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第5章

804話 お義父さん

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「大司教ザルード……いや、ザルードお義父さんと呼ばせてもらおうか。俺たちはファミリーになるんだ。ウルゴ陛下の治世の下で、いっしょに繁栄していこうぜ? フッフッフ!!」

「……エウロス卿に『お義父さん』などと呼ばれる筋合いは……」

「そんなに冷たいこと言うなよ。俺たちは、これから家族になるんだ。まさか嫌とは言わねぇよな? お義父さん」

「くっ……。う、うぅ……」

 ザルードが頭を抱える。
 強引すぎたか?
 だが、少しばかり無理やりでも『大司教ザルードとのコネクション』は得ておきたい。
 今後の計画のためには、彼とのコネクトが有用だからな。

「繰り返すが、別に敵対したいわけじゃないんだ。開拓が成功した暁には、十分な見返りを約束する。エウロス子爵家から教会に、そしてコウタからザルードお義父さんにな」

「…………」

「ここだけの話だが、俺は子爵程度で満足するつもりはない。もっと、もっと上を目指していくつもりだ」

「えっ!? エウロス卿は子爵以上の爵位を狙われると!? 平民から子爵になっただけでも前代未聞ですが……」

 ザルードが驚きの声を上げる。
 だが、俺はニヤリと笑って頷いた。

「ああ。子爵の上――伯爵だな。エルカ西部の未開拓地域は辺境だし、辺境伯ってのもいいかもな」

「辺境伯……」

「これは分の良い勝負だぜ? 『勇者』のジョブを持つこの俺が、シフォンを通してお前と親子になってやろうってんだ。未来の辺境伯と繋がりができる――そんなチャンスは、滅多にないんじゃないか? そしてゆくゆくは、大司教よりも上のポジションだって……」

「……っ!!」

 ザルードの目が見開かれる。
 彼はしばしの沈黙の後、俺の目を見た。
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