社畜だけど転移先の異世界で【ジョブ設定スキル】を駆使して世界滅亡の危機に立ち向かう ～【最強ハーレム】を築くまで、俺は止まらねぇからよぉ！～

第５章

７１４話 時の運？

「うむ……。よく話してくれた。礼を言う」

「勿体なきお言葉です」

　虚偽報告だけどな。
　実際には、ウルゴ陛下の認識通り『圧倒的な勝利』だった。
　俺と騎士団長が１００回戦えば、１００回とも俺は勝つだろう。
　彼の『闘神鎧』は悪くないスキルだが、俺にはチートがあるからな。
　今回使用したのは『風魔剣士』『雷魔導士』『英雄』のスキルのみ。
　俺には他にも様々なスキルがあるため、全力を出せばもっと余裕で勝てる。
　こんなにたくさんの見物客の前でそれを披露するつもりはないので、敢えて少しばかり力をセーブして戦ったわけだ。

「余がそなたの立場であれば、騎士団長に勝利を収めたことを大々的に発表したであろうが……、エウロス卿はそのようにしなかったのだな」

「はい。所詮は紙一重の勝利……。時の運もありましょう。このようなことで、騎士団長の名誉が不必要に下がってしまうのは本意ではありません。それは、バルドゥール王国にとっても損失となります」

「ふむ……。さすがはエウロス卿だ。そこまで考えているとは」

　俺の言葉に、ウルゴ陛下が感嘆の声を上げる。
　騎士団長も、目を丸くしていた。
　俺に負けたことは悔しいだろう。
　密かに好意を寄せていた女騎士ナディアを俺にとられたのも、許しがたい出来事のはず。
　しかし一方で、勝者である俺が彼へ一定の評価をし、それをウルゴ陛下に伝えた。
　なかなか複雑な心境になっていると思われる。

　こちらとしても、騎士団長を完全には敵に回したくないからな。
　この程度の配慮で懐柔できるのであれば、楽なものだ。
　男なので俺の『パーティメンバー設定』の条件を満たすほどに好感度が上がることはないだろうが……。
　世界滅亡の危機に立ち向かったりバルドゥール王国のさらなる発展を目指したりする上で、優秀な人材を不必要に潰してしまうことは避けたい。