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第5章
679話 あんた誰だ?
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「ははは……。それは確かに問題だな。どうしたものか……。難しい問題だ」
「今は我慢すればいいだけの話だろう!?」
ナディアが真っ赤になりながら反論する。
確かに、彼女の言うことにも一理ある。
謁見を控えた今は我慢しておいて、後で楽しめばいいだけの話だ。
しかし、ナディアという魅力的な女体を前にして我慢するのも体に毒である。
俺が悩み始めた頃――
コンコンッ。
「失礼するぞ」
ガチャリと扉が開く。
入ってきたのは豪奢な貴族服に身を包んだ老人だ。
いかにも偉そうな感じだが、俺は彼を知らない。
「こ、これはこれは――」
ナディアが素早く膝をつく。
彼女は王城務めでありウルゴ陛下の側近ではあるが、本人の身分自体は平民である。
おそらくは貴族であろうこの老人に対して、彼女が膝をつくことは自然なことだ。
しかし、俺はどうか?
俺は男爵だ。
ナディアにならって膝をつくのは容易いが、男爵ともなれば安易にそうするわけにはいかない。
彼がもし準男爵や騎士爵の者であった場合、貴族の階級に反した礼を取ることになってしまう。
それは、このバルドゥール王国の仕組み自体に異を唱える行為だ。
慎重に事を運ぶ必要がある。
まずは彼の身分を確定させることからだな。
「あんた誰だ?」
俺はあえて尊大に尋ねる。
ナディアが目を丸くするが、気にしない。
「今は我慢すればいいだけの話だろう!?」
ナディアが真っ赤になりながら反論する。
確かに、彼女の言うことにも一理ある。
謁見を控えた今は我慢しておいて、後で楽しめばいいだけの話だ。
しかし、ナディアという魅力的な女体を前にして我慢するのも体に毒である。
俺が悩み始めた頃――
コンコンッ。
「失礼するぞ」
ガチャリと扉が開く。
入ってきたのは豪奢な貴族服に身を包んだ老人だ。
いかにも偉そうな感じだが、俺は彼を知らない。
「こ、これはこれは――」
ナディアが素早く膝をつく。
彼女は王城務めでありウルゴ陛下の側近ではあるが、本人の身分自体は平民である。
おそらくは貴族であろうこの老人に対して、彼女が膝をつくことは自然なことだ。
しかし、俺はどうか?
俺は男爵だ。
ナディアにならって膝をつくのは容易いが、男爵ともなれば安易にそうするわけにはいかない。
彼がもし準男爵や騎士爵の者であった場合、貴族の階級に反した礼を取ることになってしまう。
それは、このバルドゥール王国の仕組み自体に異を唱える行為だ。
慎重に事を運ぶ必要がある。
まずは彼の身分を確定させることからだな。
「あんた誰だ?」
俺はあえて尊大に尋ねる。
ナディアが目を丸くするが、気にしない。
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