが悔しそうに震えていた。
「ば、バカな……。拙者の判断ミスで……大草原高校が弱小校に負けるでござるか……?」
呆然とするエルを他所に、龍之介とミオは笑顔でベンチに戻る。
なおも桃色青春高校の攻撃は続く。
……と言いたいところだが、5番打者以降は野球ロボが並んでいる。
ホームランに動揺した原田投手からポテンヒットとフォアボールを奪ったものの、さらなる得点を奪うには至らない。
3つのアウトを取られ、桃色青春高校の攻撃が終わる。
1回の裏が終わって、0対4。
初陣の滑り出しとしては、この上ないほどの大成功となったのであった。
123456789 計
―――――――――――――――――
大草原 |0 |0|
桃色青春|4 |4|
―――――――――――――――――
1回裏、桃色青春高校の攻撃終了
【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ7【スターライト学園】
656:代走名無し@野球大好きオジサン
ポカーン……
657:代走名無し@野球大好きオジサン
ポカーン……
658:代走名無し@野球大好きオジサン
これは酷いwww
659:代走名無し@野球大好きオジサン
大草原高校のバッテリーが雑魚すぎるwww
敬遠するのか勝負するのか、はっきりしろwwwwww
660:代走名無し@野球大好きオジサン
スリーボール・ノーストライクから謎に勝負した結果wwwwww
ホームランを打たれたでござるの巻wwwwwww
661:代走名無し@野球大好きオジサン
>>660 草生えるwww
まさか、ここまで弱いとは思わなかったわ……wwww
大草原不可避wwwwwwwwwwww
662:代走名無し@野球大好きオジサン
いや、大草原高校を責めるのは違うだろ
桃色青春高校の4番が凄かっただけ
女子選手であそこまでホームランが打てるなんて、大草原高校も予想外だったんだろう
663:代走名無し@野球大好きオジサン
>>662 まぁ、それは否定できないなwww
スポーツ医学が発展した影響で、外見だけじゃパワーの有無が判断できんとはいえ……
あんな小さな体であそこまで飛ばす奴は、なかなかいないよなwww
664:代走名無し@野球大好きオジサン
序盤だが、4点差のリードを献上した大草原高校
挽回できるのか?www
665:代走名無し@野球大好きオジサン
野球ロボの隙を突いていけばチャンスはある。
攻撃でも守備でも
666:代走名無し@野球大好きオジサン
両チームのお手並み拝見ってところだなww
ミオが泣きそうな顔で呟く。
桃色青春高校の攻撃中で、ノーアウト二塁だ。
大草原高校は敬遠策を選び、スリーボール・ノーストライクとなっている。
「龍様ぁ……。ごめんなさい。私は打てませぇん……」
ミオが泣き言を言う。
どう考えても、敬遠されている最中の4番バッターには見えない。
(ふーむ……。龍之介殿が言っていたことは事実のようでござるなwww確かに、拙者としたことが警戒しすぎだったようでござるwwww)
草刃エルは、龍之介から言われたことを信じた。
それほどまでに、打席に立つミオは弱々しかったのだ。
(しかし……カウントは既にスリーボール・ノーストライクでござる。いくら弱そうなバッターでも、ここから勝負するべきでござろうか……?)
