615 / 1,331
第5章
615話 懲りない男たち
しおりを挟む
コウタ不在の中、ユヅキたちがチンピラに絡まれている。
もちろん、リーダーが不在だとしても今さら彼女たちがチンピラに後れを取ることはない。
むしろ逆に、男たちの心配をしなければならない局面だ。
現に、シルヴィの氷魔法によって彼らの足は氷漬けにされてしまった上、それを哀れんだヒナタの火妖術によって大やけどを負わされてしまった。
「痛いっ!! ああああぁっ!?」
「死ぬぅっ!? このままじゃ死んじまうっ!?」
「い、いやだぁっ!! 死にたくないぃいぃっ!!」
泣き喚き、転げ回る男たち。
「仕方ありませんわね。ここはわたくしの治療魔法の出番ですわ」
ローズが前に出てくる。
ヒナタのうっかりミスをフォローするためだ。
いくらチンピラ相手とはいえ、このままではヒナタが殺人犯になる可能性がある。
まぁ実際には、先に絡んできたチンピラたちが『死ねやぁ!!』と叫んでいたこともあり、正当防衛の要素もあるのだが……。
「お、お前は治療魔法を使えるのか!?」
「早くしろや、ゴラァ!」
「俺たちを舐めやがって! 出るとこ出てもいいんだぞ、オラッ!!」
口々に叫ぶチンピラたち。
一見すると強気な印象を受けるのだが、大やけどを負った足をバタバタさせて這いつくばっているその姿は滑稽でしかない。
実力行使は諦め、『出るとこ出てもいい』と脅すあたりに小物感が出ている。
シルヴィやヒナタの凄まじい実力を知り、この体たらくだ。
そんな彼らを半ば無視し、ローズは治癒魔法を行使した。
「――【リフレッシュ】」
次の瞬間、男たちの傷がみるみる癒えていく。
その様子を見ていたミルキーやルンたちが感心したように頷いた。
「さすがはローズ嬢だな」
「凄いですぅ!」
「あの人たち、すぐに元気になりそうですね!」
チセが目を輝かせる。
そんな一同の視線を受けつつ、ローズは治療を一段落させた。
足の痛みが収まったのか、男たちの表情が幾分か和らぐ。
「ふぅ……これで大丈夫でしょう」
「ちっ! 遅ぇんだよ!!」
「今のは痛かったぜ! マジで死ぬかと思った!!」
「お前ら、覚えてろよ! 絶対に許さねぇからな!?」
文句を言いつつも、とりあえず立ち上がる男たち。
彼らは火傷した足をさすり、調子を確かめてからユヅキたちに向き直る。
そしてニヤリと笑うと、挑発的な態度で言った。
「へへっ。足を治したのは失敗だったんじゃねぇか?」
「もう油断しねぇぜ? 今度こそ、詫び入れついでに俺たちに付き合ってもらおうじゃねぇか!」
ヘラヘラと笑う男たち。
驚くべきことに、シルヴィ、ヒナタ、ローズの実力を体感しながら、まだ諦めていないようだ。
彼女たちが見せつけたのが、それぞれ魔法や妖術だったというのも関係しているだろう。
魔法に気をつければ、やられることはないはずと過信しているのだ。
しかしそんな彼に対し、ユヅキたちは冷ややかな視線を向けていた。
もちろん、リーダーが不在だとしても今さら彼女たちがチンピラに後れを取ることはない。
むしろ逆に、男たちの心配をしなければならない局面だ。
現に、シルヴィの氷魔法によって彼らの足は氷漬けにされてしまった上、それを哀れんだヒナタの火妖術によって大やけどを負わされてしまった。
「痛いっ!! ああああぁっ!?」
「死ぬぅっ!? このままじゃ死んじまうっ!?」
「い、いやだぁっ!! 死にたくないぃいぃっ!!」
泣き喚き、転げ回る男たち。
「仕方ありませんわね。ここはわたくしの治療魔法の出番ですわ」
ローズが前に出てくる。
ヒナタのうっかりミスをフォローするためだ。
いくらチンピラ相手とはいえ、このままではヒナタが殺人犯になる可能性がある。
まぁ実際には、先に絡んできたチンピラたちが『死ねやぁ!!』と叫んでいたこともあり、正当防衛の要素もあるのだが……。
「お、お前は治療魔法を使えるのか!?」
「早くしろや、ゴラァ!」
「俺たちを舐めやがって! 出るとこ出てもいいんだぞ、オラッ!!」
口々に叫ぶチンピラたち。
一見すると強気な印象を受けるのだが、大やけどを負った足をバタバタさせて這いつくばっているその姿は滑稽でしかない。
実力行使は諦め、『出るとこ出てもいい』と脅すあたりに小物感が出ている。
シルヴィやヒナタの凄まじい実力を知り、この体たらくだ。
そんな彼らを半ば無視し、ローズは治癒魔法を行使した。
「――【リフレッシュ】」
次の瞬間、男たちの傷がみるみる癒えていく。
その様子を見ていたミルキーやルンたちが感心したように頷いた。
「さすがはローズ嬢だな」
「凄いですぅ!」
「あの人たち、すぐに元気になりそうですね!」
チセが目を輝かせる。
そんな一同の視線を受けつつ、ローズは治療を一段落させた。
足の痛みが収まったのか、男たちの表情が幾分か和らぐ。
「ふぅ……これで大丈夫でしょう」
「ちっ! 遅ぇんだよ!!」
「今のは痛かったぜ! マジで死ぬかと思った!!」
「お前ら、覚えてろよ! 絶対に許さねぇからな!?」
文句を言いつつも、とりあえず立ち上がる男たち。
彼らは火傷した足をさすり、調子を確かめてからユヅキたちに向き直る。
そしてニヤリと笑うと、挑発的な態度で言った。
「へへっ。足を治したのは失敗だったんじゃねぇか?」
「もう油断しねぇぜ? 今度こそ、詫び入れついでに俺たちに付き合ってもらおうじゃねぇか!」
ヘラヘラと笑う男たち。
驚くべきことに、シルヴィ、ヒナタ、ローズの実力を体感しながら、まだ諦めていないようだ。
彼女たちが見せつけたのが、それぞれ魔法や妖術だったというのも関係しているだろう。
魔法に気をつければ、やられることはないはずと過信しているのだ。
しかしそんな彼に対し、ユヅキたちは冷ややかな視線を向けていた。
17
お気に入りに追加
1,096
あなたにおすすめの小説
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる