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第5章

790話 シフォン

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 俺は大司教ザルードと交渉している。
 Sランクパーティ『悠久の風』の強さを改めて強調したものの、ザルード大司教の反応は悪い。
 まぁ、『俺たちは強い』なんて口で言うだけなら簡単なことだからな。
 ここは何かしらの秘密を明かす必要があるかもしれない。
 そんなことを考えていたら、部屋に教会の人間が入ってきた。
 俺が先ほど見かけた、金髪の少女だ。

「お祖父様、お茶をお持ちしました」

「……シフォン。ここではお祖父様ではなく、ザルード大司教とお呼びなさい。それに、ここには誰も入るなと言ったはずですよ」

「申し訳ありません、ザルード大司教。ですが、お客様にせめてお茶だけお出ししたいと思いまして……」

 シフォンと呼ばれた少女は、ザルード大司教に叱られて縮こまってしまっていたが、それでも気丈に言葉を返した。
 俺はその様子を見て、あることを確信した。

「ふふ……。近くで見たら、可愛さがよく分かるな。シフォンちゃん」

「……え? ひっ!?」

 俺はシフォンに視線を向ける。
 すると、彼女はビクッと震えて怯え始めた。
 おいおい、どうして俺がこんなに怖がられているんだ?

「お、お客様とは……エウロス卿のことでしたか……」

「ああ、そうだ。これ以上の粗相があっては困る。シフォン、お茶を置いてすぐに出ていきなさい」

「は、はい……。分かりました……」

 ザルードは孫娘に冷たく接する。
 彼女はビクビクしながらも、指示された通りにテーブルの上にティーセットを置いた。
 そして、すぐに部屋を出ていこうとする。
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