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第5章

1077話 白狼族の村ヴァイス前-3

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「しかし……」

 シルヴィが不安げな声を出す。
 彼女は奴隷として、白狼族から売却された存在だ。
 違法な奴隷狩りではなく、あくまで両親や村長の同意の上で売り払われたのである。
 村に対して、いい感情は抱いていないだろう。
 俺は彼女の頭をなでてやった。

「心配するな。白狼族とは、あくまで取引相手として良好な関係を築きたいだけさ。過度に仲良くするつもりはないし、逆に何かあっても皆殺しにしたりもしない」

 シルヴィは村人たちに対して複雑な感情を抱いていると思われる。
 かつて自分を売り払った者が俺と仲良くなるのは微妙だろう。
 しかし同時に、故郷が滅んで喜ぶほど恨んでいるわけでもなさそうだ。
 エウロス子爵領を発展させるため、バランスの良い接し方が必要となる。
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