エルが考え込む。
このボールカウントからだと、1球でも外れたらフォアボールとなる。
それを避けるためには、はっきりとストライクゾーンに入れていく必要があるだろう。
今はノーストライクなので、基本的にはそれを3球繰り返すことが前提となる。
いくら非力なバッターが相手でも、はっきりとしたストライクが3球あれば打ち返されるかもしれない。
「おらー! みっともない敬遠をしてるんじゃねぇぞ!!」
「高校球児らしく、正々堂々と勝負しろ!!」
「弱そうな女の子を敬遠なんて、恥ずかしいと思わないのか!」
スタンドからそんな声が響く。
1回戦の弱小高校同士の対戦で、しかも1回裏の攻撃。
そんな中の敬遠策に、観客の心象もあまり良くないようだ。
「ふひひwww外野がうるさいでござるなwwwwまぁ、お望み通りにしてやるでござるよwwwww」
エルが笑う。
彼女の脳内では、ミオを打ち取る方向に戦法が練り直されていた。
(ここまで弱そうなバッターなら、野球ロボよりも下かもしれんでござるwww下手にランナーをためるより、普通に打ち取っていくでござるよwwwww)
エルがそう考える。
もしも、龍之介が挑発しなければ……。
ミオが弱そうな演技をしなければ……。
観客がヤジを飛ばさなければ……。
ここで敬遠策を続けていれば、結果は違ったものになっていただろう。
しかし現実は、そうならなかった。
エルのリードに従い、原田投手が4球目を投げる。
それはド真ん中へのストレートだった。
(この打者でアウト1つ追加でござるよwwwww)
エルはほくそ笑む。
だが――
「はあああぁっ!! 【ミオちゃん・バズーカ】!!!」
ミオがバットをフルスイングする。
エルが聞いたのは、聞いたこともない必殺技の名前だった。
しかし、その破壊力は絶大。
「なっ……!? ば、バカなでござる!!!」
ミオのバットが火を噴き、ボールが大空に舞い上がる。
エルは驚愕した。
いかにも弱そうなバッターが、大飛球を放ったのだから。
そしてその行方は――
『ボールはレフトスタンドへ! ホームランです! 桃色青春高校の4番ミオ選手、4球目を見事スタンドに叩き込みました!!』
レフトスタンド。
文句なしのホームランであった。
「やったー!! 打ちましたよぉ!!!」
ホームランを打ったミオは、笑顔でダイヤモンドを一周する。
そして、ホームベースで龍之介がハイタッチで迎えてくれた。
「ナイスホームラン! 良いスイングだったな!!」
「えへへー」
褒められて嬉しそうなミオ。
その近くでは、エルが悔しそうに震えていた。
「ば、バカな……。拙者の判断ミスで……大草原高校が弱小校に負けるでござるか……?」
呆然とするエルを他所に、龍之介とミオは笑顔でベンチに戻る。
なおも桃色青春高校の攻撃は続く。
……と言いたいところだが、5番打者以降は野球ロボが並んでいる。
ホームランに動揺した原田投手からポテンヒットとフォアボールを奪ったものの、さらなる得点を奪うには至らない。
3つのアウトを取られ、桃色青春高校の攻撃が終わる。
1回の裏が終わって、0対4。
初陣の滑り出しとしては、この上ないほどの大成功となったのであった。
123456789 計
―――――――――――――――――
大草原 |0 |0|
桃色青春|4 |4|
―――――――――――――――――
1回裏、桃色青春高校の攻撃終了
【高校野球】2099年東京都秋大会雑談スレ7【スターライト学園】
656:代走名無し@野球大好きオジサン
ポカーン……
657:代走名無し@野球大好きオジサン
ポカーン……
658:代走名無し@野球大好きオジサン
これは酷いwww
659:代走名無し@野球大好きオジサン
大草原高校のバッテリーが雑魚すぎるwww
敬遠するのか勝負するのか、はっきりしろwwwwww
660:代走名無し@野球大好きオジサン
スリーボール・ノーストライクから謎に勝負した結果wwwwww
ホームランを打たれたでござるの巻wwwwwww
661:代走名無し@野球大好きオジサン
>>660 草生えるwww
まさか、ここまで弱いとは思わなかったわ……wwww
大草原不可避wwwwwwwwwwww
662:代走名無し@野球大好きオジサン
いや、大草原高校を責めるのは違うだろ
桃色青春高校の4番が凄かっただけ
女子選手であそこまでホームランが打てるなんて、大草原高校も予想外だったんだろう
663:代走名無し@野球大好きオジサン
>>662 まぁ、それは否定できないなwww
スポーツ医学が発展した影響で、外見だけじゃパワーの有無が判断できんとはいえ……
あんな小さな体であそこまで飛ばす奴は、なかなかいないよなwww
664:代走名無し@野球大好きオジサン
序盤だが、4点差のリードを献上した大草原高校
挽回できるのか?www
665:代走名無し@野球大好きオジサン
野球ロボの隙を突いていけばチャンスはある。
攻撃でも守備でも
666:代走名無し@野球大好きオジサン
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