790 / 1,331
第5章
790話 シフォン
しおりを挟む
俺は大司教ザルードと交渉している。
Sランクパーティ『悠久の風』の強さを改めて強調したものの、ザルード大司教の反応は悪い。
まぁ、『俺たちは強い』なんて口で言うだけなら簡単なことだからな。
ここは何かしらの秘密を明かす必要があるかもしれない。
そんなことを考えていたら、部屋に教会の人間が入ってきた。
俺が先ほど見かけた、金髪の少女だ。
「お祖父様、お茶をお持ちしました」
「……シフォン。ここではお祖父様ではなく、ザルード大司教とお呼びなさい。それに、ここには誰も入るなと言ったはずですよ」
「申し訳ありません、ザルード大司教。ですが、お客様にせめてお茶だけお出ししたいと思いまして……」
シフォンと呼ばれた少女は、ザルード大司教に叱られて縮こまってしまっていたが、それでも気丈に言葉を返した。
俺はその様子を見て、あることを確信した。
「ふふ……。近くで見たら、可愛さがよく分かるな。シフォンちゃん」
「……え? ひっ!?」
俺はシフォンに視線を向ける。
すると、彼女はビクッと震えて怯え始めた。
おいおい、どうして俺がこんなに怖がられているんだ?
「お、お客様とは……エウロス卿のことでしたか……」
「ああ、そうだ。これ以上の粗相があっては困る。シフォン、お茶を置いてすぐに出ていきなさい」
「は、はい……。分かりました……」
ザルードは孫娘に冷たく接する。
彼女はビクビクしながらも、指示された通りにテーブルの上にティーセットを置いた。
そして、すぐに部屋を出ていこうとする。
Sランクパーティ『悠久の風』の強さを改めて強調したものの、ザルード大司教の反応は悪い。
まぁ、『俺たちは強い』なんて口で言うだけなら簡単なことだからな。
ここは何かしらの秘密を明かす必要があるかもしれない。
そんなことを考えていたら、部屋に教会の人間が入ってきた。
俺が先ほど見かけた、金髪の少女だ。
「お祖父様、お茶をお持ちしました」
「……シフォン。ここではお祖父様ではなく、ザルード大司教とお呼びなさい。それに、ここには誰も入るなと言ったはずですよ」
「申し訳ありません、ザルード大司教。ですが、お客様にせめてお茶だけお出ししたいと思いまして……」
シフォンと呼ばれた少女は、ザルード大司教に叱られて縮こまってしまっていたが、それでも気丈に言葉を返した。
俺はその様子を見て、あることを確信した。
「ふふ……。近くで見たら、可愛さがよく分かるな。シフォンちゃん」
「……え? ひっ!?」
俺はシフォンに視線を向ける。
すると、彼女はビクッと震えて怯え始めた。
おいおい、どうして俺がこんなに怖がられているんだ?
「お、お客様とは……エウロス卿のことでしたか……」
「ああ、そうだ。これ以上の粗相があっては困る。シフォン、お茶を置いてすぐに出ていきなさい」
「は、はい……。分かりました……」
ザルードは孫娘に冷たく接する。
彼女はビクビクしながらも、指示された通りにテーブルの上にティーセットを置いた。
そして、すぐに部屋を出ていこうとする。
16
お気に入りに追加
1,096
あなたにおすすめの小説
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる