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第5章

912話 元盗賊-4【グレイス・ヒナタside】

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(やっべぇ……。俺が元々ガチの盗賊だったことは、古参メンバー以外には言っていないんだった。やべぇ、どうしよう)

 冷や汗が止まらない。
 彼女は思わず口走ってしまったことを後悔した。

 言うまでもなく、盗賊行為は犯罪である。
 当時のコウタも、グレイス以外の盗賊団メンバーは見逃さずに処断していた。
 そんな中、ボーイッシュな美少女であるグレイスだけは見逃され、『悠久の風』に入りコウタの女となったのである。

 当時の『悠久の風』メンバーは、コウタの意向に従っている。
 今さらグレイスの過去についてどうこう言うつもりはない。
 だが、目の前にいる新参メンバーであるヒナタは別だ。
 彼女はかつて奴隷狩りの盗賊に里を襲撃され、悲惨な目にあっている。
 そんな彼女にグレイスの過去がバレたら、どうなるか分かったものではない。
 グレイスは焦りつつ言い訳した。


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