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第5章

855話 本好き-2【チセ・ローズside】

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「わたくしへの呼び方を改めなさいな」

「え、ええ!?」

 チセが驚いた表情を浮かべる。
 そんな彼女に、ローズはさらに続けた。

「貴女は先ほどから、わたくしのことを様付けで呼んでいますわ」

「それは……その……当然のことで……」

「いえ。『当然のこと』ではありませんわ」

 チセの言葉を、ローズははっきりと否定する。
 彼女はさらに続けた。

「貴女は平民で、わたくしは貴族です。生まれ持った立場が違いますね」

「ええ、はい。そうですね。生まれた時から身分が違います」

「しかし、今はどうでしょう? 『悠久の風』の仲間です。パーティ内での先輩後輩ぐらいの序列、あるいはコウタ殿のハーレム内における序列はあっても、それ以上の差はありませんわ」

「そう、ですね……?」

 チセは戸惑いながらも頷く。
 彼女の反応に満足し、ローズはさらに話を続けた。

「わたくしのことは『ローズ様』ではなく『ローズさん』とでもお呼びなさい」

「えっ!? で、ですが……」

 チセが慌てて反論しようとする。
 そんな彼女に、ローズはキッパリと言い返した。

「いいえ、これぐらいが適切な距離感というものですわ」

「な、なるほど……?」

 チセは戸惑いながらも頷く。
 あまり納得しきれていない様子だったが、ローズはそれを無視して話を続けた。
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