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第5章

1108話 出発前-6

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「この愚妹が……エウロス子爵様の仲間? 冗談でしょう?」

「いや、本当だ」

「……しかし、言葉だけのものでしょう。何の取り柄もない、愚かな愚妹。氷魔法は使えず、剣術も微妙です。そんな女を冒険者仲間として扱う価値などありません」

「ふむ……」

 シルヴィの兄の目に嘲りの色が見える。
 愛する女性を侮られたまま、放ってはおけない。
 俺は小さくため息をついた。

「やれやれ……。どうやら誤解があるようだな」

「誤解?」

「ああそうだ。シルヴィは氷魔法を使える。それに、剣術の腕前も相当なものだ」

「……お戯れを。たかがシルヴィごときに何ができるというのですか」

「少なくとも、お前よりは強いぞ。シルヴィは」

「なっ……!?」

 シルヴィの兄が絶句する。
 俺はさらに続けた。
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