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第5章
588話 本来の目的
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「なんだ、そんなことか」
「……え?」
「俺は妻以外の女性に手を出す気はない。安心してくれ」
「……ほっ」
受付嬢が安堵のため息を漏らす。
おいおい、俺が女と見れば手当たり次第に食ってしまうと思っているのか。
失礼な奴だ。
俺だって節操ぐらいある。
「……ただ、君がどうしてもと言うならば話は別だが」
「ど、どういう意味でしょうか?」
「君が望むのであれば、俺の妾にしてやってもいいということだ」
「め、妾……!?」
「ああ。君はなかなかの器量よしだし、何より若い。俺のパーティメンバーたちほどではないが、可愛がってやるぞ?」
「ひっ!?」
俺の本気が伝わったのだろう。
受付嬢の顔が恐怖に引きつっている。
「冗談だよ。本気にしないでくれ」
「あ、あはは……」
受付嬢が引き攣った笑みを浮かべた。
「さて、冗談はこの辺にして、楽しみは今晩に取っておこう。それより、ここに来た本来の目的を果たしたいんだ」
「本来の目的、ですか?」
「最初に伝えただろう? 俺は大規模な盗賊団の討伐に成功した。だから、その報告をしに来たんだ」
「あっ! そういえば!」
受付嬢がハッとした表情になる。
「エルカ支部からの報告が……ええっと……」
「どうだ?」
「あっ! ありました! ――って、ええええええ!?」
受付嬢が大声を出した。
周囲の冒険者たちがビクッとする。
「な、なんですか、この功績は……。Aランク相当の『毒霧』のアルヴィン……。王都周辺でも多大な損害を与えたきた屈指の実力を持つ首領を討伐……。その他幹部や末端構成員も多数始末済み……。しかも、わずか1か月の間に……。こんなことが、本当に……?」
「全て事実だぞ」
「……信じがたいことですが、事実のようですね……。ギルドマスターの押印もあります。それにしても、凄まじい戦果です……」
「まぁな」
「あの、申し訳ないのですが……」
「ん?」
「これほどの偉業を達成したコウタ様に、ギルドマスターと面会をしていただきたいのですが……」
「ギルマス? なぜだ? 別にいいが」
「コウタ様の功績は、冒険者ギルドとして書類上の処理は終わっております。最後にギルドマスターの承認を得て初めて正式なものとして記録されます。これは規則なのです」
「なるほど。それはパーティ全体での面会か?」
「いえ、リーダーであるコウタ様のみとなります」
「……分かった。じゃあ、みんなはここで適当に待っていてくれ」
俺はシルヴィやユヅキたちにそう言う。
荒くれ者の多い冒険者ギルドだが、彼女たちであれば俺なしでも特に問題はないだろう。
彼女たちは快く了承してくれた。
「さて、では案内してくれるか?」
「はい。こちらへどうぞ」
受付嬢に連れられて、俺は冒険者ギルドの奥へと進んでいくのだった。
「……え?」
「俺は妻以外の女性に手を出す気はない。安心してくれ」
「……ほっ」
受付嬢が安堵のため息を漏らす。
おいおい、俺が女と見れば手当たり次第に食ってしまうと思っているのか。
失礼な奴だ。
俺だって節操ぐらいある。
「……ただ、君がどうしてもと言うならば話は別だが」
「ど、どういう意味でしょうか?」
「君が望むのであれば、俺の妾にしてやってもいいということだ」
「め、妾……!?」
「ああ。君はなかなかの器量よしだし、何より若い。俺のパーティメンバーたちほどではないが、可愛がってやるぞ?」
「ひっ!?」
俺の本気が伝わったのだろう。
受付嬢の顔が恐怖に引きつっている。
「冗談だよ。本気にしないでくれ」
「あ、あはは……」
受付嬢が引き攣った笑みを浮かべた。
「さて、冗談はこの辺にして、楽しみは今晩に取っておこう。それより、ここに来た本来の目的を果たしたいんだ」
「本来の目的、ですか?」
「最初に伝えただろう? 俺は大規模な盗賊団の討伐に成功した。だから、その報告をしに来たんだ」
「あっ! そういえば!」
受付嬢がハッとした表情になる。
「エルカ支部からの報告が……ええっと……」
「どうだ?」
「あっ! ありました! ――って、ええええええ!?」
受付嬢が大声を出した。
周囲の冒険者たちがビクッとする。
「な、なんですか、この功績は……。Aランク相当の『毒霧』のアルヴィン……。王都周辺でも多大な損害を与えたきた屈指の実力を持つ首領を討伐……。その他幹部や末端構成員も多数始末済み……。しかも、わずか1か月の間に……。こんなことが、本当に……?」
「全て事実だぞ」
「……信じがたいことですが、事実のようですね……。ギルドマスターの押印もあります。それにしても、凄まじい戦果です……」
「まぁな」
「あの、申し訳ないのですが……」
「ん?」
「これほどの偉業を達成したコウタ様に、ギルドマスターと面会をしていただきたいのですが……」
「ギルマス? なぜだ? 別にいいが」
「コウタ様の功績は、冒険者ギルドとして書類上の処理は終わっております。最後にギルドマスターの承認を得て初めて正式なものとして記録されます。これは規則なのです」
「なるほど。それはパーティ全体での面会か?」
「いえ、リーダーであるコウタ様のみとなります」
「……分かった。じゃあ、みんなはここで適当に待っていてくれ」
俺はシルヴィやユヅキたちにそう言う。
荒くれ者の多い冒険者ギルドだが、彼女たちであれば俺なしでも特に問題はないだろう。
彼女たちは快く了承してくれた。
「さて、では案内してくれるか?」
「はい。こちらへどうぞ」
受付嬢に連れられて、俺は冒険者ギルドの奥へと進んでいくのだった。
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