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第5章

697話 粉骨砕身

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「陛下! エウロス卿は危険な存在ですぞ! 然るべき断罪を! そして、近衛騎士を貸し与える件についてもどうかご再考ください!!」

「マデリン卿の仰る通りです!! ナディア殿は陛下の近衛騎士……それを汚すような真似をした者を信用することはできません!!」

 マデリン侯爵と団長が声高に叫ぶ。
 彼らの主張はもっともだ。
 が、残念なことに俺の主張も間違ってはいない。
 ウルゴ陛下はどっちの言い分を聞くのか。

「マデリン侯爵と団長が主張していることはもっともなことだな」

「では!」

「――しかし、そのような些事でエウロス卿にへそを曲げられるのもつまらぬ。我の見立てでは、彼は100年に1人の逸材だ。バルドゥール王国のさらなる発展のため、彼には存分に力を発揮してもらう必要がある。――そのつもりはあるか? エウロス卿よ」

「はっ! 王国のため、粉骨砕身の覚悟で尽くさせていただきます!」

 俺は恭しく答える。
 まぁ粉骨砕身の覚悟は言い過ぎなのだが、この国のために頑張る気持ち自体は嘘ではない。
 やがて来る世界滅亡の危機に備えて、エウロス男爵領やバルドゥール王国はできるだけ発展させておきたい。
 そして、可愛い女の子を集めたハーレムを堪能して人生を謳歌するのだ。

(マデリン侯爵と団長は、陛下の言葉を受けて大人しく引き下がるかな……?)

 俺は横目で2人の様子を伺う。
 そこには悔しそうな様子で拳を握りしめている2人の姿が見えたのだった。
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