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第5章

566話 コウタチーム

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「ギィイッ!!」

「ぎゃあああぁっ!」

 遠くから魔物や盗賊の悲鳴が聞こえる。

「どうやら別チームのみんなは頑張ってくれてるみたいだね」

 俺たちは順調に歩みを進めていた。
 ここは盗賊のアジトであると同時に、ダンジョンの卵でもある。
 襲ってくるのは盗賊とは限らない。

「うん。みんな、強いから。きっと大丈夫」

「そうなのです」

 ミナがユヅキの言葉に同意を示す。
 確かに、俺たち『悠久の風』は全員が強者だ。
 そこらの盗賊や低級の魔物に負けるわけがない。
 まぁ、だからこそチームを分けて効率的に作戦を進めることにしたのだが。

「最も厄介そうなこのルートは、コウタさんがいるので大丈夫ですにゃ」

「ご主人様の名声をさらに高めるチャンスです!」

 セリアとシルヴィが嬉々として語る。
 高い戦闘能力を持つ『悠久の風』だが、このチームにはその中でも戦闘能力の高い者たちが揃っている。

「へへっ。コウタっち。どうやらこのルートは当たりっぽいぜ」

「やはりそうか。距離はどのくらいある?」

「そうだな……。大体30メートルってところか」

「分かった」

 俺はリンに距離を確認する。
 どうやら、俺の予想通りこの先に敵が待ち構えているようだ。
 俺たちは静かに距離を詰めていく。

「――むっ!?」

 ヒュンッ!
 ヒュンヒュンッ!
 突然、数本の矢が飛んできた。
 俺たちはそれを難なく避ける。

「いきなりかよ……」

 俺はそう呟き、発射元に視線を向ける。

「く、くそっ! 外したか!」

「チクショウ……! 『悠久の風』め……。どうしてこんなところまで!」

「頭領の首を取ったんだから、残党の俺たちぐらい見逃してくれてもいいじゃねぇか……」

「もう終わりだぁ……」

「バカ野郎! 諦めんじゃねぇ!」

「相手はたったの6人だぞ! 数ではこっちが勝ってんだ! 勝機はある!」

「そ、そうか……。そうだよな……」

「よし……。やってやる……!」

「おうよ!」

 男たちが何やら盛り上がっている。
 あれはおそらく盗賊かな。
 初撃を外した程度であれだけ動揺するとは。
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