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第5章

841話 闇夜の舞姫-1

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(いや、しかし……。正しく実力を把握された上で、綿密で大規模な襲撃計画を実行された方が厄介だな……。やっぱり、今まで通り『風魔剣士』だけに留めておくか)

 俺は改めてそう考える。
 もっと前から真の実力を周知していた場合、今回の襲撃自体はなかった可能性が高いだろう。
 しかし、それでマデリン侯爵が完全に諦めたと見るのは早計だ。

 今回は『ファーストジョブ封印の呪い』を使われたわけだが、さらなる時間・人員・魔石・魔導具・予算などを惜しみなく投入すれば、追加で『セカンドジョブ封印の呪い』や『使用可能アクティブスキル半減の呪い』を俺にかけることも可能だろう。
 今回の襲撃だって、『ファーストジョブ封印の呪い』自体はちゃんと発動していた。
 もっと多種多様の呪いを食らえば、どうなっていたか分からない。

 まぁ、各種の呪いを同時に発動しようとすると、諸々の発動条件が指数関数的に厳しくなるんだけどな。
 とにかく、リスクは最低限にしておいた方がいい。
 実力をある程度まで隠していく方針は今後も継続だ。

「ところで、お前たちの組織名は何というんだ?」

 俺はそう問いかける。
 これからは、彼女たちを配下として扱っていきたい。
 その度に『あの長老が率いる集団』と呼ぶのは、少しばかり長いからな。

「儂らは『闇夜の舞姫』ですじゃ。そちらが組織名となりますな」

「『闇夜の舞姫』か。なかなかカッコいい名前だな」

 俺は感心する。
 彼女たちは暗殺者集団であり、夜に動く。
 そして、老婆、美女、少女、幼女など、構成員の全てが女性だ。
 組織名『闇夜の舞姫』。
 実に素晴らしい。
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