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第5章
791話 ずいぶんと可愛らしい子だな
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「ちょっと待ってくれ」
俺は立ち上がり、彼女を呼び止める。
だが、その瞬間にザルード大司教が声を上げた。
「エウロス卿! 今は大切な話をしていたはずです! 子どもに構っている場合ではありません!!」
「……ああ、そうだな」
俺は大きく息を吐き、座り直す。
シフォンの俺への怯えた態度。
ザルードの孫娘への冷たい態度。
何か腑に落ちないところがある。
しかし確かに、今は開拓事業に関する大切な話をしていたところだ。
まだ幼いと言ってもいい少女に構っている場合ではない。
「話を戻そうか。俺たち『悠久の風』の強さについてだが……」
「エウロス卿、私はあなたの実力を認めています。だからこそ、開拓が一段落して安全が確立できた後で、教会関係者を派遣すると言っているのです」
話は平行線のままだ。
やはり大司教。
単に粘り強く交渉するだけでは、譲歩してくれない。
ここはやはり、俺の秘密を明かすか……。
いや、その前に少し世間話でもしておこう。
ひょっとしたら、世間話で仲良くなれば譲歩を引き出せるかもしれない。
「さっきの……ええと、シフォンちゃんと言ったか」
「……彼女が何か?」
「ずいぶんと可愛らしい子だな」
「……それがどうしたというのですか」
「いや、別に。ただ、可愛い女の子は宝物だからな。ザルードにとっても、最も可愛い存在なんじゃないか?」
「……」
ザルードは黙り込んでしまった。
彼の眉間に深いしわが寄る。
俺は言葉を続けた。
俺は立ち上がり、彼女を呼び止める。
だが、その瞬間にザルード大司教が声を上げた。
「エウロス卿! 今は大切な話をしていたはずです! 子どもに構っている場合ではありません!!」
「……ああ、そうだな」
俺は大きく息を吐き、座り直す。
シフォンの俺への怯えた態度。
ザルードの孫娘への冷たい態度。
何か腑に落ちないところがある。
しかし確かに、今は開拓事業に関する大切な話をしていたところだ。
まだ幼いと言ってもいい少女に構っている場合ではない。
「話を戻そうか。俺たち『悠久の風』の強さについてだが……」
「エウロス卿、私はあなたの実力を認めています。だからこそ、開拓が一段落して安全が確立できた後で、教会関係者を派遣すると言っているのです」
話は平行線のままだ。
やはり大司教。
単に粘り強く交渉するだけでは、譲歩してくれない。
ここはやはり、俺の秘密を明かすか……。
いや、その前に少し世間話でもしておこう。
ひょっとしたら、世間話で仲良くなれば譲歩を引き出せるかもしれない。
「さっきの……ええと、シフォンちゃんと言ったか」
「……彼女が何か?」
「ずいぶんと可愛らしい子だな」
「……それがどうしたというのですか」
「いや、別に。ただ、可愛い女の子は宝物だからな。ザルードにとっても、最も可愛い存在なんじゃないか?」
「……」
ザルードは黙り込んでしまった。
彼の眉間に深いしわが寄る。
俺は言葉を続けた。
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