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第5章

998話 孤児リリィ視点-10

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「あ、あの……。ごめんなさい……」

 私は顔を赤くしながら謝罪する。
 恥ずかしい……。
 人と話しているときにお腹が鳴るなんて……。
 でも、我慢できなかった。
 お腹が減りすぎて、今にも倒れそうだ。

「なんだ? お前、腹減ってるのか?」

 グレイスさんが尋ねてくる。
 私は黙ってうなずいた。

「まあ、夕方だしな……。ちょうど小腹が空く頃だ。仕方ねぇか」

 そう言うと、グレイスさんは宿の中に入った。
 そして、すぐに戻ってくる。

「ほら、中に入れ」

「え?」

「飯でも食おうぜ。厨房の奴に確認したら、軽食でもつくってくれるってさ」

 グレイスさんはそう言うと、改めて宿の中に入っていった。
 私はミナさんに視線を向ける。
 すると、彼女はニッコリと微笑んだ。
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