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第5章

564話 人の気配

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「チセ様とヒナタ様も、ご準備はよろしいですね? お二人は遠距離系・サポート系ジョブをお持ちなので、後方から戦局に応じて戦っていただくことになります」

「はい。頑張ります」

「うん……。がんばる」

「いい子たちですねぇ」

 ネリスの言葉を受けて、チセとヒナタが力強く返事をした。
 それを見て、ネリスは優しい笑みを浮かべた。

「では、参りましょうか」

 ネリスたちは順調にダンジョンを攻略していく。
 魔物の群れと遭遇しても、難なく撃破することができた。

「さすがに、手応えがなさすぎますぅ」

「そうだな。これは本当にダンジョンってやつなのか? もっと凶悪な魔物とかがいると思ってたんだけどな」

「皆様の実力が高いおかげですわ。油断は禁物。この調子で頑張っていきましょう」

「はい!」

「わかりましたぁ」

「おうよ!」

「……」

 皆、やる気十分のようだ。
 しかし、その中で一人だけ神妙な顔をしている人物がいた。

「…………」

「ヒナタ様、どうされました? 何か気になることでも?」

「この先に人の気配がするんだ」

「えぇ?」

「本当かよ?」

「……うん。間違いない」

 ヒナタの発言を聞いて、ミルキーたちが驚く。
 しかし、ネリスだけは冷静だった。

「なるほど……。ヒナタ様の感覚は鋭敏なのでしたね。希少な『赤狐族』だけはあります。それで、気配はどのくらい先でしょうか?」

「まだ遠いけど……。こっちに向かってきてる」

「ふむ。こちらの存在に気づいているのでしょうか?」

「違うと思う」

「ならば、問題ありませんね。ここで待機しましょう」

「おい! ちょっと待てよ!」

「そうですよぉ。危ないじゃないですかぁ」

 ミルキーとルンが慌てて声を上げる。

「大丈夫です。この5人で行動するときの連携は訓練していたでしょう? それに、あたくしたち後方メンバーが戦闘で活躍できるのは、こういった機会しかありませんよ」

「そ、それはそうだけどよぉ……」

「心配ですぅ……」

 ミルキーとルンは不安そうな表情を浮かべる。
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