社畜だけど転移先の異世界で【ジョブ設定スキル】を駆使して世界滅亡の危機に立ち向かう ～【最強ハーレム】を築くまで、俺は止まらねぇからよぉ！～

第５章

１２３２話 リリアナへの敵意－５

「おい、コウタ親分。まさかとは思うが……その女を庇うつもりなのか？」

「その『庇う』って表現がそもそも間違いなんだ。彼女のことを誤解している」

「誤解だと……？　この女は敵だぞ！　いや、敵以下だ！　そんなヤツに情けをかけるなんて……」

「……グレイス」

「っ！！」

　俺は低い声で彼女の名を呼ぶ。
　それだけで、彼女は静かになった。
　俺のことを心から心配しているだけで、別に悪意があってリリアナを貶めたいわけではないのだろう。

「後でちゃんと説明するから……今は黙っていてくれ」

　グレイスの懸念も、的外れなものではない。
　リリアナは『黄昏の月』のメンバーとして、かつて俺たち『悠久の風』と敵対した。
　ただの末端メンバーなら、気軽な気持ちで捕虜として確保することも受け入れられる。
　だが、リリアナは幹部集団『ナンバーズ』の序列３位で、『地母神』の二つ名を持つ強者だ。
　生半可な気持ちで味方に引き込めば、内部で暗躍され『悠久の風』や開拓地の和を掻き乱される。
　それは避けなければならない。