793 / 1,334
第5章
793話 脅し? とんでもない
しおりを挟む
「なぁ、俺もお前の立場なら、自分の大切な孫のことは最大限に守るよ。お前もそうじゃないのか?」
「……」
「もしもお前が孫を想う気持ちがあるなら、今のうちに対策を取っておくべきだ。不幸があってからでは遅いからな」
「……それは脅しのつもりですか? エウロス卿」
「脅し? とんでもない。これは俺の善意からのアドバイスだよ」
どうして『脅し』なんて言葉が出てきたのだろうか?
理解できない。
俺はただ、『可愛い子に万が一のことがあってはならない』と心配しているだけなのに……。
誤解を解くべく、俺は言葉を続ける。
「俺はザルードや教会と仲良くしたいのさ。脅したり、敵対したり……。そんなこと、するわけがないだろう? ウルゴ陛下の治世の下、共に繁栄したいと思っているんだ」
「…………。……分かりました。『助祭』を1名、そして『修道士』や『シスター』を数名。それであれば、開拓開始時から派遣いたしましょう」
「おおっ! 助かるよ!!」
ザルードがなぜか譲歩してくれた。
やはり、世間話はしてみるものだな。
「シフォンちゃんも含まれているのか?」
「……シフォンはまだ12歳です。派遣は不可能。さすがにそれは譲れない一線ですな」
「そうか……」
俺は少し残念に思う。
シフォンは美少女になる可能性を秘めている。
それに、ザルード大司教の孫娘でもある。
俺たち『悠久の風』に引き込めれば、いろいろな利を得られると思ったんだがなぁ……。
(ここは諦めるか……。いや、待てよ? まだ交渉の余地はあるかもしれないな)
俺は思考を巡らせる。
そして、ザルードに向けて口を開くのだった。
「……」
「もしもお前が孫を想う気持ちがあるなら、今のうちに対策を取っておくべきだ。不幸があってからでは遅いからな」
「……それは脅しのつもりですか? エウロス卿」
「脅し? とんでもない。これは俺の善意からのアドバイスだよ」
どうして『脅し』なんて言葉が出てきたのだろうか?
理解できない。
俺はただ、『可愛い子に万が一のことがあってはならない』と心配しているだけなのに……。
誤解を解くべく、俺は言葉を続ける。
「俺はザルードや教会と仲良くしたいのさ。脅したり、敵対したり……。そんなこと、するわけがないだろう? ウルゴ陛下の治世の下、共に繁栄したいと思っているんだ」
「…………。……分かりました。『助祭』を1名、そして『修道士』や『シスター』を数名。それであれば、開拓開始時から派遣いたしましょう」
「おおっ! 助かるよ!!」
ザルードがなぜか譲歩してくれた。
やはり、世間話はしてみるものだな。
「シフォンちゃんも含まれているのか?」
「……シフォンはまだ12歳です。派遣は不可能。さすがにそれは譲れない一線ですな」
「そうか……」
俺は少し残念に思う。
シフォンは美少女になる可能性を秘めている。
それに、ザルード大司教の孫娘でもある。
俺たち『悠久の風』に引き込めれば、いろいろな利を得られると思ったんだがなぁ……。
(ここは諦めるか……。いや、待てよ? まだ交渉の余地はあるかもしれないな)
俺は思考を巡らせる。
そして、ザルードに向けて口を開くのだった。
16
お気に入りに追加
1,097
あなたにおすすめの小説

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる