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第5章
624話 ユヅキとエメラダ
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「ぎぃやぁあぁあ!!?? あ、熱いぃいぃぃいぃ!!」
リーダーの男が突然絶叫を上げた。
何事かと思いそちらを見ると、彼の右腕が真っ赤に腫れ上がっていたのだ。
さらによく見ると、右腕だけではなく他の部位にも異変が起きているようである。
彼はあまりの熱さに悶え苦しんでいるようだった。
それを見た取り巻きたちが慌て始める。
「お、おい! どうしたんだよ!?」
「しっかりしろって!」
口々に叫ぶ男たちだが、もはや手遅れであった。
次の瞬間、男は口から泡を吹き出して失神してしまったからだ。
その様子を見ていたエメラダが口を開く。
「……ふむふむ。こんな感じになるわけですか」
彼女は興味深そうに呟きつつ、メモをとっている。
そんな彼女を横目で見ていたユヅキが呟くように言う。
「……ねぇ、エメラダちゃん。これってわざとやってる?」
「ん~? なんのことですかぁ?」
ユヅキの言葉にとぼけてみせるエメラダ。
しかし、その口元は明らかに笑っていた。
(この子、絶対確信犯だよね……)
そんな彼女の態度に呆れるユヅキ。
コウタが率いる『悠久の風』において、ユヅキは序列3位だ。
シルヴィの次に古株であり、近接戦闘能力も魔法技量も高い。
一方のエメラダは序列9位である上、奴隷身分でもある。
本来であれば明確な上下関係が存在するはずなのだが、彼女たちの関係は対等に近いものだった。
その理由としては、やはりコウタの存在が大きいだろう。
彼は女性同士の上下関係や派閥、相性の良し悪しというものに口を出すつもりはない。
ただ、自分の目の前で争うことにだけは苦言を呈していた。
ならば当然、コウタの見えないところで熾烈な女の争いが繰り広げられるわけなのだが……今のところは平和だった。
そこに小難しい理屈はない。
単純に、コウタはほとんどいつも一緒にいるからである。
そのため彼女たちは自然と互いを認め合い、強い仲間意識を持ち始めていた。
こうして一時的にコウタが不在になった場合にも、互いのことを責め合ったりはしない。
……のだが、エメラダが引き起こした目の前の惨状を見ていると、果たしてそれが正しいことなのかわからなくなってくるユヅキだった。
リーダーの男が突然絶叫を上げた。
何事かと思いそちらを見ると、彼の右腕が真っ赤に腫れ上がっていたのだ。
さらによく見ると、右腕だけではなく他の部位にも異変が起きているようである。
彼はあまりの熱さに悶え苦しんでいるようだった。
それを見た取り巻きたちが慌て始める。
「お、おい! どうしたんだよ!?」
「しっかりしろって!」
口々に叫ぶ男たちだが、もはや手遅れであった。
次の瞬間、男は口から泡を吹き出して失神してしまったからだ。
その様子を見ていたエメラダが口を開く。
「……ふむふむ。こんな感じになるわけですか」
彼女は興味深そうに呟きつつ、メモをとっている。
そんな彼女を横目で見ていたユヅキが呟くように言う。
「……ねぇ、エメラダちゃん。これってわざとやってる?」
「ん~? なんのことですかぁ?」
ユヅキの言葉にとぼけてみせるエメラダ。
しかし、その口元は明らかに笑っていた。
(この子、絶対確信犯だよね……)
そんな彼女の態度に呆れるユヅキ。
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その理由としては、やはりコウタの存在が大きいだろう。
彼は女性同士の上下関係や派閥、相性の良し悪しというものに口を出すつもりはない。
ただ、自分の目の前で争うことにだけは苦言を呈していた。
ならば当然、コウタの見えないところで熾烈な女の争いが繰り広げられるわけなのだが……今のところは平和だった。
そこに小難しい理屈はない。
単純に、コウタはほとんどいつも一緒にいるからである。
そのため彼女たちは自然と互いを認め合い、強い仲間意識を持ち始めていた。
こうして一時的にコウタが不在になった場合にも、互いのことを責め合ったりはしない。
……のだが、エメラダが引き起こした目の前の惨状を見ていると、果たしてそれが正しいことなのかわからなくなってくるユヅキだった。
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