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第5章

826話 勘違いしてないか?

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「か、髪の毛が欲しいならあげますけど……」

「そうだな。だが、俺が欲しいのは毛髪だけじゃない」

「えっ……!?」

「お前たちに生えている毛が一通り欲しいんだ。全身くまなくな。アソコ、尻、すね、わき、鼻……。およそ全ての毛だ。この要求が通るなら、俺はお前たちを殺さないと約束しよう」

「「……っ!?」」

 俺の言葉に少女や美女たちが目を見開いた。
 まぁ、驚くだろうな。
 毛がほしいなんて、普通に考えておかしい。
 百歩譲って、毛髪だけなら理解できるかもしれないが……。
 上質な毛髪は、カツラの材料として多少の価値がある。
 それに、一部の錬金術で使われることもあるしな。
 しかし、アソコや尻の毛まで要求されることはなかなかない。

「どうする? 別に断ってもいいぞ? その場合は全員を始末することになるがな」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 事情を説明しなさい、事情を!!」

「そうです! それが筋というものでしょう!!」

「そうよ! わけわかんないわ!!」

 少女や美女たちが口々に騒ぎ立てる。
 ふむ……。
 詳細を聞きたくなる心情は理解できるが……。
 どうやら、立場というものが分かっていないらしい。

「お前たち、何か勘違いしてないか?」

「え?」

「お前たちも見ていただろう? 俺は気づかれないままパンツを剥ぎ取るほどのスピードが出せる。その気になれば、お前たちの毛を勝手に引き抜くことだってできるんだ。それを理解したうえで発言したんだろうな?」

「そ、そんな……!?」

 少女たちが顔を青ざめさせる。
 俺はゆっくりと彼女たちに近づいていく。

「ま、待って! そ、その要求を受け入れたとして……。私たちは助かるんですか……?」

「さっきから言っているだろうが。俺はお前たちを殺さない。それは約束しよう。ついでに、氷漬けになった長老たちを解凍して助けてやってもいいぞ」

 俺は少女たちにそう伝えた。
 そして、少女たちの返答を待つ。
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